月別アーカイブ: 2019年6月

妙心寺派無相教会本部 奉詠大会の準備に着手

妙心寺派無相教会本部

 

令和元年度第1回代表委を開催

奉詠大会の準備に着手

 

妙心寺派無相教会本部は13日、2019年度第1回無相教会代表委員会(小笠原秀典委員長)を宗務本所で開き、第69回全国奉詠岐阜大会の詳細や第70回記念全国奉詠京都大会の大枠などについて議論した。

今年10月21〜23日に開催される岐阜大会では、登壇を午前と午後に分け、登壇日は教区ごとに決定する。「遠方の教区が午前中の登壇だと前泊が必要となる」との意見があり、会場と教区の距離を考慮して登壇日を検討する見通しだ。

また、大会の開催に伴い、伊深正眼寺の特別拝観も計画している。

2020年の京都大会の大枠については、会場の規模を考え、登壇奉詠はしない方向で進めている。「懸命に御詠歌に取り組んできた参加者が気の毒では」との意見があったが、井村妙子師範(龍興寺)は「御詠歌はみんなで輪になってあげることができる。道具や場所がなくとも、短い時間で感動を与えられる大会にしたい」と答えた。

そのほか、第71回全国奉詠大会の主催場所についての議論や、御詠歌の練習のサポートができる「御詠歌アプリ」が提案された。

天台真盛宗引接寺 市川真縁住職が晋山

天台真盛宗引接寺

 

市川真縁住職が晋山

真盛上人の教え喜ぶ伽藍に

 

天台真盛宗の別格本山引接寺(福井県越前市)で15日、第45世市川真縁住職の晋山式が営まれ、約300人が新住職の就任を喜んだ。

晋山式は、同寺と関係の深い總社大神宮への参拝で開始。引接寺の境内で運営する丈生幼稚園の園児らと行列で練り歩いて本堂で営んだ。

法要後のお目見え式では、武田圓寵管長が「市川住職は、伊賀教区の中心的存在として真盛上人の教えを広められた。仏縁によって市川住職が就任されたことは大きな喜び」と祝辞を述べ、前阪良憲宗務総長が「宗門にとっても喜ばしい。引接寺興隆のために尽力を」と語った。

園児らから歓迎の歌や花束を贈られた市川住職は「原点に帰って、真盛上人のみ教えを皆さんが喜ぶ伽藍としたい」と抱負を述べた。

引接寺は1488年、天台真盛宗の開祖・真盛上人が創建した塔中寺院9ヵ寺を持つ別格本山。第2代真慶上人は朝倉貞影の弟で、観音堂本尊の十一面観音菩薩立像は朝倉貞影からもらい受けたとされる。第44世八耳哲雄住職が3年前に逝去し、今年3月1日に市川住職が就任した。

市川住職は横浜・新善光寺の生まれで、同志社大学文学部卒。伊賀教区西念寺前住職。宗議会議員2期で議長も務め、現職の伊賀教区宗務所長だった。伊賀市消防団長を務めた功績で昨年、瑞宝単光章を受章している。

市川住職は「越前は母方の郷里でもある。ご縁を大切にしたい。山内の9ヵ寺8人の住職たちと一緒に教えを伝えていきたい」と語っていた。

浄土宗 災害復興支援対策の統合検討

浄土宗

 

災害復興支援対策の統合検討

建物共済事業に一本化

 

浄土宗は17日、災害対策委員会を京都宗務庁で開催し、損壊した堂宇の改築資金を融資する建物共済事業と、災害復興の資金に充てる復興貸付金を、将来的に一本化する方向で検討を開始した。

火災で堂宇を焼失した場合は建物共済で対応し、地震や台風で被災した場合は、災害復興支援制度が適用されてきた。いずれも同等の運用が行われているにもかかわらず、査定基準に差異が生じている。このため建物共済に災害復興支援を組み入れることが妥当と判断した。査定方法など検討すべき課題が多く、今後の委員会で協議を重ねる。

復興貸付金の返済期間延長についても検討した。現行制度では貸付期間を最大10年と定めているが、小規模寺院は10年間で返済する目途が立たず、融資できない場合がある。一方で、融資期間を延長すると、住職が高齢の場合は逝去などで回収できなくなる可能性もある。

法人への貸し付けであり、後継者が引き継ぐことも検討されたが、後継者が住職に就任することを証明する手段がないため、導入にはリスクがあると判断した。一方で、兼職して護持している住職個人の収入も査定の対象とすることで貸し付ける対象を広げることも可能と考え、審査を厳格化することで対応できると考えた。

また、被災地復興支援として支給する本尊護持料を、被災見舞金と一本化することも検討した。本尊護持料は、東日本大震災で被災した寺院の本尊を護持する寺族の生活支援として創設されたが、現状は被災した本尊や荘厳を修復する資金を提供する制度として運用されている。被災寺院に対する見舞金と似た制度であるため一本化する方向にした。

見舞金については、支給の可否を災害対策委員会で検討した上で執行するが、支給までに期間を要することが課題。また、見舞金を手渡した時に被災状況を調査する方法の導入や、支給額は賦課金 の支払い額に応じて決めるべきとの意見もあり、今後調整する。

被災寺院に対する賦課金の減免については、財務規程で定める減免規程と、災害規程の減免規程とを整合させる必要がある。そのため、災害査定の指数を変更し、庫裡の被災に対する指数を上げる一方で、指数合計が基準値を満たさない場合は減免しないことにした。ただし、被災寺院が災害対策特別賦課金を納付することは適切でないため、指数が基準値を下回っても特別賦課金は減免することが必要とした。

浄土宗西山深草派臨時宗会 団参同行衆の創設を決定

浄土宗西山深草派臨時宗会

 

団参同行衆の創設を決定

参拝者の満足度向上へ

 

浄土宗西山深草派(加藤良邦宗務総長)は18日、6月臨時宗会(祖父江信陽議長)を開催し、本山参拝者の満足度を高める宗の公的組織として「総本山団参同行衆」を創設する要綱を決めた。このほか、高讃導師および唱導師の出仕資格なども決めた。

団参同行衆の創設は、御忌や西山忌で総本山に団参する人たちの満足度を高めて参拝者数の増加につなげる取り組み。大会における総本山誓願寺への団参に、教区からの要請を受けて同行衆を派遣する。バスの同乗や休憩時間などに誓願寺の歴史や法要について解説し、参加者の気持ちを盛り上げる。

(詳細は2019年6月22日号の紙面をご覧ください)

臨済宗妙心寺派 おかげさま奉仕の日

臨済宗妙心寺派

 

おかげさま奉仕の日

「三門」を特別拝観

 

臨済宗妙心寺派は12日、「妙心寺おかげさま奉仕の日」を本山で行い、檀信徒や参拝者ら約40人が全国から参加した。より多くの人が大本山妙心寺に親しめるよう、団体参拝を対象に行っていた奉仕作業や特別拝観に個人で参加できるようにした。2回目となる今回は猛暑を避け、昨年より1ヵ月早めて行った。

奉仕は「三門」で行い、普段は触れることのない重要文化財の汚れを磨き上げた。(写真)奉仕後は三門を特別拝観し、参加者は貴重な時間を楽しんだ。岡山県から参加した萩原華乃さんは「天井の龍の絵などが、当時のまま残っていて素晴らしかった。貴重な体験ができたが、奉仕作業としては少し物足りなかった」と述べた。

参拝後、塔頭の則竹秀南霊雲院住職は「今日は、奉仕の行為によっておかげさまの心を表していただいた。仏さまや御前さまが、お参りに来た人たちに慈悲の功名を与えてくださると思う」と参加者をねぎらった。

上宮学園 校祖法然上人誕生会を開催

上宮学園

 

校祖法然上人誕生会を開催

支え合う命への感謝学ぶ

 

浄土宗関連学校の学校法人上宮学園は12日、校祖と仰ぐ法然上人の誕生会を同校総合体育館で開催した。(写真)

学園が運営する中学校と高等学校の生徒約2300人と教職員らが参列し、法然上人の遺徳に報謝する式典を営み、支え合う命に感謝することの大切さを学んだ。

校祖誕生会は宗教教育の一環として毎年開催している。式典では、全校生徒を代表して12人が献花し、教職員らが献香したほか、浄土宗宗歌でもある校歌「月影」を斉唱。田中裕史理事長・学園長が、法然上人への報恩を表す祝詞を奉じた。

式典後は、山縣真平学校長の講話や、上宮高等学校30期生(1978年卒)のミステリー作家、有栖川有栖氏の講演が行われた。

山縣学校長は、校祖誕生会が生きとし生けるもの全ての誕生を祝福する機会であり、支えあう地球環境に思いをはせることが重要と語った。有栖川氏は「上宮に授かった物語」と題して講演。推理小説を書くようになった経緯など青少年期のことや、著書『幻坂』の題材にした上宮学園周辺の七つの坂について解説した。

京都府仏具協同組合 京仏ソムリエがプロデュース

京都府仏具協同組合

 

京仏ソムリエがプロデュース

優秀作品を総会で表彰

 

京都府仏具協同組合(田中雅一理事長)は21日、総会を開き、2月の第54回京仏壇・京仏具展で行った「あなたが選ぶ劇的アートコンテスト」の受賞者を表彰した。

同組合では、仏壇・仏具の製作を指揮するベテランを養成し、「京仏ソムリエ」の称号を与えている。京仏壇・京仏具展では、「京仏ソムリエ」がプロデュースした作品を展示し、来場者の投票で優秀製品を選んだ。

受賞者は次の通り。

伝統的工芸品「京仏壇」「京仏具」部門=近畿経済産業局長賞を若林佛具製作所「無量寿型合掌壇」、京都府知事賞を吉田治市商店・藤野リカ氏「ウォールナット厨子仏壇」、京都市長賞を田中伊雅佛具店・田中雅一氏「一重塔」。

「京ブランド仏壇」部門=京都府知事賞を吉田治市商店・吉田光宏氏「Mind Box Omoi」、京都市長賞を井上秀峰仏具店・井上浩司氏「青漆模様塗仏壇」。

懇親会で挨拶に立った田中理事長は自身も受賞したことの喜びを述べ、京仏壇・京仏具界のますますの発展を願った。(写真)

各賞を授与した行政からも、後継者問題など厳しい環境下にある伝統工芸を支援していくとの言葉が贈られた。

大谷大学 髙橋さんがミス・アース・ジャパン京都代表に

大谷大学

 

髙橋さんがミス・アース・ジャパン京都代表に

東大出身の国際派

 

大谷大学文学部真宗学科国際コース第3学年の髙橋るりさんが、地球環境問題をテーマとする世界的な美のコンペティション「2019ミス・アース・ジャパン」(7月開催予定)の京都代表に選出された。

髙橋さんは名古屋の寺院の長女として生まれ、東京大学を卒業後、大手自動車メーカーに就職し、海外営業部門に勤務した。現在は住職を目指して、大谷大学で海外の真宗に関する文献の研究などをしている。

学業と並行して「ミス・アース・ジャパン」に挑戦した理由を髙橋さんは「仏教に興味が無い人にも耳を傾けてもらうためには、まず自分が魅力的である必要がある。環境問題は、利他の精神がないと解決できない。私をきっかけに、もっと仏教と環境問題に関心を持ってもらえたら」と話し、「ミス・アースとなって、仏教の魅力を国内外に発信したい」と語っている。

同コンテストは、世界の人々へ環境保全に対する意識を促進することを目的として2001年から開かれている。

髙橋さんは現在、日本代表を決める最終選考会に向けてウオーキングやスピーチのトレーニングに励む毎日だ。英語、ロシア語、ポーランド語を日常会話レベルで話すことができる髙橋さんが、仏教と環境問題について世界へ情報発信してくれることを期待したい。

総本山誓願寺 謡曲「誓願寺」を奉納

総本山誓願寺

 

菩薩相の和泉式部に思い巡らす

謡曲「誓願寺」を奉納

 

総本山誓願寺は15日、和泉式部忌法要を営み、(写真)謡曲「誓願寺」を奉納した。謡曲ファンをはじめ、近隣を訪れた人々が本堂外陣に集まり、お念仏によって和泉式部が菩薩となる様子に思いを巡らせた。

金剛流の関係者から、舞台となった誓願寺に奉納したいとの申し出があったことを契機に、十数年前から毎年開催している。法要は 倉内賢道法主の導師で、加藤良邦宗務総長ら内局が出座し、謡曲「誓願寺」にゆかりのある時宗の僧侶も参列した。

法要後、吉海直人同志社女子大学教授が「和泉式部日記を読む」と題して講演し、能楽金剛流の今井清隆氏らが謡曲を奉納した。謡曲は、和泉式部の霊の願いを受けて一遍上人が誓願寺の本堂に名号を掲げると、式部が歌謡の菩薩となる様子を表現している。渡邊良純総務部長は「和泉式部を回向することが中心だが、謡曲奉納を通じて誓願寺に親しみを感じていただければ」と話していた。

空海遍路文化会館の建立進む 行当岬の不動岩隣接地に

空海遍路文化会館の建立進む

行当岬の不動岩隣接地に

 

空海修行の聖地・行当岬には、土佐の荒海に臨む不動堂があるが、現在、隣接して空海遍路文化会館の建立が進められている。

古くから“波切り不動”の信仰が篤い不動堂は、四国八十八ヶ所第26番・真言宗豊山派金剛頂寺(坂井智宏住職)の飛び地境内にあり、同寺が女人禁制であった明治の初めごろまでは女人堂として賑わったとされる。

背後にそびえる40mの不動岩には空海修行の聖地と伝えられる岩屋があり、遍路らの香華が絶えない。

空海遍路文化会館は坂井住職が発願し、政財界から大師信仰に篤い四国内外の有縁者が協力し、一般社団法人として運営する。

建物は幾本もの巨大な丸柱が支える、風格のある古民家を移築する。(写真は雨天下でブルーシートに覆われている)

会館には、京都の東寺が所蔵する国宝両界曼荼羅を忠実に再現し展示。大型スクリーンでは、御誕生寺の善通寺や修行の地、不動岩、中国の青龍寺、高野山、空海が建立した金剛頂寺や、同寺で年に一度、正御供の日だけ御開帳される弘法大師尊像など、空海の軌跡が上映される。

世界ジオパークの一つでもある室戸。坂井住職は、空海の修行時代と比べると、現代の地形は度重なる地殻変動で海面が隆起し、大幅な変容を遂げているはずだと推察し、自然科学の視点を加味した「弘法大師信仰の聖地と現在、未来」を見据えながら、遍路文化を後世に伝えたいと願っている。