日蓮宗上澤寺 2度の蘇生を目前にして

日蓮宗上澤寺

 

2度の蘇生を目前にして

倒れたイチョウに実が付き

 

山梨県身延町の日蓮宗上澤寺には、日蓮聖人ゆかりの大イチョウがある。聖人の身代わりとなって毒饅頭を食べて倒れた白犬の供養のために、聖人が手に持っていたイチョウの杖を突き刺したところ、葉が付き、実がなったといわれる霊木である。

樹高23m、幹周り6・5mの巨木で天然記念物に指定されていたが、昨年9月30日の台風24号によって倒木。往時倒れた木を鉄骨で添え木して根部分を養生したところ、一年を経ずして葉と実が付いた。

2度にわたり復活したイチョウの不思議な力を目の当たりにした上田本昌住職は「日蓮聖人の教えにある、『妙法とは蘇生の義なり』がまさに実現することになる」と、復活を願って祈願してきた甲斐があったと喜び、霊木の蘇生を多くの人に知ってもらおうと看板を設置。また、イチョウの葉で毒消しを求めてくる篤信者には、完全復活のための寄進を呼び掛けている。

倒れた後に引き起こすと枯れる恐れがあり、しばらくは寝かしたまま葉や実を付けることになる。同寺では、ひこばえの木と併せて再生事業に取り組んでおり、当分珍しい光景が見られそうだ。

700余年にわたり茂ってきた同寺のイチョウは、葉の表に実が成る珍しいもので、枝が下に向って垂れさがっているため、「さかさいちょう」と呼ばれている。葉は消毒の秘妙符として、「毒消いちょう」としても知られている。