月別アーカイブ: 2019年5月

曹洞宗保育連合会 幼児教育・保育の無償化を研修

曹洞宗保育連合会

 

幼児教育・保育の無償化を研修

保育専門誌『遊育』の吉田氏招き

 

曹洞宗保育連合会は5月7日、吉田正幸保育システム研究所代表を招き、今年10月に迫った幼児教育・保育の無償化と、今後の保育政策の行方について研修した。

保育専門誌『遊育』の発行人で、児童教育問題に関する政府の審議会や地方行政の会議にも加わっている吉田氏は冒頭で、「無償化は決して悪いことではないが、園にとってはかなり問題が生じる可能性もある」と語り、少子化対策の「無償化」と「子ども・子育て支援法」が10年、20年後、園にどのような影響を及ぼすのかを説明した。

共働き家庭の増加により、1998年には幼稚園数を保育園数が上まわり、2015年に認定こども園が登場し、保育園の園児数が減少傾向に変わった。去年は6160ヵ園だった認定こども園が、今年4月には7200ヵ園を超えた。吉田氏は「社会構造の変化で、園の栄枯盛衰が決まっている。ただ、あらかじめ社会構造の変化が分かれば、それを逆手にとって手を打つことはできる」と話した。

近年、女性(25~44歳)の就業率が上がり、保育園利用率も比例して上がっているが、都道府県レベルでもその事情は違ってくる。北陸は伝統的に女性の就業率が高く80%を超え、保育園利用率も高い。一方で、待機児童が多いといわれている埼玉、千葉、愛知、神奈川、大阪などは女性の就業率が低く(65%ほど)、保育園利用率も低い。代わりに私立幼稚園が多い傾向にある。北陸は就業人口増の余地が少なく、人口減少もあって今後は保育園が縮小傾向をたどるとし、首都圏では保育園児が増えると幼稚園が苦しくなる可能性も指摘した。

さらに、自分の園の所在地、アクセスの利便性によって今後の対策の立て方が変わってくる点を、詳細な数値を示しながら説明。

無償化に伴い、公立施設の多い市町村では財政負担感から公立施設の民営化や統廃合等が加速する恐れがある。それを私立園が買収するなど、園児の大幅な移動の可能性もあると無償化の影響についても述べた。

また、吉田氏は支援事業の第2期計画では「認定こども園化へのブレーキがかかってくるはず」との推測も披歴し、「これから認定こども園化を目指すのであれば、正しい情報、確かな見通し、そしてスピード感を持って運営に取り組んでほしい」と訴えた。

浄土宗芸術家協会 舞台芸術部門発表会を開催

浄土宗芸術家協会

 

舞台芸術部門発表会を開催

作詞・作曲家がそろって壇上に

 

浄土宗芸術家協会は21日、舞台芸術部門発表会を京都市内で行った。

光成輝道理事長は冒頭、「ほんの数人から始まった協会の演奏会が、今日まで続いた。継続は力なりというが、発表の場があることで、どんどん進歩し上達していく」と挨拶した。

三味線法話やチェロ、尺八、ピアノ、舞踊などさまざまな発表があった。

特に京都文教短期大学名誉教授でもある小川隆宏善導寺住職(京都教区)が指揮を執った女性合唱曲「ふうせん」他、数曲は本邦初公開。

プロ作詞家の国枝星志(本名・利章)氏(京都教区・親縁寺住職)と森本徳子氏が作詞した作品を預かっていた小川住職が、発表会のために曲を一気に書き上げた。小川隆昭善導寺副住職がピアノを担当し、小川住職と共に活動するアンサンブル・フレグランスの有志が美しい歌声を響かせた。

舞台挨拶に立った森本さんは「詞は曲が付いて初めて一人前になり、演奏する人があって初めて日の目を見る」と話した。多彩なジャンルの人たちが集まる芸術家協会ならではの舞台を作り上げた。(写真は右から小川住職、森本氏、国枝住職)

日中友好宗教者懇話会 新会長に山田俊和中尊寺貫主

日中友好宗教者懇話会

 

新会長に山田俊和中尊寺貫主

10年ぶりに会長交代を受け

 

日中友好宗教者懇話会は24日に都内で総会を開き、新会長に山田俊和氏(天台宗中尊寺)、理事長に内山堯邦氏(日蓮宗一乗院)、事務局長に持田貫信氏(日蓮宗本久寺)が就任した。

持田日勇氏(日蓮宗藻原寺)が昨年、総本山身延山総務の重職に就任し、多忙を極めることから会長職勇退を決意。今後は小野塚幾澄氏(真言宗豊山派金乘院)と共に、名誉会長として会を支えていく。

持田前会長は「多くの方の支援で10年以上にわたって会長を務めることができた。今後もアジアの友好のために仏教徒の力を貸していただきたい」と後進に会の将来を託した。山田新会長は「理事長時代から長く会に尽力され、方向付けをしてくださった持田前会長に敬意を表したい。日中友好が深まるよう、伝統を受け継いで会の発展に努めていきたい」と抱負を語っている。(写真)

総会では予決算、事業報告・計画のほか、講演会を開催。戸松義晴全日本仏教会事務総長が「全日仏の国際交流」について話し、仏教会におけるSDGsへの取り組みや、国際交流への大事な点を「人と人の相互信頼関係。それは一朝一夕でできるものではなく、日中宗懇の皆さんのように長い間に培ってこられた経験が大切。これからも後継者を育ててほしい」と希望した。

また理事には新たに水谷栄寛氏(高野山真言宗真照寺)と、鈴木潔州氏(曹洞宗嶽林寺)が加わっている。

真宗大谷派 慶讃法要の概要明らかに

真宗大谷派

 

慶讃法要の概要明らかに

青少幼年教化を重点施策へ

 

真宗大谷派が30日から開く宗会(常会)で主議題となる「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業」総計画案の概要が、宗会前に宗参議員に配られた。

15ページにわたる慶讃事業概要では、「基本方針」「慶讃テーマ」「法要・参拝」「教学教化の取り組み」「記念事業」「将来を見据えた宗門の基盤整備」「広報の取り組み」「財務方針」の8点を説明している。

「基本方針」は内局巡回時のパンフレット内容と大差なく、慶讃法要後の宗門の在り方を見据えた理念が描かれている。「慶讃テーマ」は、宗務総長演説での発表となる。

「法要・参拝」に関し、法要期間は第1期が2023年3月25~4月8日、第2期が4月15~29日。1日1座で、参拝席は椅子席とし、教区団体参拝用1800席、一般個人用300席を用意。

「教学教化の取り組み」ついては、⑴青少幼年教化⑵教師養成⑶寺院活性化⑷真宗の仏事の回復⑸本廟奉仕上山促進、の重点教化施策を掲げた。

⑴に関しては、寺院活性化支援室とも連携し、子どもや若者との出会いを通して、全ての事業が新たな仏弟子の誕生(帰敬式)につながる取り組みを目指す。そのために、23年5月6日に真宗本廟で“子どものつどい”を開催し、その“つどい”に関わるスタッフを全教区から募集し、青少幼年教化に携わる人の誕生を期す。

さらに50年前の慶讃法要記念で建設した「池の平青少幼年センター」(新潟県妙高市)の改修工事と創立50周年記念事業も行う。

⑵では、教師養成課程における「教化」の内容に「法話実習」や「グリーフケア」などの実践的な学びを取り入れる“教師課程の見直し”を挙げ、“取得後の研修制度の構築”“通信教育制度の検討”“開教区における教師養成”への取り組みを掲げた。

⑶では、地域事情に応じたきめ細かな教化活動の支援が行えるよう、全ての教区に寺院活性化支援室の設置を目指す。

「将来を見据えた宗門の基盤整備」については、今回の慶讃法要後に2048年の蓮如上人550回御遠忌まで大法要がないことから、激しい社会変化を踏まえた上で次世代に教えを手渡すための基盤づくりのため、“寺院活性化支援基金の設置”“宗務改革推進資金の充実”“教区教化の基盤整備”を掲げた。

慶讃法要までの4ヵ年度の重点教化施策の一つである寺院活性化の取り組みを、法要後の6ヵ年度間、継続して展開するための資金を“寺院活性化支援資金”として確保することや、さらなる教団再編成の推進に向けて資金の充実化を図る。そして教区教学研鑽機関の整備と充実や、地方都市教化のための“教区教化の基盤整備”にも力を入れることを掲げた。

妙心寺派霊雲院 則竹住職を中国テレビが取材

妙心寺派霊雲院

 

則竹住職を中国テレビが取材

「伝燈」を伝えるドキュメント

 

妙心寺塔頭霊雲院に24日、中国のテレビ番組「百年巨匠」が訪れ、趙樸初中国仏教協会元会長について則竹秀南住職が取材を受けた。

同番組は中国の国家レベルの大型文化プロジェクトで、過去100年に中国や人類社会で大きな影響力を持った巨匠100人に迫り「伝燈」を伝えるシリーズ。日本では、中国仏教協会の会長を務めた趙元会長の他、建築家の梁思成氏などとゆかりある場所を訪ね、中日友好や文化交流のエピソードを取材している。

霊雲院の先代住職である山田無文老師は趙元会長と親交が深く、弟子である則竹住職への取材は、かつて無文老師が使用していた部屋で行われた。則竹住職は、趙元会長から無文老師へ贈られた品々や詩を紹介。(写真)無文老師と訪れた北京での対面の様子や葬儀でのエピソードなどを話し、趙元会長の偉大さを丁寧に伝えた。則竹住職は「仏教に国境はない。黄金の絆で結ばれている日本と中国、韓国だけではなく、全世界が結ばれている思いだ」と語った。

曹洞宗 オーストラリア直証庵が創立20周年

曹洞宗

 

オーストラリア直証庵が創立20周年

同地として宗門初の海外特別寺院

 

オーストラリア第二の都市メルボルンにある洞光山直証庵の創立20周年記念行事が10~12日に行われ、是松慧海住職の晋山式も営まれた。

是松住職は永平寺(福井県)や瑞応寺(愛媛県)での修行を経てオーストラリアに渡り、1998年に自宅車庫に手作りの10人ほどが座れる単を設置し、直証庵と名付けた。2001年に是松住職はオーストラリア国際布教師に就任。日曜坐禅会を中心に活動し、昨年5月には同国初の海外特別寺院の認可を受けていた。

11日は是松住職の晋山式と、洞松寺徒弟で尼僧のテイラー・一心さんを首座に法戦式が営まれ、12日には近くの小学校体育館を会場に鈴木包一林叟院住職(静岡県)の記念講演会を開催。さらに是松住職の本師で直証庵の開基でもある大玄一光和尚の報恩供養の導師を鈴木聖道洞松寺住職が勤め、落慶創立20周年慶讃法要を喜美候部謙史教化部長の導師で営んだ。曹洞宗からは直証庵へ活動支援金が贈呈された。

喜美候部教化部長は「異文化の地に着実に篤信のメンバーを増やしている是松老師の不屈のフロンティア精神と努力に敬服した。今後もさらに世界各地に曹洞禅が広まるであろうことを確信した」と感想を話した。また、瑞応寺専門僧堂の修行時代から30年来の友人でもある内藤卓洲圓成寺住職(愛媛県)は「近くにあるベトナムの大きな寺院が全面的に協力して、お祝いの食事などを提供してくれていたことも印象的だった。是松老師が20年間がんばって、地域からの信頼を得ていることがよく分かった」と喜んだ。

豊山派宗会臨時会 総本山長谷寺の大修復へスタート

豊山派宗会臨時会

 

総本山長谷寺の大修復へスタート

22年にわたる予算を全会一致で

 

真言宗豊山派は24日、第149次宗会臨時会(加藤章雄議長、川田興聖副議長)を開いた。総本山長谷寺(奈良県桜井市)の22年間にわたる本堂(国宝)、本坊(重要文化財)の大修復にかかる35億4755万円の予算を全会一致で可決し、同派初の大事業がスタートする。

2017年から5回の宗会や、総本山伽藍修復基金検討委員会を中心に度重なる会議を経て計画を策定。その結果、19年から22年間の特別賦課金徴収による修復事業を決定。すでに昨年11月の宗会では今回上程した特別会計の規則案を可決していたが、今次の宗会臨時会で「伽藍修復資金特別会計収入支出総予算」と、「令和元年度総本山国宝重要文化財伽藍修復資金」(1億6002万円)の2議案を可決した。

「特別会計収入支出総予算」の収入内訳は、▽特別賦課金26億4000万円▽宗派交付金9億711万円▽寄付金22万円▽雑収入22万円。特別賦課金は19年度からの22年間を、単年度1億2000万円とした。また宗派交付金は、宗派一般会計から4000万円を16年間、そして現在総本山に助成している「長谷寺境内防災整備助成金」を、助成期間が終了した後に予算を組み替え、単年度あたり2600万円を10年分の金額を合わせて予算化。寄付金と雑収入はそれぞれ単年度を1万円とした。

同支出では、▽総本山伽藍修復助成費は、本堂関連9棟、本坊関連9棟の事業費で34億9054万円▽事務費は会議費や令書の印刷・発送代等で4235万円▽記念品関係費は、檀信徒への守り札や住職への感謝状など869万円▽雑支出22万円▽予備費575万円となっている。

議案可決後、星野英紀宗務総長は、初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号のアームストロング船長の「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の言葉を引用し、「今日の決定が長谷寺の今後の偉大な発展に結びつき、そして増えている総本山のお参りの勢いを後押しすることになればうれしい」と修復の第一歩を踏み出せたことに感謝した。

加藤議長は「豊山派として初めての大事業のスタートにあたり、青信号を点灯することができた。22年後には立派に完成することを祈念している」と語った。また、川田副議長は「これから22年間の長谷寺伽藍整備事業のスタートに関わることができて感激しているとともに、その責任の重さを感じている。長谷寺は、豊山派の総本山であるのみならず、観音信仰の根本道場であり、これからも長く大切に護持していきたい」と話していた。

佛光寺派定期宗会 本廟充実へ関連法規を議決

佛光寺派定期宗会

 

本廟充実へ関連法規を議決

能美議長・奥野副議長が就任

 

真宗佛光寺派は21~23日、第195定期宗会を招集し、次年度予算や、昨年8月に総合改修工事を終えた佛光寺本廟に管理者を置く法規改正など10議案を原案通り可決した。また宗会冒頭に、能美正洋議長(滋賀南)と 奥野賢照副議長(奈良)を選出した。

佛光寺本廟は、本山直轄の墓所。約10年前の法規改正で本廟部が廃止されて以降は、本山の財務部長が責任者を兼ねる形で管理していたが、今回の法規改正で新たな責任者として「主管者」を置くことを決めた。管理体制を明確化し、宗派の財源である本廟の充実を目指す。

(詳細は2019年5月29日号の紙面をご覧ください)

鶴見大学仏教文化研究所 石川素童禅師をテーマに公開シンポジウム

鶴見大学仏教文化研究所

 

石川素童禅師をテーマに

百回御遠忌にちなみ

 

鶴見大学仏教文化研究所は、大本山總持寺と共同で公開シンポジウム「石川素童禅師のご生涯とご功績―百回御遠忌にちなんで」を鶴見大学会館メインホールで6月8日に開催する。

川口高風愛知学院大学名誉教授の基調講演「近代曹洞宗における石川素童禅師の功績」のほか、菅原研州愛知学院大学准教授「石川素童禅師の授戒会」、尾崎正善鶴見大学仏教文化研究所客員研究員「御移転・再建実務の御功績」。その後、シンポジウムとパネルディスカッションが行われる。午後1時半開場。無料。

浄土宗 無住寺院対策の具体展開

浄土宗

 

無住寺院対策の具体展開

今秋にも委員会提言

 

浄土宗は、寺院問題検討委員会(加藤昌康委員長)で検討する無住寺院対策について、具体的な施策を盛り込んだ提言を今秋にもまとめる考えだ。来年3月の議会で、関連議案を提案することも視野に入れている。

住職が住んでいない浄土宗寺院は、全国に95ヵ寺存在している。宗では、それぞれの寺院の状況を調査した上で、1ヵ寺ずつ対策をまとめて対応する。現在、長野・三河・尾張・岐阜の4教区に所在する無住寺院12ヵ寺を対象に検討を進めており、今秋にまとめる提言に個別の対策方法を盛り込む。

寺問検では、取りまとめに向けて委員らが現地入りし、地元関係者らから聴取するなど詳細な状況把握に努めてきた。来月には提言の素案づくりに着手し、秋の議会後に最終取りまとめを行う。

施策の方向性としては、教区内寺院との合併または解散を見込んでいる。解散する場合は、財産処分や官報での告示などの手続きに充てる資金が必要となる。

現在は無住寺院の解散に対する資金支援制度がないが、寺院興隆資金の活用が最も妥当な方法と考えられている。今秋にまとめる提言の中に組み込まれる可能性が高く、宗では関連規程の改訂案を来年3月議会に提案することも考えている。

無住寺院対策は2015年に委員会を開設し、17年から施策の具体的検討に入った。おおむね3年が過ぎたが、対象寺院の全てを網羅するには長期間を要する。

一方で今回12ヵ寺へ対応したノウハウを他の83ヵ寺の対策に活かすことで、取り組みが加速することも期待されている。今年度は提言をまとめ、残る寺院の現地調査も手掛けたいとしている。