仏教の味わいを看護師に 「西本願寺医師の会」が初の外部講座

 浄土真宗本願寺派に関係する医師らが集う「西本願寺医師の会」と、同派が京都府城陽市で手がける「ビハーラ総合施設」が初のタッグを組み、看護師や介護職の人たちに仏教の味わいを伝える講座を1日、本願寺津村別院で初めて開いた。那珂川病院(福岡市南区)の月江教昭緩和ケア部長、出口湛龍ビハーラ総合施設理事長、大嶋健三郎あそかビハーラ病院院長の3氏の講演と討議に、約120人が耳を傾けた。

 本願寺派真教寺副住職でもある月江氏は「この世の苦しみは四苦八苦に収まる。いかに解放されるかが、スピリチュアルペインの解放でもある」と仏教の基礎を解説。
 
 出口氏は自坊・稱名寺の仏教婦人会会長が亡くなった時の話などを紹介しながら、浄土真宗の法話で仏教の味わいを伝え、「『救う』という阿弥陀さまの願いに気づくことで生き方が変わるのでは」と話した。
 
 大嶋氏は、伝統仏教教団によるホスピスである「あそかビハーラ病院」が、僧侶が常駐する唯一の独立型緩和ケア病棟であることなどを紹介し、「死の臨床とは、人が人を思いやり、人が人を支える現場。人生をかけるに値する仕事だ」と、終末期医療の現場で働く意義を説いた。

■医療・介護現場の関心高く

 今回の講座は、「西本願寺医師の会」が外部に出向いて開いた。同会は2015年に設立され、会員数は約200人。これまで毎年1回、法話を聴聞する研修会を本山と築地本願寺で会員向けに開いてきたが、外に開かれた講座とすることで、仏教に関心を持つ医療者のニーズを掘り起こしたと言える。
 
 発案したのは講演者の1人で世話人でもある月江教昭氏だった。筑紫女学園大学(福岡県太宰府市)の「臨床・看護師(みまもりし)講座」の講師を務めたこともあり、「がん患者や高齢者に近い人たちの苦悩に寄り添いたい」と考えたという。

(詳細は文化時報12月11日号をご覧ください)
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