世界宗教者平和会議(WCRP/RfP) 世界平和構築に向け、第10回世界大会

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)

世界平和構築に向け、第10回世界大会

 

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)は8月、第10回目の世界大会をドイツのリンダウで開催した。125ヵ国から正式代表900人を含む宗教者や各界関係者ら1000人以上が、世界平和構築に向けて具体的な行動を起こすために集まった。

8月19日の女性ならびに青年事前会議から、23日の「大会宣言文」の採択まで、祈りの共有や分科会、全体会議などを開催し、「慈しみの実践:共通の未来のために―つながりあういのち」(WCRP/RfP日本委員会訳)をテーマに、宗教者の行動方針について話し合った。

世界大会は1970年10月に京都で第1回目が開催され、約50年をかけて10回大会を迎えた。この間にWCRP/RfPは、世界最大の諸宗教間対話の組織となり、国連とも共同する組織となった。

今回、初めてドイツで世界大会を開くにあたり、ドイツ連邦外務省「宗教と外交政策」部門が多大な支援を行った。ドイツが実質的に招請したともいえる背景には、同国内の不穏な社会情勢がある。2015年に同国は人道支援のためにシリア難民等100万人以上を受け入れたが、治安や失業率の悪化などの問題が発生し、ネオナチ運動の活発化などにより、国民が分断される事態となった。難民・移民問題を契機とし、理想的な共生社会の実現のためには、国際的な宗教間の対話連携が不可欠との判断があった。

ドイツの「宗教と外交政策」部門と同様の組織の設置は世界で増えている。また、一国の文化を左右するような問題に対峙するには、異なる宗教組織との対話が必要であることは、世界の宗教者の共通認識となっている。

開会式が行われた20日、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は、世界大会の開会を宣言し、「我々は、宗教がこれ以上憎悪や暴力の正当化の原因とされてはならない!という共通の信念のもとに、団結しなければならない。いかなる戦争も宗教の名のもとに行われてはならない」と緊急アピールを述べた。

諸宗教の祈りの後、宗教代表者らは、大会が取り組む主要課題について思いを述べ、全ての参加者に、それぞれの信仰に基づき、共に献身するよう呼び掛けた。

世界大会のテーマ「Shared Well―Being(つながりあういのち)」は、諸宗教の視点で積極的平和を促進することを示している。サブテーマ「共通の未来のために」の下、WCRP/RfPは「積極的に平和を促進する」「戦争やテロの紛争を予防し転換する」「公正で調和のある社会を促進する」「持続可能な総合的人間開発のために行動する」「地球を守る」の各テーマを提示。それに基づき、各地域では1年をかけて提言を練り上げてきた。

大会宣言文では、宗教の誤用、特に暴力や憎しみをあおるためにねじ曲げて利用されてきたことを反省し、宗教の違いを尊重しながら、人々が求めてやまない平和のために奉仕するとし、「レリジョンズ・フォー・ピース(RfP)創設以来49年間、我々は平和構築に力を注ぎ、社会的弱者のために声をあげることを決意し、取り組んできたことを我が喜びとする。我々は慈悲と愛による連帯である。我々はレリジョンズ・フォー・ピースが挺身する『共なる行動』の連合体であり、その活動はさらなる拡大と成長を遂げ、輝きを増している」と謳った。

世界の宗教者たちは、新たな軍拡競争、悪化する地球温暖化、熱帯雨林の破壊、海洋汚染、いのちのつながりを断絶するさまざまなことが起きていることを危惧。紛争を阻止し、終結させるだけでなく、平和を持続させるため、公正で調和のある社会を促進することに取り組む。コミュニティーや将来世代、自然環境との深い関わりこそが唯一、一人一人の尊厳を守ることになり、それにより人々の意識の変革につながり、結束を強めることになるとしている。