“駆け込み寺”が必要 子どもの貧困めぐり討論 浄土宗

 浄土宗人権センターは5日、浄土宗公開シンポジウム「シングル家庭から考える子どもの貧困」を大正大学で開催した。藤原千沙法政大学大原社会問題研究所教授、吉水岳彦ひとさじの会事務局長(光照院副住職)、小川有閑大正大学地域構想研究所研究員(蓮宝寺住職)がパネルディスカッションを行い、辛さや苦しみから逃れる場としての機能が寺院にあるとの見解で一致した。寺院消滅が危惧される中、現代社会で求められる寺院像は、昔と変わることのない〞駆け込み寺〞なのかもしれない。
 
 吉水氏は「ひとさじの会」を通じた路上生活者の支援を紹介。アパートで生活できるように斡旋しても、路上に戻る人が多いことを明かし、「他者との交流がない生活に、生きる意味を見出せないから路上に戻る。無縁のまま生き、無縁のまま死ぬという社会に意味があるのか」と語った。
 
 また、子ども食堂と学習支援を行う「こども極楽堂」でも、子どもたちが孤独な状態に置かれており、モデルとなる大人と接する機会を持てないと説明した。加えて、深夜に帰宅しない非行少年には、帰る家があっても帰れない孤独があるとし、「人が人として大切にされる社会でなければならない」と訴えた。
 
 自殺対策やグリーフケアの現場で活動する小川氏は「自死を考える人の多くが、幼少時に不適切な養育環境にあり、自分自身が生きる価値を稀薄に感じている」と指摘。自殺への偏見から、遺族が誰にも言えない死別経験の苦しさを感じているとも述べた。「何でも話せて、何でも受け入れられることが大切。寺はそうした余裕を持てる場所になりえる」と語った。
 
(詳細は文化時報12月14日号をご覧ください)
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