広島から金剛峯寺へ年貢米 550年ぶりの奉納に各地巡り

広島から金剛峯寺へ年貢米

550年ぶりの奉納に各地巡り

 

広島県世羅町の大田庄は、鎌倉時代に平家から後白河上皇に寄進された荘園で、「今高野山」を中心に、大師信仰が定着していた。平家によって再建された高野山の根本大塔で、上皇が清盛公没後の追悼を営んだ際、高野山の経営に充てるべく大田庄を寄進した。大田庄米の年貢米奉納も、鎌倉の終わり頃から途絶えたが、年貢米の積み出し港として栄えた尾道港の開港850年を記念し、観光協会などが中心となり550年ぶりに22日、大田庄の米を奉納した。

尾道市と世羅町の有志37人が「広島世羅・今高野山から和歌山高野山へ 年貢米奉納ツアー」を企画し、大田庄の中心寺院である今高野山龍華寺(醍醐派)を出発。当時の尾道における役所的な位置付けだった浄土寺(泉涌寺派)などを参拝し、高野山宿坊に宿泊。かつての歴史路をたどった。

550年ぶりの年貢米を受け取った添田隆昭金剛峯寺執行長は、往古の高野山経営にまつわる大田庄の歴史を振り返り、「今日、こうして550年ぶりに奉納米の儀が行われたことは有り難い」と感謝した。