念法眞教 青少年らが北方領土を視察研修

念法眞教

 

青少年らが北方領土を視察研修

地元活動家の学生らと交流

 

念法眞教は3~9日、中学生以上の青少年が北方領土の実態を学ぶために毎年実施している「第33回北方領土視察研修旅行」を行った。稚内市の宗谷岬や根室市の納沙布岬を訪問し、南樺太や北方4島を視察したほか、4島返還運動に携わる根室青年会議所会員や地元高校生と交流した。

稚内市内では、稚内念法寺で千島・樺太慰霊法要を営み、工藤広稚内市長が講演した。工藤市長は、かつて南樺太には約5000人が定住していたが、ソ連が侵攻し、多くの命が奪われたことを解説。「過去がどうだと言うつもりはない。未来をどうするかが大切」と話し、南樺太の若いロシア人を招いて日本で学ぶ機会を提供するなど、交流を進めていることを伝えた。

また、稚内念法寺の安藤スズさんが、南樺太に居住していた信徒の「ソ連に占領され、サハリンと呼ばれ、不条理に感じる」との声や、ソ連侵攻から逃れたが家族が拿捕された話などを語った。

知床半島の羅臼町では、元島民の高岡唯一さんや元島民2世の岩瀬榮さんの体験談を聞く講演会が行われた。冒頭で川端達也羅臼町副町長が挨拶し、「元島民の高齢化が進んでおり、一日でも早く返還してほしい」と訴えた。

講演の中で高岡さんは「歯舞と色丹の2島のみで話をしようとしている。4島の総面積は約5000キロ㎡だが、2島の面積は350キロ㎡と全体の7%に過ぎない。こういう交渉をすると日本の国土がなくなる」と話し、「太平洋戦争は、ソ連と戦ったのではない。アメリカを主とする連合軍と戦った」と4島が占領されている不条理を訴えた。(写真)

納沙布岬では、最東端に立地する展示資料施設「北方館」で小田嶋英男館長の解説を聞き、北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」では、石垣雅敏根室市長の講演を聴講。返還運動に携わる人々とも交流した。石垣市長は領土返還運動の草創期について語り、「一生懸命に運動しているが、地域の運動と言われ、右翼の運動と言われた。それでもがんばらなければならないと力づけたのは、皆さんの先輩方」と念法眞教が毎年欠かすことなく研修を繰り返していることに謝意を示した。

地元活動家との交流では、地元高校生が北方領土の返還に向けた出前講座を、青年会議所のバックアップを受けて全国各地で行っていることや、ビザなし交流などで接した島に居住するロシア人についての印象を語った。また、元島民を祖母に持つ高校生は「平和条約を早く締結してほしい。祖母と共に渡ることが夢」と話し、青年会議所会員は「ロシアの人も本音と建て前がある。『仲良くしよう』と話すが、結局は国と国の問題」と述べていた。