真宗大谷派金沢別院 来年の御遠忌に向け、本堂等の修復完了

真宗大谷派金沢別院

 

来年の御遠忌に向け、本堂等の修復完了

本尊が2年ぶりに本堂へ還座

 

真宗大谷派金沢別院は20日、本尊還座式と本堂等修復奉告法要を営んだ。金沢教区・金沢別院では来年5月に厳修する「宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌」の記念事業として、2年にわたる本堂修復工事を行うため、仮本堂に本尊を安置していた。

金沢別院の本堂は、1962(昭和37)年の火災で全焼後、71年に鉄筋コンクリート造りで再建されたが、酸性雨や風雪害により銅板に損傷が目立ち、雨漏りによるシミなども発生していたことから、記念事業として改修を計画。2017年6月から東別院会館3階を仮本堂としていた。

今年6月27日に修復工事が完了。今回の還座式では本尊を輿に納め、雅楽の演奏を先頭に、新しくなったガラス張りの渡り廊下を通って本堂に安置した。

その後の本尊等修復奉告法要と相続講員物故者追弔会は、大谷修鍵役(信明院殿)を導師に営み、多くの寺院や門徒が参列。表白では、火災での焼失から本堂が復興し、さらに50年の月日を経た今回の修復工事完遂に触れ、修鍵役は「念仏の僧伽の歴史において、多くの御同朋御同行によって今に“浄土の真宗”が手渡され受け継がれていることを深く受け止めさせていただく」と述べた。

このたびの改修では4億7110万円余をかけて本堂屋根の約3万6000枚の銅板をふき替え、外壁や軒裏、本堂外部の飾り金物の改修も行った。また参詣席を従来の畳敷きからタイルカーペットに変更して椅子席とし、本堂南側にスロープを新設しバリアフリーを実現。トイレを新設するなど参詣者の使い勝手にも配慮した。さらに本堂と会館をつなぐ渡り廊下の改修や、山門から本堂に続く石畳、駐車場のアスファルトによる舗装整備も行った。

小林斉輪番(金沢教務所長)は「昨年2月に記録的大雪があり、9月には41mの強風が吹き荒れた台風21号もあった。その間、工事関係の皆さんが寝ずに番をしてくださり、共に見守ったこともあったが、無事にこの日を迎えることができた。50年前の出火による本堂焼失から復興したご門徒の御心を、今回の修復で改めていただき直し、後世に伝えていく大事な御縁をいただいた。今後、寺院や宗教を取り巻く環境がさらに厳しくなると思われるが、修復を支えてくださった意志を無駄にすることなく、いっそう精進していきたい」と修復完了への感謝を語っている。