曹洞宗宗門護持会 関東地区の管区集会を開催

曹洞宗宗門護持会

 

関東地区の管区集会を開催

約200人が過疎など学ぶ

 

曹洞宗宗門護持会の関東地区は4日、2019年度の管区集会を曹洞宗檀信徒会館で開催した。(写真)管区内の教区長や護持会長ら約200人が集まり、過疎問題や人権について学んだ。管区集会では通例、意見や要望が投げかけられるが、今回は通告質問や当日出席者からの意見は出なかった。

集会冒頭、柴田正晴護持会長(関東地区檀信徒代表理事)は、護持会が創設されて50年になり、僧俗一体となって両大本山および宗門、寺院の外護者として運営することが重要と語った。また「多くを求めてしまう生き方を見つめ直し、自己を慎み、共に思いやり、分かち合う心豊かな社会の実現を常に望んでいる」と話した。渡邊雪雄関東管区長は、過疎地域における兼務寺院の増加や後継者不足が課題となっていると述べ、今回の集会で過疎地域における寺院活性化に関する研修を行う意義を伝えた。

中国新聞社文化部記者で地域の宗教などを取材する桜井邦彦氏と、性再適合手術を受けて戸籍・僧籍の性別を変更した柴谷宗叔氏(性善寺住職)を招いた研修を行った。柴谷氏は「LGBTの人が安心して旅立てる寺を!」をテーマに講演し、性転換した自らの経験を交えながら、性的少数者を取り巻く現状や悩みについて話した。桜井氏は「人口減少寺院の底力」と題して、過疎地域における寺院の現状を示しながら、活性化に向けた取り組み事例を紹介した。

集会を担当した群馬教区では、檀信徒数の減少や後継者不足によって寺院数が353ヵ寺に減少し、そのうち正住職がいる寺院は300ヵ寺を下回る状況で、過疎化が大きな課題になっている。喜美候部正令群馬県宗務所長は「今回の研修を通じて、各教区の護持会長は何らかの示唆を得られたのではないかと思う。『何かができるのでは』と感じてほしい」と話し、また「研修で示された事例を模倣するのではなく、地域の特性を活かすことが大切。また、これまでの寺院内で収まる関係性だけでなく、地域の寺院と檀信徒がネットワークを形成することで課題解決の糸口が見つかるはず。その意味で各教区の護持会は、ネットワークの母体になり得る」と語った。