真宗大谷派 青少幼年教化活動の実態を調査

真宗大谷派

 

青少幼年教化活動の実態を調査

教化の広がりの可能性は

 

真宗大谷派の企画調整局寺院活性化支援室が昨年6月、山陽教区の全寺院を対象に実施した「寺院活動における青少幼年教化活動の実態調査」の報告書が出来上がった。

山陽教区は兵庫(182ヵ寺)、岡山(21ヵ寺)、広島(62ヵ寺)、山口(3ヵ寺)の4県にまたがり、政令指定都市から農村部、島しょ部まで幅広く、地域的特色を持った寺院が含まれる。教区内全寺院・教会252ヵ寺(不活動寺院の16ヵ寺は除く)中、205ヵ寺から回答があった。(回収率81・35%)。

調査では、「日常の法務における子どもや若者との関わり」「子どもと出会う機会に心がけていること」「寺院での実際の取り組み」など、20ほどの設問を設定。子どもや若者と縁を結ぶ場がどのように作られているのかを調査し、今後、どのように広がっていく可能性があるのかを分析した。調査結果は表やグラフで解説し、直近の第7回教勢調査(2012年10月実施)の結果との比較も試みている。

教勢調査では「今後、青少幼年を対象とした〝教化組織〞を作る予定がない」と答えた寺院が教区内で179ヵ寺だったのに対し、今回の設問にある「子どもや若者を対象とした〝教化事業〞は考えていない」との回答は63ヵ寺だった。さらに「教化事業に今後も継続して取り組む」「現在、教化事業は行っていないが取り組みたい」などの前向きな回答が6割を超えた。子ども会や青年会といった組織づくりは難しいと考えている一方で、組織づくり以外の教化事業への意欲があることがわかる。

都市部との比較における過疎地での青少幼年教化活動の可能性の分析では、子ども(乳幼児〜18歳)を対象とした取り組みを行っている割合は、過疎・都市部共に全体より1割程度低く、若者(19〜35歳)を対象とした取り組みをしている割合は、過疎・都市部共に全体よりも若干高い結果に。

また坊守・前坊守が関わると、いったん始まった取り組みは継続する傾向にあることも分析結果からわかった。

ただ兼務寺院全体の4割強が、「子どもや若者を対象とした教化事業を考えていない」と回答し、その理由としては「参加してくれるような子どもや若者がいない」が多かった。

また、寺院所属門徒の子どもや若者が普段は寺院周辺で生活していなくても、盆や正月等の帰省シーズンは人数が増えていることもアンケートではわかった。寺院活性化支援室の松田亜世主任は「真宗教団連合が行った実態把握調査でも、お墓や納骨堂へのお参りが所属寺院への訪問目的として最も多い結果だった。帰省シーズンが、青少幼年教化活動の可能性を開く機会であり、活動を展開するチャンスであると考えられる」と話し、教化支援施策の展開を青少幼年センターと連携しながら考えたいとしている。

アンケート調査では寺院と若者とのつながりに関する悩みも寄せられたが、調査分析に携わった徳田剛大谷大学准教授は「今の子どもたちや若い親の世代は、ごく身近な血縁者以外のロールモデルを見つけられないまま年を重ねている。その状況の中、第三の場所たる寺院での教化事業への参加は、子どもや若い親たちにとってリアルな人間関係の幅を広げ、人生や子育ての悩みなどへの助言やヒントが得られる機会ともなる」と寺院の存在の有用性を示す。また、「これまでの教化活動で継承されてきたことを、丁寧に自信を持って伝えていくことが、仏教の教えの継承にも、子どもや若い親たちの人生にとってもプラスに働くのではないか」と語っている。