豊山派宗会臨時会 総本山長谷寺の大修復へスタート

豊山派宗会臨時会

 

総本山長谷寺の大修復へスタート

22年にわたる予算を全会一致で

 

真言宗豊山派は24日、第149次宗会臨時会(加藤章雄議長、川田興聖副議長)を開いた。総本山長谷寺(奈良県桜井市)の22年間にわたる本堂(国宝)、本坊(重要文化財)の大修復にかかる35億4755万円の予算を全会一致で可決し、同派初の大事業がスタートする。

2017年から5回の宗会や、総本山伽藍修復基金検討委員会を中心に度重なる会議を経て計画を策定。その結果、19年から22年間の特別賦課金徴収による修復事業を決定。すでに昨年11月の宗会では今回上程した特別会計の規則案を可決していたが、今次の宗会臨時会で「伽藍修復資金特別会計収入支出総予算」と、「令和元年度総本山国宝重要文化財伽藍修復資金」(1億6002万円)の2議案を可決した。

「特別会計収入支出総予算」の収入内訳は、▽特別賦課金26億4000万円▽宗派交付金9億711万円▽寄付金22万円▽雑収入22万円。特別賦課金は19年度からの22年間を、単年度1億2000万円とした。また宗派交付金は、宗派一般会計から4000万円を16年間、そして現在総本山に助成している「長谷寺境内防災整備助成金」を、助成期間が終了した後に予算を組み替え、単年度あたり2600万円を10年分の金額を合わせて予算化。寄付金と雑収入はそれぞれ単年度を1万円とした。

同支出では、▽総本山伽藍修復助成費は、本堂関連9棟、本坊関連9棟の事業費で34億9054万円▽事務費は会議費や令書の印刷・発送代等で4235万円▽記念品関係費は、檀信徒への守り札や住職への感謝状など869万円▽雑支出22万円▽予備費575万円となっている。

議案可決後、星野英紀宗務総長は、初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号のアームストロング船長の「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の言葉を引用し、「今日の決定が長谷寺の今後の偉大な発展に結びつき、そして増えている総本山のお参りの勢いを後押しすることになればうれしい」と修復の第一歩を踏み出せたことに感謝した。

加藤議長は「豊山派として初めての大事業のスタートにあたり、青信号を点灯することができた。22年後には立派に完成することを祈念している」と語った。また、川田副議長は「これから22年間の長谷寺伽藍整備事業のスタートに関わることができて感激しているとともに、その責任の重さを感じている。長谷寺は、豊山派の総本山であるのみならず、観音信仰の根本道場であり、これからも長く大切に護持していきたい」と話していた。