真宗大谷派 財団の事務所明け渡し請求事件が和解へ

真宗大谷派

 

財団の事務所明け渡し請求事件が和解へ

東山浄苑の底地賃貸料は値下げ

 

真宗大谷派が2016年11月に、本願寺文化興隆財団(京都市山科区、大谷暢順理事長)を相手取り、真宗本廟境内に設置された財団事務所の明け渡しと、同じく境内の御影堂門前の緑地帯に設けられた東山浄苑行きバス停の撤去などを求めて提訴していた裁判が、7月19日付で和解となった。

暢順理事長は故・大谷光暢前法主の次男で、1996年に同派を離脱。東本願寺納骨堂事業として、約3万坪の東山浄苑で約3万基の納骨仏壇を安置する堂宇を保有している。

東本願寺大玄関の事務所(約39㎡)と倉庫(約39㎡)は、同派から財団へ1913年に無期限、無償貸与されていた。しかし財団は公益法人制度改革のもと大谷派への助成を運営目的から外し、解散時の財産帰属先を同派以外にも広げるなどの規定変更を行い、大谷派が財団に対して寄付行為変更の無効を求めた訴訟は、2015年12月に宗派の訴えを最高裁が退けた。

この判決により、事実上、両者は無関係な団体となり、同派は「財団が事務所等を使用する法的権利はない」と、使用契約の解除と2週間以内の明け渡しを求め、16年5月11日付の内容証明郵便で通知。財団側からは了承する意思が示されず、同年11月21日に提訴していた。

訴状では、大玄関に設置した事務所および倉庫の明け渡しと、16年5月13日から明け渡し済みまで、1ヵ月15万円の割合による金員の支払い、宗派所有土地上(御影堂門前緑地帯)にある東山浄苑行バス停留所の標識の撤去を訴えていた。

裁判所からの和解勧告を受けて協議を重ね、財団は事務所の明け渡しとバス停の撤去を行い、大谷派は東山浄苑底地賃貸 料年額を17年7月26日以降、1229万6000円へと値下げし(現行1284万4000円)、さらに大谷派が財団から役宅(新町役宅)として賃借している4部屋について明け渡しをすることなどで一致した。双方の明け渡しは来年1月18日までが期限。