曹洞宗保育連合会 幼児教育・保育の無償化を研修

曹洞宗保育連合会

 

幼児教育・保育の無償化を研修

保育専門誌『遊育』の吉田氏招き

 

曹洞宗保育連合会は5月7日、吉田正幸保育システム研究所代表を招き、今年10月に迫った幼児教育・保育の無償化と、今後の保育政策の行方について研修した。

保育専門誌『遊育』の発行人で、児童教育問題に関する政府の審議会や地方行政の会議にも加わっている吉田氏は冒頭で、「無償化は決して悪いことではないが、園にとってはかなり問題が生じる可能性もある」と語り、少子化対策の「無償化」と「子ども・子育て支援法」が10年、20年後、園にどのような影響を及ぼすのかを説明した。

共働き家庭の増加により、1998年には幼稚園数を保育園数が上まわり、2015年に認定こども園が登場し、保育園の園児数が減少傾向に変わった。去年は6160ヵ園だった認定こども園が、今年4月には7200ヵ園を超えた。吉田氏は「社会構造の変化で、園の栄枯盛衰が決まっている。ただ、あらかじめ社会構造の変化が分かれば、それを逆手にとって手を打つことはできる」と話した。

近年、女性(25~44歳)の就業率が上がり、保育園利用率も比例して上がっているが、都道府県レベルでもその事情は違ってくる。北陸は伝統的に女性の就業率が高く80%を超え、保育園利用率も高い。一方で、待機児童が多いといわれている埼玉、千葉、愛知、神奈川、大阪などは女性の就業率が低く(65%ほど)、保育園利用率も低い。代わりに私立幼稚園が多い傾向にある。北陸は就業人口増の余地が少なく、人口減少もあって今後は保育園が縮小傾向をたどるとし、首都圏では保育園児が増えると幼稚園が苦しくなる可能性も指摘した。

さらに、自分の園の所在地、アクセスの利便性によって今後の対策の立て方が変わってくる点を、詳細な数値を示しながら説明。

無償化に伴い、公立施設の多い市町村では財政負担感から公立施設の民営化や統廃合等が加速する恐れがある。それを私立園が買収するなど、園児の大幅な移動の可能性もあると無償化の影響についても述べた。

また、吉田氏は支援事業の第2期計画では「認定こども園化へのブレーキがかかってくるはず」との推測も披歴し、「これから認定こども園化を目指すのであれば、正しい情報、確かな見通し、そしてスピード感を持って運営に取り組んでほしい」と訴えた。