月別アーカイブ: 2019年4月

高野山真言宗総持寺 古式ゆかしい装束で包丁式を挙行

高野山真言宗総持寺

 

古式ゆかしい装束で包丁式を挙行

「包丁道の祖」藤原山蔭偲び

 

西国三十三所第22番札所で、藤原山蔭を開基とする大阪府茨木市の高野山真言宗総持寺は18日、全国の調理師が集まり、包丁さばきの妙技を奉納する伝統の「山蔭流包丁式」を挙行した。

古式の装束に身を包んだ調理師が、手を一切触れることなく包丁と真魚箸で見事に鯛をさばく。(写真)平安時代、光孝天皇の命で山蔭公が宮中の料理作法を大成し、包丁道の祖として崇められている。この儀式を無事務めあげた調理師には、包丁道山蔭流宗家である総持寺から免許が授与される。

式後の法話で中西隆英住職は「不必要なものはない、また永遠のものもない」というお釈迦さまの教えを紹介し、「人間が要らないと思う雑草も、たくましく生きている。要らないものにも必要な部分がある」と、生き物全ての尊さについて述べた。

今年で5回目となる包丁士を務めた清水誠氏は、「何度もやっているが、やはり本元で行うのは空気がピンと張りつめて緊張した」と笑顔で語った。

また同寺では西国三十三所草創1300年記念事業の一環で、5月1~6月30日の土日祝日および6月18日、秘仏本尊「千手観世音菩薩像」の特別拝観を開催。「西国霊場お砂踏み」も開筵する。

学校法人大乗淑徳学園 長谷川前理事長の葬儀・告別式を営む

学校法人大乗淑徳学園

 

長谷川前理事長の葬儀・告別式を営む

学校教育の改革に専念

 

浄土宗の宗門校である大乗淑徳学園を長く率いた長谷川良昭師(前理事長)の葬儀・告別式が21日、八木季生大本山増上寺法主を導師に淑徳巣鴨中学高等学校で営まれた。

長谷川師は1938年に淑徳大学の創始者・長谷川良信師の長男として生まれ、高校卒業後の57年に父に従ってブラジルに渡り、南米浄土宗別院「日伯寺」創設に携わった。帰国して大正大学卒業後に巣鴨女子商業高等学校(現・淑徳巣鴨中高)に教諭として奉職し、70年に校長に就任。以降、淑徳学園の充実に努め、長年にわたる私学振興の功績により2010年に旭日中綬章を受章。今年3月9日に行年80歳で逝去した。

弔辞には、豊岡鐐尓浄土宗宗務総長の代理として新谷仁海前文化局長、さらに日本私立短期大学協会の関口修会長、書道・貞香会の赤平和順会長が登壇し、故人の功績を偲んだ。

葬儀委員長を務めた里見達人氏(大乗淑徳学園常務理事)は「長谷川先生は、まれにみる私学経営の才をお持ちの方。大乗淑徳学園も20年前は他の私立大学同様、幾多の負債を持っていた。しかし、長谷川先生は大変な手腕を発揮され、あっという間に負債を償却し、大きく発展させていただいた」と業績を振り返った。

また喪主で実弟の長谷川匡俊氏(現理事長)は「青年時代、兄には大きな夢があった。高校卒業と同時にブラジルに渡ったが、帰国後、父の逝去などで、ブラジルの大地に花を咲かせるという年来の夢は あきらめざるを得なかった。葛藤の末、先人の事業を継承することを決意し、学園の発展と私学の振興に全力を掛けた」と話し、多くの支えに対して感謝した。祭壇は白色の花を中心に、長谷川師にとって思い入れの深いブラジルの国旗の色である緑と黄色の花で飾られた。

真言宗御室派 諸問題検討委の「次」へNEXT委員会

真言宗御室派

 

諸問題検討委の「次」へNEXT委員会

女性住職を委員長に第1回委員会開催

 

真言宗御室派は、本山宗派諸問題検討委員会の答申を受けて立ち上げた、NEXT委員会の第1回会議を総本山仁和寺で17日に開催した。

開会式で、7人の委員に辞令を親授した瀬川大秀管長は「諸問題検討委員会で提言いただいた内容を基に、宗団における社会現象の変化、人口減少、過疎化、価値観や人生観、宗教への思いなどが多様化する中、新しくNEXT委員会を立ちあげ、宗団の方向性について検討いただく」とし、若い力と感性、行動力に期待を寄せた。

吉田正裕宗務総長は「全国アンケートを経て諸問題検討委員会から答申が出され、教師育成、寺院運営やその支援などについて新たな視点を求め、このたびNEXT委員会を立ち上げた。従来の委員会の枠にとらわれない自由な発想で考えていきたい」と挨拶した。

委員は、信者寺や檀家寺、街の真ん中の寺から地方の寺まで広く地域分散し、女性住職も加わった。

初回を終えて、鴨井智峯総務部長は、期待をはるかに上回る素晴らしい議論、提言だったとし、展開に好感触を示している。

委員長には唯一の女性委員である秦真瑞氏(備中・来迎院)、副委員長には鈴木宏章氏(広島・観音寺)が就任した。

委員は、加賀俊裕(大阪・三津寺)、福井良應(和歌山・興山寺)、増田実仁(香川・松浦寺)、武内諦照(愛媛・円満寺)、原口性亮(福岡・正法寺)の各氏。

「同和問題」にとりくむ宗教教団連帯会議 第39回総会で事業計画承認

「同和問題」にとりくむ宗教教団連帯会議

 

第39回総会で事業計画承認

新議長に山下義円本願寺派総務

 

「同和問題」にとりくむ宗教教団連帯会議(同宗連)は18日、第39回総会を浄土真宗本願寺派伝道本部で開いた。2019年度の事業計画などを承認し、新議長に山下義円本願寺派総務を選出した。

総会では、来賓の組坂繁之部落解放同盟中央本部中央執行委員長や会場提供教団の石上智康総長らが挨拶。副議長の林光俊天台宗社会部長と原乙司世界救世教いづのめ教団人権擁護委員会事務局長の進行で、事業計画など6議案を可決した。

17年10月から議長を務めた草野龍子真宗大谷派参務は、21年の結成40周年を前にアンケートを実施するなどした18年度の活動を振り返り、「部落差別の状況は、悪質な身元調査やインターネットの差別情報の氾濫など看過できない問題が山積している。40周年を視野に入れ、活動を振り返りつつ、差別問題の多様化への課題に取り組む必要がある」と呼び掛けた。

第20期となる19年度の議長教団は本願寺派(三輪教真事務局長)、副議長教団は西山浄土宗(吉水光章副議長)、神社本庁(牛尾淳副議長)、大谷派(草野副議長)が就任した。都道府県同宗連と連携しながら、部落解放基礎講座の実施や、狭山差別問題への取り組みなどを継続する。

山下新議長は就任にあたり「まだまだ学びが不充分だが、重責を果たしたい。2年後には結成40周年を迎える。引き続き協力をお願いしたい」と語った。

浄土宗西山禅林寺派 全国支所長会で宗会報告

浄土宗西山禅林寺派

 

全国支所長会で宗会報告

開宗賦課金など質疑

 

浄土宗西山禅林寺派は4日、全国支所長会を開いた。3月の宗会での決定事項や、立教開宗850年事業および賦課金について報告し、各支所長からの質問に内局が答えた。

立教開宗850年事業の予算説明では、賦課金に対する質問が相次いだ。今回から直檀に1口1万円で5口以上の志納金を求めることにした経緯について、奥垣内圭哲宗務総長は「檀家と言いながら、これまで寄付を求めてこなかった。檀信徒にもその意識がない。これではいけないということで、少しでも求めていこうということになった」と説明した。

寺院・教師に対する賦課金が他宗に比べて安いのではないかとの質問もあった。奥垣内宗務総長は「令和6年に850年を迎えるが、その2年後には証空上人生誕、令和12年には善導大師1350年、14年には法然上人生誕900年と、次々と遠忌が巡ってくる」と負担軽減を念頭に置いていることを述べた。これに対し、「それぞれの遠忌で賦課金を集めるのなら、早めに伝えてほしい」「850年のみなら良いが、この後に4回ある。賦課金の全体像が分かるようにしてほしい」との声があった。また、850年事業の賦課金を集める時期についての質問には、「令和元年7~8月に始め、2年間で集める」と答えた。(詳細は2019年4月24日号の紙面をご覧ください)

総本山知恩院 御忌大会が始まる

総本山知恩院

 

御忌大会が始まる

唱導師7人が一堂に会す

 

総本山知恩院は18日、8日間にわたって法然上人の忌日法要を営む「御忌大会」の初日となる開白法要を営んだ。

後柏原天皇から賜った「大永の御忌鳳詔」を唱導師が頂戴する「鳳詔頂戴式」を、伊藤唯眞門跡と井桁雄弘執事長立ち合いのもと営んだ。続いて行われた日中法要は伊藤門跡を導師に勤まり、高齢者招待祝賀会に参加した檀信徒や一般参拝者で外陣が隙間なく埋まった。

19~25日の日中法要では門跡代理の唱導師を、神居伸行氏(京都・光福寺)をトップバッターに、伊藤真昭氏(滋賀・善隆寺)、紀氏隆宏氏(兵庫・来迎寺)、溝淵寬雅氏(大阪・大寶寺)、吉水仙昭氏(奈良・迎乗寺)、永江憲昭氏(福岡・一心寺)、光成輝道氏(京都・大蓮寺)が勤める。(詳細は2019年4月24日号の紙面をご覧ください)

曹洞宗 アースデイに〝禅と食〟でブース展開

曹洞宗

 

アースデイに〝禅と食〟でブース展開

食から環境について考える機会に

 

曹洞宗は20、21日に代々木公園で開かれた「アースデイ東京2019」に3年連続で「Earth禅堂」を出展した。

今年のアースデイ東京のキャッチコピーは「エブリデイ アースデイ」で、曹洞宗では毎日の生活で欠かせない「食」を取り上げ、テーマを“禅と食”で統一し、食から考える環境について人々に訴えた。

ブース内の「食作法ワークショップ」では、修行道場での作法にのっとり、食前に唱える「五観の偈」を参加者も唱え、お粥をいただく体験を実施。(写真)また「写経ワークショップ」では「五観の偈」を写経し、人々に分かりやすく禅の食に対する考えを伝えた。

そしてフードコートでは、東京グランドホテル協力のもと、「禅粥」を販売。修行道場の朝食を再現した体に優しい玄米粥は、子ども連れの家族や、若者、外国人にも好評で、当初の予定販売数を超える盛況ぶりだった。(写真)

アースデイ東京実行委員でもある宇野全智氏(曹洞宗総合研究センター専任研究員)は、「毎年12万人が来場するイベントとしては成功しているが、果たして日々の生活から環境を考える機会になっているのかとの疑問もあった。曹洞宗として何を訴えられるのかを考えた時、毎日の食について、どのような心構えで作って、食べているのかを人々に考えてもらうことが一番分かりやすいのではないかと思った」と、今回のブース展開について説明する。

教化部企画研修課の我孫子高宏課長は「昨年からアースデイではSDGsを掲げているが、一人一人がSDGsにどう関わっていけるのかを考えていこうと、禅食をテーマとした。想像以上に“禅粥”が好評だった。地球にも人にも優しい食事だと支持されたのではないか」と語っている。

熱気にあふれた会場を訪れた喜美候部謙史教化部長は「若者たちに意外なほど坐禅や写経が人気のあることが分かり、禅がグローバルに展開する底力を肌で感じるイベントだった。この力が各寺院の護持につながるような施策も必要だと感じた」と感想を述べている。

真宗大谷派長浜教区 71日間におよぶ親鸞聖人の御遠忌

真宗大谷派長浜教区・五村別院・長浜別院

 

71日間におよぶ親鸞聖人の御遠忌

御坊を中心に開かれた町で

 

真宗大谷派の長浜教区・五村別院・長浜別院では、71日間におよぶ「宗祖親鸞聖人750回御遠忌」が始まっている。期間中には両別院での御遠忌法要のほか、長浜市や商店街も協力した企画展も実施する。

東日本大震災復興支援の思いも込めた3月10日の御遠忌オープニングイベント「いのちとことばの響舞台」でスタート。4月20日には五村別院で讃仰記念講演会を営み、佐藤第二病院院長の田畑正久氏(龍谷大学大学院前教授)が「医療現場で求められる仏教」と題して講演。満堂となる約300人が聴講した。(写真)きょう24日は長浜別院で讃仰記念講演会を開催する。講師講題は、中島岳志氏(東京工業大学教授)「となりの親鸞」。

また4月27~5月26日まで長浜別院、長浜城歴史博物館、曳山博物館の3会場で企画展を催す。

長浜別院大通寺では諸殿で黒壁ガラスの作家によるオリジナルガラス作品や、早川鉄兵氏の切り絵アート作品を、本堂の障子18面にわたって大迫力で展示する。長浜城歴史博物館では「親鸞とその信仰の潮流~湖北に息づく真宗の歴史と文化」、曳山博物館では「大通寺の美術と町衆文化―町衆文化の発信源としての御坊さん」を開催する。

長浜教区、長浜市、商店街の三者が協力し御遠忌を盛り上げるため、「3会場周遊チケット」(1000円)も用意している。

2012年から信仰篤い湖北、嶺南地方における御遠忌をどのようにお迎えするのかを協議。五村・長浜両別院を中心に町が開かれたという特徴があり、宗門内のみならず、町を挙げて長期の御遠忌を勤めることとなった。宮尾隆造教務所長(五村・長浜両別院輪番)は「親子三世代にわたる御遠忌をお勤めしたいと願っていた。71日間の折り返しを過ぎたところだが、祖父母や孫世代までの一人一人が親鸞聖人に改めて出遇い直しをさせてもらうべく、ゴールデンウィークからの3会場での展示や、両別院の御遠忌法要にも多くの皆さんに参加していただきたい」と話している。

また教区御遠忌実行委員会の伊吹惠鐘委員長は「長浜の地に真宗の教えが今も息づいていることがよく分かる企画展となっており、早川氏の切り絵アートは圧巻の作品。おそらく多くの評判を呼ぶはず」と期待している。

なお、法要日程は五村別院が5月10~12日、長浜別院が17~19日。

臨済宗妙心寺派 寺庭婦人研修会を開講

臨済宗妙心寺派

 

寺庭婦人研修会を開講

1年間の修行がスタート

 

妙心寺派は16、17日、第55回本山寺庭婦人研修会開講スクーリングを行い、参加した30余人が「寺庭婦人の務め」をテーマに、基調講演やテーマ講義、加行など、寺庭婦人としての基礎を学んだ。

開講スクーリングを受けた後は各教区で修行し、1年後の修了スクーリングの受講で研修が終了となる。

初日の開会式で小倉宗俊管長は「和尚さまのお導きのもと、誓願力をより高め、仏心をより強め、自坊へ持ち帰り、寺院の発展、布教に、より一層精進いただきたい」と寺庭婦人としての活躍に期待の言葉を送った。(写真)

基調講演を担当した栗原正雄宗務総長は「禅のこころ」について、「放すこころ」「ゆるすこころ」「感謝のこころ」だと講義。「寺庭とは、寺の内と外をつなぐ存在とも言われる。納得する寺庭の在り方を見つけ、自分なりの寺庭を目指して輝いてほしい」と述べた。

仏教の概要や歴史については、瀧玄浩温泉寺住職(信越教区)と小澤泰崇義雲院住職(山梨教区)が講義。その他、加行の説明・実践や、個人情報と部落問題についての人権学習、飯台座説明のオリエンテーションなどを行った。参加した松久志保さん(岐阜西・珠泉院)は、「講義を受けて、ストンと落ちたところがあった。今回学んだことを持ち帰って、がんばりたい」と語った。

寺庭婦人研修会委員の小林秀嶽圓光寺住職(北関東)は、「会を通して基本的な教養を身につけるとともに、寺庭婦人として日ごろ疑問に思っていることを改めて考えるきっかけにしてほしい」と参加者への思いを述べた。

浄土宗西山禅林寺派 全国支所長を対象に人権研修

浄土宗西山禅林寺派

 

全国支所長を対象に人権研修

僧侶として差別に向き合う

 

浄土宗西山禅林寺派は5日、全国の支所長を対象とした人権研修を永観堂会館で開催した。

部落差別の歴史をビデオ上映も交えながら学び、差別で苦しむ人が現在も存在する事実に対し僧侶として向き合う姿勢を持ち続けることが重要であることを確認し合った。

兵庫県多可町で部落差別を解消する活動を行っている団体「木の実学級」の会員を講師に行われた。「河原もの」と呼ばれた東山文化を支えた職方集団が、江戸期の宗門人別帳によって身分が固定化されたことなど、歴史的背景をビデオで学んだ。(詳細は2019年4月20日号の紙面をご覧ください)