真宗大谷派高山教区・高山別院 「正信偈」の響きを各家庭へ

真宗大谷派高山教区・高山別院

 

「正信偈」の響きを各家庭へ

本堂で勤めた同朋唱和への願い

 

御遠忌法要では、門徒参加型の同朋唱和による法要も勤められた。

真宗の教えが根付く飛騨地方も、核家族化や少子化で念仏の教えを次世代にいかに伝えていくかが課題となり、近年の教勢調査でも「各家庭のお内仏での報恩講」のお勤めの減少が明らかとなっている。

御遠忌計画を進める中で、朝夕の勤行で読誦している「正信偈」を御遠忌で響かせ、別院から各寺院へ、そして各家庭へ伝えていきたいとの願いから、同朋唱和による御遠忌法要が実現。あわせて『正信偈同朋唱和集―現代語訳付』を記念出版した。

11日午前の初日中では、「にっちゅう同朋唱和」として、各家庭でのお内仏報恩講のお勤めを営み、最後は「如来大悲の恩徳は」のご和讃が唱和された。全組門徒会員をはじめ希望者に声掛けをし、1年にわたって練習をした約300人のご門徒を中心に行われた。

午後からの結願逮夜は「おたいや同朋唱和」として、一般寺院の報恩講でも勤められる真四句目下念仏讃淘五、「五十六億七千万」のご和讃で勤められ、募集により各寺院から集まった約270人のご門徒が約3年間にわたって各組で練習を重ね、当日に臨んだ。午前午後とも満堂となり、堂内に「正信偈」の響きがこだました。

御遠忌同朋唱和の実行委員長である白川悟氏(願生寺)は、「同朋唱和の取り組みを通して、僧俗共に念仏の歴史に主体的に参加できたのではないか」と、お勤めを終え感慨深く語った。

三島多聞輪番は「15年ほど前に自坊(真蓮寺)で蓮如上人五百回忌を営んだ。その際、法要の仕方を考える中で、『同朋唱和で、しかも“淘五”で勤めてみてはどうか』との話になり、1年間練習を積んだ。法要では内陣からではなく、天井からお勤めの声が聞こえてきて、『別院での御遠忌も同朋唱和で勤めたい』と思い、森三智丸氏(秋聲寺)に相談した」と経緯を話す。

森氏は本山の中央声明講習会を修了し、その後、地元で若手僧侶のための声明儀式作法を研鑽する「師子吼会」を立ち上げ御遠忌も見据え取り組んだ。しかし、同朋唱和の計画がいよいよ実働するという矢先に、56歳の若さで逝去した。

三島輪番は「森さんの声明にかける熱意が教区の若手僧侶に何年もかけて伝播し、教区の声明にかける思いが高まり、さらにその思いがご門徒に伝わったことが今回の同朋唱和の実現の背景にある。ぜひ、この歴史を今後もつなげていきたい。全国の教区や別院の法要でも同朋唱和が行われるようになってほしい」と語っている。