総本山智積院 布施浄慧第72世化主が晋山

総本山智積院

 

布施浄慧第72世化主が晋山

相承法流の護持、大師教学の鑽仰誓う

 

真言宗智山派総本山智積院(芙蓉良英寺務長)は10月16日、真言宗各派総大本山の山主や各界重職ら諸大徳をはじめ、約450人参列のもと、第72世化主の晋山式を挙行した。(詳細は別掲)

布施化主を輿上に、職衆の集議・菩提院結衆、山内役職員が金堂まで華やかにお練りを繰り広げ、同山の慣例にのっとる厳かな法要が営まれた。

布施化主は本尊宝前で傳燈奉告文を奏上し、特に心を致すところとして、「相承法流の護持、宗祖大師教学の鑽仰、教化活動の活性化、宗祖大師ご誕生1250年慶祝諸行事の円成」を掲げた。智山講伝所上座阿闍梨として長年、後進の育成を担ってきた布施化主は、事教二相双修し、教化面においても口説布教、文書伝道、御詠歌奉唱等あらゆる方便を駆使して万民を豊楽に導く必要性を説いた。

式典では、来賓を代表して田代弘興総本山長谷寺化主が、「深く大師の教学を研究し、智山講伝所を通じて法儀事相の弛まぬ研鑽を積んで後進の指導に努められた。真言末資に求められる車の両輪、事教二相を具えられた已達の大徳」とたたえた。また、今年の後七日御修法で大阿闍梨を勤めた田代化主は、先に大阿を厳修した小峰一允前化主と、大行事を勤めた布施化主に伝授を受けるという勝縁に恵まれたことを披露した。

池田英乘教区代表会議長は「近年、我が国は各地で自然災害が発生し、被災からの復旧、復興は何年先になるか想像もつかない社会状況下にある。加えて国民の価値観の変容により、寺院を取り巻く環境は一層厳しくなっている。このような現状に対して、我々一人一人が自らを律し、末徒一同一丸となって努力精進することをお誓い申し上げる」と述べた。また、大槻俊介総本山智積院総代、飯島誉夫吉祥院総代がそれぞれ祝辞を贈った。

現在、総本山智積院では智積院会館の建立が進み、新たな装いで人々を迎えようとしている。加えて宗派を挙げて、2023(令和5)年の弘法大師ご生誕1250年の嘉年に向けた勧募を行い、もろもろの慶讃行事を繰り広げる準備をしている。芙蓉寺務長は式典の終わりに謝辞を述べ、布施化主の指導の下、山内一丸となって邁進するとし、変わらぬ交誼と教導を願うと述べた。