曹洞宗・妙心寺派 禅宗の2宗派が布教交流

曹洞宗・妙心寺派

 

禅宗の2宗派が布教交流

講演や法話実演で研鑽

 

臨済宗妙心寺派と曹洞宗は23、24日、「布教交流」を大本山妙心寺で行った。教化活動の発展と宗派間の交流を目的に、妙心寺派布教師修習生と曹洞宗布教師養成所の研修課程生が法話実演などを行い、宗派の垣根を超えた研鑽の場となった。

両派は3年前から学術面を中心に交流していたが、今年から布教面の交流も開始。6月に曹洞宗宗務庁で第1回目を行い、今回の開催が2回目となる。

交流では妙心寺派教化センターと曹洞宗宗務庁教化部を中心に15人が参加。講演の聴講や妙心寺境内の拝観も行い、交流を深めた。法話実演では、「祖師方の気づきの言葉を味わう」を主題に、「喫茶去」、「日日是好日」などの禅語について法話。「難しい単語は視覚的な工夫をしてはどうか」「聞き手が共感しやすいよう、メリハリをつけて話しては」など、さまざまな講評が出され、実演者らは熱心に耳を傾けた。

特別講演会では、「臨済宗と曹洞宗の違いについて」をテーマに、花園大学国際禅学研究所の舘隆志研究員が講演。曹洞宗僧侶の舘氏は鎌倉時代の曹洞宗を研究していたが、「臨済宗も含めた禅宗全般を学ばなければ正確な理解はできない」と考え、中世臨済宗の研究を始めた。鎌倉時代には、多くの曹洞宗の僧侶が臨済宗の寺院で修行するなど、両派に交流があったことを歴史をひもときながら語った。

野口善敬妙心寺派教学部長は、「同じ禅宗でありながら、これまであまりにも交流が少ないと常々思っていた。今後も切磋琢磨して高め合っていく機会を多く設けたい」と述べた。

岩浅慎龍妙心寺派常任布教師は、「布教は檀信徒に歩み寄る上で最先端にあるもの。他宗から学ぶ点も多く、今後も交流を続けて互いの良いところを学び合いたい」と語った。

喜美候部謙史曹洞宗教化部長は「国宝や重要文化財に囲まれた中での研修は、研修生だけでなく、私自身にも大きな刺激になった。他宗派との交流の大切さを改めて認識した」と話している。