臨済宗妙心寺派 傾聴基礎講座を開講

臨済宗妙心寺派

 

傾聴基礎講座を開講

〝聴く〟の本質を学ぶ

 

臨済宗妙心寺派は29日、花園大学に設置された妙心寺派僧侶育成課程の「傾聴基礎講座」を同派僧侶・寺族を対象に開講した。

第1、第2講は橋本和明花園大学教授が講師を務め、「“聴く”ことの難しさ」と「カウンセリングにおける傾聴の理論」について講義した。傾聴とは答えを出すことではなく、相手の言葉を受け止めることが大切だと説明し、「自分の考えを伝えると説教になる。言葉を映し返すことで、相手が自分を見つめ直すことができる」と話した。講義後、橋本教授は「僧侶の修行に『傾聴』を入れてほしい。“聴く”ためには相手と同じ目線で話すことが大切。師弟の立場ではなかなか難しい」と傾聴を学ぶ必要性を述べた。

第3、第4講は河合宗徹人権擁護推進委員(兵庫県成徳寺住職)が担当。「なぜ僧侶が傾聴をするのか」「傾聴僧としての傾聴の理論」の議題で、カウンセリングとの違いや傾聴の技術などについて講義した。「聴くことはそれだけで援助になる」と話し、「傾聴は僧侶が答えを出してあげるのではなく、応えること。相手が自分から悩みの答えを出せるように導く」と傾聴の本質について説明。(写真)講義の終わりには「スキルにとらわれていると傾聴の本質を忘れてしまう。相手の苦しみを和らげることが大切」と語った。

講義を受けた佐竹拓真氏(解脱寺・愛知西)は、「昨年、講義を受けた後、自坊に戻って檀家さんの話を聴いた。授業を受けるまでお坊さんはお経を読むことが大切だと思っていたが、実際に話を聴き、傾聴の大切さや難しさを体感することができた」と話した。