総本山知恩院 重文・勢至堂の改修へ

総本山知恩院

 

重文・勢至堂の改修へ

採択目指し調査を開始

 

総本山知恩院は、重要文化財・勢至堂(写真)の改修に向けて調査を開始した。年末までに作業を終え、文化財修理事業としての採択を求める準備を進める。

勢至堂は、祖廟に隣接して立地する大谷浄室の旧址で、1530年に再建された。知恩院に現存する諸堂の中では最古で、1899年に国宝建造物に指定されている。入母屋造本瓦ぶき平屋建て、規模は桁行21m、梁行20m。

屋根の劣化や床の傷み、梁の外れなど老朽化が進み、早期の改修が必要な状態となっている。調査では、不良箇所の検出作業を行い、資料を作成。文化財保護事業となることを視野に、事前協議を京都府に申し込む考え。

京都府内には採択待ちの建造物が多く、数年間は順番を待つ可能性も想定されているが、財源の確保も課題となる。少なくとも事業費の4分の1は自己負担しなければならない。開宗850年に向けて各本山で勧募が活発化することが予想され、門葉への協力を求めづらい状況にもあり、財源確保の方法を検討する。

このほか知恩院では、重要文化財である雪香殿と月光殿の改修も必要となっており、引き続いて調査し、中長期的な改修計画をまとめる。