真言律宗長福寺 重文・本堂解体修理が完成

真言律宗長福寺

 

重文・本堂解体修理が完成

5年の工期経て落慶法要営む

 

奈良県生駒市の真言律宗長福寺(大矢実圓住職)は、重要文化財である本堂の約5年に及ぶ解体修理が円成した。総本山西大寺長老である大矢住職を導師に宗内寺院が出仕し、落慶法要を22日に営んだ。

同本堂は鎌倉期の1262(弘長2)年に建立され、貴重建造物として1890(明治25)年に早くも国指定重要文化財に指定された。鎌倉時代中期の仏堂の基本的意匠をよく伝えている。

国庫補助を受けて奈良県が、2012年夏から解体修理に着手。赤外線映像など最新の技術を駆使した調査で、丸柱や壁面に描かれた飛天などの色鮮やかな絵が明らかになった。今般、往時の色彩を再現して描かれ、落慶に併せて本坊・書院に展示された。

同寺は推古天皇の時代に、聖徳太子の発願で毘沙門天尊を勧請した聖地と伝えられる。724(神亀元)年の聖武天皇践祚大典に際し宮中の西方に金龍が飛翔するのを感得し、同時に霊池であると究明され、金龍山の山号で尊称され、伽藍が造営された。

鎌倉時代に叡尊・思円上人が巡錫の際、本堂の老朽化と霊刹の荒廃を憂い、弟子の実詮、顕実をして復興のために勧進。鎌倉武士の賛助により建立された。

法要と式典には、小紫雅史生駒市長をはじめ、奈良県文化財保存事務所関係者、仏画関係者、寶山寺信徒、長福寺信徒総代を含む俵口世話人会など約50人が参列し、歴史と由緒ある古刹の往時を思い描きながら拝観していた。