真宗大谷派 『女性史に学ぶ学習資料集』を発刊

真宗大谷派

 

『女性史に学ぶ学習資料集』を発刊

明治以降の女性の宗門参画への歩み

 

真宗大谷派の解放運動推進本部女性室は『女性史に学ぶ学習資料集』を発刊した。96年に、当時としては初めて仏教教団に、性差別問題を専門に取り組む部署「女性室」を設置し、宗門内外の注目を集めた。20年以上にわたる女性室の活動の中で蓄積してきた資料をもとに、明治以降の大谷派の女性に関わる歴史を、全4章の構成で考察している。

第1章「大谷派の制度機構における女性の地位とその変遷」では、坊守制度の変遷や、女性の宗政参画への歩みについて触れている。

第2章「教化の対象としての女性」では、組織や団体を通じて女性たちがどのような教化を受けてきたのかに着目。1890年に発足した大谷派婦人法話会に始まり、兵士の慰問や遺族救護の目的で設立された愛国婦人会(1901年設立)、大谷派婦人聯盟(1932年結成)などの歴史も紹介。

第3章「真宗教学・教化のなかの女性観」では、大谷派における女性教化の言説に焦点をあて、明治期から戦前、戦中、戦後、そして現代へと、通史的に概観しながら、近代以降の大谷派に おける女性教化の特徴について考察した。

第4章「女性室開設の願い」では、女性による宗門活動の活性化と、積極的な女性参画の推進が願われた女性室の取り組みや、これからの課題についても言及している。

本書では多数の記録資料も掲載している。大谷派では1879(明治12)年に一人の女性が得度を志し、さらに小学校の入学を希望したものの認められなかった際の資料も収録。また、戦時中の1941(昭和16)年には宗制改正により、女性に得度と住職代務者への就任を認めたが、コラム欄では得度の条件だった当時の検定試験問題も抄録した。

さらに中国を慰問する裏方の写真や、44年の臨時女子教師検定合格者の得度の集合記念写真も掲載。過去の名だたる教学者の女性観を垣間見ることもでき、興味深い一冊となっている。

巻末には近現代女性史略年表を記載。B5判236ページ、定価1200円。