龍谷大学 創立380周年でメッセージ発信

龍谷大学

 

創立380周年でメッセージ発信

世界宗教フォーラム「自省利他」考える

 

龍谷大学は16日、創立380周年の記念式典を深草学舎で行い、入澤崇学長が400年に向けたメッセージを発信した。式典前には380周年で掲げた「自省利他」を考える世界宗教フォーラムを開き、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏らが講演。仏教、キリスト教、科学、企業の代表者4人が討議した。

記念式典では、音楽礼拝に続いて石上智康理事長が式辞を述べ、足利善彰浄土真宗本願寺派総務が大谷光淳門主の祝辞を代読。入澤学長が「龍谷大学からのメッセージ」を読み上げた。

メッセージは、2039年の創立400周年を見据えて検討中の「龍谷大学基本構想400」を踏まえた内容。自己を絶えず見つめて他者への思いやりを発動する「自省利他」の実践を掲げ、「まごころ(Magokoro)」を世界に向けて発信することを示した。入澤学長は「龍谷大学で学んだ学生が自分の手で未来への扉を開き、『まごころある市民』となって巣立って行く。社会に出た彼らが在学生に強い影響を与え、好循環で『光輝ある大学』が創り上げられると確信している」と力強く述べた。

「基本構想400」は今年度中の策定を目指す。「自省利他」を基調として、これまで10年ごとだった長期計画を20年間とするため、4年ごとの振り返りと見直しを行うという。

世界宗教フォーラムでは、仏教SDGsの推進を目指す「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」を龍谷大学と設立したユヌス氏が登壇。「ソーシャルビジネスと利他の行い」の講題で、社会の要請に応えたグラミン銀行の取り組みなどについて語った。(8面に要旨)ユヌス氏は同日、センターの開所式に臨んだ。

入澤学長は「ユヌス氏の提唱するソーシャルビジネスと『自省利他』の精神が一致すると考え、粘り強く交渉して講演が実現した。ユヌス氏を迎えてセンターの開所式も営めた。現在進める『仏教SDGs』の成果にもつながるはず」と話した。

また、フォーラムでは、森本公誠東大寺長老「聖武天皇の自省利他に学ぶ」、ハンスユーゲン・マルクス藤女子大学学長「隣人愛の掟―黄金律と互いの赦しにおける自省利他」、吉川弘之東京大学元総長「人間の思索の場としての科学研究―自省利他の心を持つ科学を目標として」、熊野英介アミタホールディングス社長「自省利他の精神における事業展開」の4講演後、入澤学長が加わり討議。モデレーターを務めた中谷英明380周年記念事業特別顧問が「自省利他」の原点がパーリ仏典であることを述べ、それぞれの立場で「自省利他」への考えを語った。