真言宗御室派後期定宗 特別拝観等の好調が各部の増収に

真言宗御室派後期定宗

 

特別拝観等の好調が各部の増収に

地方寺院のための「よろず相談室」

 

真言宗御室派は2、3日、第150回令和元年後期定期宗会(木村正知議長)を開催し、2018年度の宗派ならびに総本山仁和寺の決算と、規程等の一部改正など上程された12議案を全て可決承認した。

就任から1年7ヵ月が過ぎた吉田正裕宗務総長は、前内局から引き継いだ「本山・宗派諸問題検討委員会」で取り組んできた所属寺院に対しての総合実態調査の結果について説明。檀信徒の減少・収入減・堂宇の維持が困難・住職の高齢化・後継者問題など、所属寺院は将来に不安を抱えているとし、「その結果、本山に対する意識の低下、宗団への不信感・無関心が蔓延してきている。加えて本山の魅力向上と財政確保、所属寺院の経済的負担の軽減が求められている」と述べた。その上で、内局は、現状での所属寺院への経済的負担は厳しいとの判断のもと、仁和寺の魅力向上、拝観者増への取り組みが必要と考え、さまざまな取り組みを行ってきたと報告。その一つ、観音堂修理事業と一緒に行った金堂蔀戸の日本産のうるしを使った修理が完了。また、金堂裏堂の五大明王の壁画を372年ぶりに初公開する「秋の特別公開」を企画し、多くの来場を得た。「仁和寺として、国や京都府、京都市の補助金だけではなく、文化財を利活用し、国宝、重要文化財をはじめ多くの文化財を護っていきたい」と方向を示した。

また、本山・宗派も諸問題検討委員会の答申を受け、「よろず相談室」を開設する。所属寺院からの不安や悩みごとを相談できるようにした。

御室流華道の門人減少傾向について吉田宗務総長は、少子高齢化、伝統文化への興味の低下、免状制度への抵抗等の理由で若い人たちが入門しなくなったなどの背景分析を行い、寺院を中心に、住職、寺族、檀信徒らによる華道興隆策を提案した。

2018年度の御室派の歳入は1億3040万円、歳出は1億2700万円。総本山仁和寺は歳入7億3540万円、歳出4億5290万円。

総本山決算では樹木整備・檜皮奉納に730万円、台風見舞金の130万円があり、諸堂収入に納経、金堂特別拝観納経などが2000万円加わった。特別拝観などで約1300万円の増収となり、拝観料は2億1800万円となった。

「真言宗御室派宗制」の改正は、一般法の改正に伴う文言の修正。住職等の要件を「心身の故障によりその職務を行うに当たって必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」と改正。得度者や、総代の欠格事項も同様に修正した。

また「認定による補任」の「大学三年以上修了」は、現行の大学制度では困難であり、宗制から削除するのが望ましいとの判断で改正した。

御室金剛講規程を一部変更し、運営委員の定員数を5人から7人に増員し、興隆を図る。

村田隆禅、高畑龍澄、岡田幸恵、友繁照純、長谷川隆法、尾池文章、大林實温、幡山寛念の各議員が一般質問を行った。