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著者インタビュー『仏教なるほど相談室』 真城義麿善照寺住職(元大谷中学校・高等学校長)

著者インタビュー『仏教なるほど相談室』

真城義麿善照寺住職(元大谷中学校・高等学校長)

 

元大谷中学校・高等学校長の真城義麿善照寺住職(学校法人真宗大谷学園専務理事)が、日常生活の仏教に対する素朴な疑問に答える入門書『仏教なるほど相談室』(東本願寺出版)を刊行した。本書刊行への思いを真城住職に聞いた。

――この書を進めるに当たって心掛けたことは。

真城住職 真宗門徒だけでなく仏教に関心を寄せる人に、仏教や教えに対する誤解を解いてもらうことを念頭に置いた。青少年からの質問に応える形を取った方が誰もが読みやすいのではないかと考え、実際に年配の方からの質問を若者の言葉に置き換えたものもある。真宗だけでなく、仏教全般、さらに宗教についての疑問も取り上げた。

昨今の家族構成の変化で、親や祖父母から受け継がれてきた宗教との関わりが失われ、生活の中で宗教を身近に感じることが少なくなった。そして仏教の習慣や仏教語の意味がよくわからない人も多い。そのような現代にあって、「宗教は必要がない」と考えている人もいるが、「そんなことはないんだよ」ということを伝えたかった。

――印象的だった質問は。

真城住職 「人は死ぬのに、なぜ生きなくちゃいけないんだろう?」という質問があったが、連載時から読み返すと、私自身が上から目線で答えているという思いもあって月刊『同朋』の連載時から、半分くらい加筆修正した。一つの質問に、たった3ページの分量で答えることも難しいが、素朴な質問ほど回答は難しい。私が書いた答えや解説も読んでほしいが、むしろ寄せられた疑問を共有したいとの思いが強い。「仏教の儀式では、なぜ合掌をするの?」「道徳と宗教はどう違うの?」など、一つ一つの質問がお坊さんとして考えてほしいものばかり。

私が書いた文章は決して「正解」ではなく、あくまで一つの考えを示したもの。皆さんには「自分ならこのように答える」ということを考えてほしい。

――真城先生の著書『あなたがあなたになる48章』(2007年7月)は、法話の代わりに、そのメッセージを聴衆に読む住職がいるとも聞きますが。

真城住職 住職の中には、経験を積まずにお寺を継いだ人や、自分で一から法話をするのが苦手な人もいる。本書が、何を話せばいいのかわからない住職方の法話の材料になればいいとも考えた。

そして何よりも、「仏法が細っていくのを何とかしたい」という思いで連載を始めたが、私自身も、質問を聞きながら気付かせていただくことが数多くあった。また儀式のことも、もう少し取り上げればよかったかなという思いもある。一般の方は、「わからない漢文の御経を延々と聞かされているが、法話だけでいいのではないか」との疑問も抱いている。

――ほかに、取り上げたかった事柄などは。

真城住職 今回の本では取り上げなかったが、昨今は世襲がマイナスイメージとなっている。しかし真宗にとってお坊さんは、「教えを一緒に求めていくために先頭に立つ人であったり、役割分担として儀式を執行したり、お寺の維持管理をする人であって、決して偉い人ではない」ということも言いたかった。

能力や成果がなければ価値がないという風潮の中で、存在そのものが、お寺という聖空間が開かれていること自体が大事だということを、皆さんにもっと知ってもらいたい。世襲とは本願他力に立つ宗教として、誰もがお坊さんになれる証明でもある。

浄土真宗のお坊さんとは衣を着ている凡夫のこと。だから門徒の皆さんと同じで、役割分担をしているだけ。ご門徒に対して上から目線ではいけないし、またお坊さんに世襲への後ろめたさがあってもいけない。親鸞の教団として世襲の積極的意義があることも今後は訴えていきたい。