日蓮宗 「日本文化芸術の礎」を設立

日蓮宗

 

「日本文化芸術の礎」を設立

本山顕彰を新たな手法で

 

一般社団法人「日本文化芸術の礎」の設立記念式典が11日に京都市内で行われた。京都に八つある日蓮宗の大本山・本山の顕彰・活性化に努めるとともに日本の文化・芸術を国内外に発信する。

日蓮宗が御降誕800年事業として掲げているうちの「57本山の顕彰事業」の一環。檀家などを母体に行政の参画も期待し、裏千家等の協力も得て、御降誕事業終了後の2021年以降も市民を巻き込んだ永続的な文化発信を目指している。

八つの各山とも多くの寺宝を護持している。中世から近世にかけて日本美術史上、重要な役割を果たした狩野派、長谷川等伯が起こした長谷川派琳派の祖とされる本阿弥光悦、尾形光琳など、有名な絵師の墓地もあり、ゆかりの奉納品が多い。

2015年には、琳派400年記念祭としてさまざまな顕彰行事やプロジェクトが行政などを交えて行われ、一種の社会現象の様相を呈した。先駆ける09年に京都国立博物館で行われた「日蓮と法華の名宝―華開く京都町衆文化」展も大盛況となり、寺宝を手がかりに一般社団法人化することで、より幅広い人が関わりやすくした。

設立記念式典はシンポジウム形式で行い、設立の経緯と意義を明らかにした。

芸術作品に精通する河野元昭東京大学名誉教授(元京都工藝藝術大学学長)は、町衆といわれた法華衆からすぐれた芸術家が輩出された背景を述べ、「日蓮聖人の衿持と現実との対決的姿勢が、芸術家に必須である自由と自在を担保したのかもしれない。従来の因襲にこだわらない信仰に基づくものが、自在な技法を生み、それが今の日本文化芸術の礎となっている」と、社団法人名の由来を話した。

日蓮教学面からは、伊藤瑞叡大本山本圀寺貫首(立正大学名誉教授)、支援主体となる日蓮宗宗務院からは中川法政宗務総長が登壇し、京都で町衆文化が花開いた基礎には日蓮聖人の教えがあることを述べ、一般社団法人の設立を喜んだ。

今後は、市民、観光業者と連携し、講演会や特別展などを催して八本山の顕彰事業を推進する。