月別アーカイブ: 2019年4月

大本山天野山金剛寺 正御影供法要を厳修

大本山天野山金剛寺

 

正御影供法要を厳修

伝統の百味を大師宝前に供え

 

大阪府河内長野市の真言宗御室派大本山天野山金剛寺は21日、正御影供法要を営んだ。

稚児が先導するお練りは、大導師の堀智真座主を中心に、12口の職衆と共に参道を散華しながら金堂へと進み、法要を営んだ。

金堂前には、正御影供の中で行われる百味飲食のために何日もかけて謹製された百味が飾られる。色とりどりの山海の珍味を集めた同寺の百味は、地域の古老らによって代々受け継がれてきた伝統の技。河内長野市の文化財にも指定されている。

金堂での法要に続き、世話人から僧侶へ一つ一つ丁寧に押しいただきながら御影堂へ運びこまれ、弘法大師宝前に献じ、御影供法要を厳修した。

夕刻からは餅まきも行われ、この日は、地域の人々にとっても華やかな春の訪れを告げる祭りとなっている。

浄土宗西山禅林寺派 中国仏教協会の信徒が団参

浄土宗西山禅林寺派

 

中国仏教協会の信徒が団参

仏教史など学ぶ研修開催

 

総本山禅林寺で6日、中国仏教協会の信徒を対象とした研修会が開かれた。禅林寺で中国の団参が研修を行うのは初めて。

湛如副会長が引率する信徒36人が境内参拝を終えた後、信徒会館で仏教史や日中交流史を学んだ。

研修会は湛副会長が講師を務めた。仏教が中国に伝来した唐の時代を端緒とした中国仏教史と、中国から日本に仏教が伝わった歴史、廃仏毀釈をはじめとする近代日本の仏教史、中国と日本の仏教交流史などについて話した。

中国仏教協会の信徒を率いた団参が増加している。政治的な兼ね合いもあり、本国で仏教学や仏教史を学ぶ研修会を開催することが容易ではなく、また、仏教史蹟も多くないため、日本での研修会は仏教を体感できることが理由とみられている。団参で訪日するのは、中国国内の実力者や富裕層が中心となっており、今回の団参には中国で最も力を持つ不動産事業者のトップや女優が参加していた。

日中友好浄土宗協会の舘憲雄事務局長が、湛副会長から禅林寺で研修を行いたいとの要請を受け、小澤昭美禅林寺派財務部長を通じて実現した。小澤財務部長は「こうして参拝され、研修を開くことも何かの縁。今後、新たなつながりが生まれれば」と語っていた。舘事務局長は「先週は大本山百萬遍知恩寺に中国からの団参が訪問したが、今回は前回と異なるメンバー。民間レベルでの交流が、ますます盛んになってほしい」と述べた。

浄土真宗本願寺派総合研究所 寺院・僧侶の有効な発信とは

浄土真宗本願寺派総合研究所

 

寺院・僧侶の有効な発信とは

「六条円卓会議」で議論

 

浄土真宗本願寺派に所属する50歳以下の会員が、宗門の具体的な課題について話し合う「六条円卓会議」が3月29日、総合研究所で会合を開いた。今回のテーマは「寺院・僧侶からの発信を考える」。ご法義の伝え方からインターネットの活用まで、示唆に富んだ内容となった。

藤丸智雄総合研究所副所長を進行役として、安芸教区の武田一真龍仙寺住職と山陰教区の冨金原真慈蓮敬寺住職が講演後、2班に分かれて討議した。

武田住職は、ソムリエの田崎真也氏が世界コンクールで優勝した時の「死んだカブトムシの匂い」という表現を紹介。「世界中のソムリエが息をのんだ。そのものに出遇った人にはうなずけるが、出遇っていない人には決してうなずけない。説明ではなく、そのような言葉がある。真宗のみ教えも、信がある者、聞ける者にしかうなずけない。〝安全圏〟から言葉 を投げず、言葉の限界ラインを越えて埋めきらない。その両方があって、初めて『伝わる』という出来事が成り立つのではないか」と問い掛けた。

冨金原住職は、自坊のカフェの常連客が初めて法座を聴聞した後、「あのお坊さんは、私たちの方を向いて話してないですよね。住職さんの方を向いていませんか」と言われたことを話した。「『住職からいかに突っ込まれないか、いかに間違えないかということばかりを気にして話していた』と厳しい言葉を受けた。私も布教使なので図星の部分があると感じた」と問題提起し、「大事なことは『伝えたいことは何か』『自分は何ができるのか』『どのような目的で何がしたいのか』の三つ」と語った。

(詳細は2019年4月27日・5月1日合併号の紙面をご覧ください)

全国曹洞宗青年会 映画「典座―TENZO―」がカンヌへ

全国曹洞宗青年会

 

映画「典座―TENZO―」がカンヌへ

信仰とは何かを探求した短編作品

 

全国曹洞宗青年会(倉島隆行理事長)が制作した映画「典座―TENZO―」が、5月14日から始まる第72回カンヌ国際映画祭の批評家週間「特別招待部門」への正式出品が決定した。

典座とは、禅宗寺院で修行僧の食事や祖師への供膳をつかさどる役職。この映画作品は道元禅師の著書『永平清規』の中の一編「典座教訓」を軸に、東日本大震災以降の現代日本における仏教の意義、そして信仰とは何かを探求した意欲的短編作。全曹青の河口智賢副会長を主人公に、「食といのちの循環」をテーマに、今を生きるということをひもといている。2019年秋の公開予定。

富田克也監督は「この作品は全国曹洞宗青年会からの依頼を受けて作った。3・11以降、彼らは人々から必要とされ始めたと感じ、今こそ日本人には信仰が必要なのではないかという思いから引き受けた。カンヌ映画祭からの招待は、まさに御縁をいただいたということだと思っている」とコメントしている。(写真は、アースデイ東京のトークイベントに出演した主演の河口氏(左)と富田監督(右))

龍谷ミュージアム 因幡堂平等寺の全貌公開

龍谷ミュージアム

因幡堂平等寺の全貌公開

日本三如来・薬師如来像など展示

 

龍谷ミュージアムは20日、企画展「因幡堂平等寺」を開始した。日本三如来の一つである本尊・薬師如来立像と、像の由来を描いた東京国立博物館所蔵の『因幡堂縁起』1巻(重文)など、同寺の宝物を中心に仏像20体を含む64件を公開する。

平等寺は平安時代から京都の中心地に伽藍を構え、高島屋創業の地でもある。伽藍は何度も火災に遭い、その度に町衆が再建してきた。このため 本尊・薬師如来の厨子には、火災時にすぐ避難させることができる仕組みが施されている。長上深雪館長は「古くから町衆の信仰心に支えられた寺。多くの方に素晴らしさを知ってもらう機会になるはず」と話す。

展示は「伝説のはじまり―お薬師さん、因幡国より飛びきたる」「平等寺の信仰と歴史」「近世のにぎわい」の3章で構成。

本尊・薬師如来立像は三国伝来の仏像で、因幡の国で橘行平が引き揚げ、帰洛した後に〝飛んできた〟という伝承が残る。展示の中央には薬師如来と橘行平の像が、厨子と共に並び、薬師如来は背後からも見ることができる工夫がなされている。

大釜諦順住職は「展示を機に自坊の法宝物を改めて確認し、1000年間伝わってきた意味を考えさせられた。町衆や豪商らをはじめ、伝えてきた方々の思いを少しでも知ってほしい」と語っていた。6月9日まで。

音羽山清水寺 「清水寺霊宝展」を開催

音羽山清水寺

 

草創1300年記念の特別拝観

「清水寺霊宝展」を開催

 

世界遺産・北法相宗音羽山清水寺は、西国三十三所草創1300年記念の特別拝観「清水寺霊宝展」を5月6日まで行う。

通常は非公開の重要文化財である経堂を展示会場として、1760年から259年ぶりに林丘寺宮照山元瑶「白衣観音図」を一般公開。また、京都奇想派の先駆者山口雪溪「雲龍図」や、一般的な千手観音立像の像容とは異なる「清水型本尊千手観音図」、図様が珍しい「千手観音四十臂持物図」などを展示している。

 

浄土真宗本願寺派 ビハーラ総合施設が10周年式典

浄土真宗本願寺派

 

ビハーラ総合施設が10周年式典

光淳門主 庭園にイチョウ植樹

 

浄土真宗本願寺派は24日、京都府城陽市で宗派関係団体が運営する独立型緩和ケア病棟「あそかビハーラ病院」と、特別養護老人ホーム「ビハーラ本願寺」の創立10周年を記念する式典を開き、整備が完了した中庭の「ビハーラガーデン」に大谷光淳門主がイチョウを植樹した。

記念式典には石上智康総長や武田昭英本願寺執行長ら宗門関係者に加え、奥田敏晴城陽市長ら地元城陽市の関係者など約200人が出席。光淳門主が「私たち一人一人はさまざまな苦悩を抱えながらも、阿弥陀さまの働きの中で関わり合って生かされている存在です。全ての人々が心豊かに生きられる社会の実現を目指し、今後もビハーラ活動が展開されることを念じています」と〝お言葉〟を述べた。

また、大嶋健三郎あそかビハーラ病院院長が、城陽市に根差して患者の日常生活を大切にしてきた活動を振り返り、「患者さんは病気から逃げられない。大事なことは、向き合うことと逃げないこと」と話した。

両施設は、2008年に「ビハーラ総合施設」として設置。患者や入所者、その家族やスタッフに寄り添う常駐僧侶を置き、これまで1000人以上を看取ってきた。18年には親鸞像を配したビハーラガーデンを整備。先ごろ移転拡充が明らかになった本山北側の「西本願寺あそか診療所」と3施設で「ビハーラトータルプランの完遂」を目指す。

両施設を運営する出口湛龍理事長は「やっとこの日を迎えることができた。次は診療所の移転を成功させ、ビハーラトータルプランの実現を成し遂げたい」と語っていた。

曹洞宗 僧堂設置基準の内規を作成

曹洞宗

 

僧堂設置基準の内規を作成

修行の場の教育の質向上を

 

曹洞宗は全国に27ある全専門僧堂に対して、2022年9月30日からの再認可には、新たな設置基準により今年4月1日から受け付けるとしていたが、新たな「僧堂設置基準」の内規を3月26日付で制定し、全僧堂に送付した。

1万3000ヵ寺を擁する曹洞宗だが、少子化の影響により後継者である寺院子弟の減少は深刻で、また各地にある修行道場の継続性や運営上の質についても懸念課題となっていた。

掛搭僧の人数に関し、以前の規程では「20人以上の掛搭僧を常在させることができる資産を有する」との項目があったが、昨年6月の規程変更では削除された。新たな設置基準では僧堂として成立する人数を「常在する指導者と掛搭僧の区別なく、常在者の合計が5人以上」と記し、常在者の定義は1ヵ月のうち、18日以上勤務する者としている。なお、結制安居の成立人数としては、指導者と掛搭僧の区別なく「常に11人を上回るよう努めなければならない」とした。

さらに指導者、設備、教育、運営の質の向上を念頭とする最低基準を謳い、僧堂の行持において最も大きな比重を占める「結制」について、年2回の結制安居を僧堂が実施することを明確化。掛搭僧の履修学科目、試験等についても細則に明文化し、「経営費の支弁方法」等の提出書類の要綱を示して申請予定の僧堂に提出を求めている。

また僧堂内での暴力根絶に関する努力目標を定め、「掛搭僧が指導者となることは認めない」とし、坐禅や警策については「これを罰として行じさせることがあってはならない」と明記した。

鬼生田俊英宗務総長は「設置基準はあくまで最低限の規程であり、そこからどう運営していくかは、各僧堂の堂則によって変わってくる。有為な将来の人材をいかに輩出できるかが重要。そのための議論が今後の教学審議会でも出てくるだろう」と話している。

申請提出期限は20年3月31日で、21年10月31日までに申請の可否を決定する。

4月27日号と5月1日号を合併号として発行いたしました。

ゴールデンウィークに伴い、4月27日号と5月1日号を合併号として12ページで発行いたしました。

合併号では「“平成”30年間を振り返る」と題して、各宗派を代表し、杉谷義純妙法院門跡門主(天台宗)、小泉顕雄元参議院議員(浄土宗)、園城義孝前総長(浄土真宗本願寺派)、熊谷宗惠元宗務総長(真宗大谷派)、宮坂宥洪智山伝法院院長(真言宗智山派)、若林恭英シャンティ国際ボランティア会会長(曹洞宗)に紙面にご登場いただき、宗教界の今後について語っていただきました。

また「平成から令和の時代へ」と題し、「多死社会」「過疎問題」など伝統仏教教団の課題について、宗教界の現状をまとめた特集も掲載しております。

詳細は2019年4月27日・5月1日合併号の紙面をご覧ください。なお、5月4日号は休刊させていただきます。

當麻寺奥院 来迎再現する練供養

當麻寺奥院

 

来迎再現する練供養

今年から本来の4月開筵に

 

浄土宗の當麻寺奥院(奈良県葛城市)は14日、中将姫の忌日法要である「聖衆来迎練供養会式」を営んだ。雨模様にもかかわらず境内には多くの参拝者が詰め掛け、きらびやかな二十五菩薩が来迎する様子に魅了されていた。(詳細は2019年4月24日号の紙面をご覧ください)