浄土宗等級審査会 第14次等級審査を総括

浄土宗等級審査会

 

第14次等級審査を総括

格差是正も課題散見

 

浄土宗の全国地方等級審査会委員長会議(光岡素生中央等級審査委員長)が20日、京都宗務庁で開催され、第14次等級審査の総括を行った。教区間格差の是正は進んだものの、収支バランスを踏まえた審査を考慮すべきなどの課題も出され、第15次等級審査会への申し送り事項となった。

総括では、寺院の統廃合に伴って前回審査に比べ40ヵ寺が減少し、宗の寺院数が6983ヵ寺と、初めて7000ヵ寺を下回ったことが示された。それに伴い賦課金の基礎数となる箇数を合算した全国総箇数は5万4396箇となり、前回第13次審査に比べ22箇の戸数減少(第13次総箇数5万4418箇)となった。一方で、新たに浄土宗に帰属した寺院が4ヵ寺あり、実質的な全国総箇数は5万4396箇と57箇増となった。今回まとまった等級審査結果は9月中に全国寺院に通達される。

今回の審査では、過疎地域や積雪・寒冷地域と位置付けられる教区の総戸数を引き下げる一方で、経済活動が活発で寺院収入が安定している教区の総箇数を引き上げた。また、等級審査の物差しとなる等級適応範囲表に、各寺院から申告された寺院情報記述票の内容を厳正に適応し、これによって教区内および教区間の格差是正が進んだとしている。

一方で、25等級以上の大規模寺院であっても、多くの職員を抱え人件費負担が大きく、小規模寺院では収入を支出が上回るケースがあるなど、収入に焦点をあてた審査に疑問を持つ声が聞かれた。審査では収支のバランスを考慮したケースもあったが、ルールが明文化されていないため審査で混乱を招くことが課題とされた。

また、等級適応範囲表については、社会経済の状況を見据えて前回と内容が同じ等級適用範囲表を用いることが妥当と判断した。一方で、教区によっては等級適用範囲表の妥当性で悩むケースもあり、第15次等級審査では再検討する必要があるとした。

寺院情報記述票の提出については、元宗議会議員や元宗務庁職員といった立場でも「信念をもって提出しない」と述べたケースがあり、等級を上げるなどのペナルティーを課す必要があるのではないかという意見があった。ペナルティーの設定は地方等級審議会に権限があり、必要に応じて各教区で対応すべきとした。