真宗大谷派 教育プログラムにグリーフケアを導入

真宗大谷派

 

教育プログラムにグリーフケアを導入

二つの教師育成校で試験的に実施中

 

真宗大谷派は、教師資格取得の教育プログラムにグリーフケアの導入を決め、一般社団法人リヴオン(尾角光美代表理事)との協働で、九州大谷短期大学と名古屋真宗学院の2校で、今年4月から試験的にプログラムを実施している。

このプログラムに関し、速水馨教育部長は「大切な人を亡くした時に最初に出会うのは僧侶。遺族の不安に、僧侶がきちんと向き合えていたのかと自問した時、これまでの大谷派の教師養成プログラムは座学が中心だった。遺族を支える家族構成、地域関係も変化している中で、僧侶が果たすべき役割にきちんと向き合い確立していきたいと、リヴオンと協働して取り組むこととなった」と説明する。

大谷派の教師資格取得の教育機関は大谷大学をはじめ、全部で12校ある。そのうち九州大谷短期大学では1年間かけた綿密なプログラムを実施中で、名古屋真宗学院では最短の形を模索し、すでに6月に終了している。その検証の上で、全ての教師養成校でのプログラムを提起し、2020年には各学校の教師が講師となるべく養成し、21年4月からの本格実施を予定している。

傾聴が重要視される中で、臨床宗教師、公認心理師などの資格制度もあるが、速水教育部長は独自のプログラムの特徴を、「まず自分自身の中にどのような喪失を抱えているのかを、自分で振り返ることから始め、聴くことと共に、グリーフ(深い悲しみ)を抱える方との対話を重視していきたい。自分の悲しみや喪失を大事にできない人は、人の悲しみを大事にできないとの観点から、対話できる僧侶、教師を養成していきたい」と話す。

大谷派の教育機関にはさまざまな特徴があり、学校によっては「グリーフケアだけでなくスピリチュアルペイン(死生観に対する悩みに伴う苦痛)に対応していける本格的な学びを行っていきたい」「大人数を対象とするプログラムの導入は難しい」との声もあったようだが、試験実施の受講生からは「すぐに現場に向かわなければならない中で、このような学びが欲しかった」「人と話す姿勢、聴く姿勢が大きく変わった」との感想も出ている。