月別アーカイブ: 2019年6月

叡智の会 15周年記念講演会を開催

叡智の会

 

15周年記念講演会を開催

明石元国連事務次長を迎え

 

兵庫県宗教連盟叡智の会は、第15回記念講演会を29日午後3時から立正佼成会神戸教会で開催する。講師講題は「国連と共 に歩んで―これからの日本に 期待すること」明石康京都国際会館理事長。明石理事長は1957年に日本人初の国連入りを果たし、広報担当事務次長、事務総長特別代表を歴任した。無料。

発足15周年を迎える同会は、宗派を超えて宗教者として社会に提言、提案をしつつ共に実践していくことを目指している。

浄土宗等級審査会 第14次等級審査を総括

浄土宗等級審査会

 

第14次等級審査を総括

格差是正も課題散見

 

浄土宗の全国地方等級審査会委員長会議(光岡素生中央等級審査委員長)が20日、京都宗務庁で開催され、第14次等級審査の総括を行った。教区間格差の是正は進んだものの、収支バランスを踏まえた審査を考慮すべきなどの課題も出され、第15次等級審査会への申し送り事項となった。

総括では、寺院の統廃合に伴って前回審査に比べ40ヵ寺が減少し、宗の寺院数が6983ヵ寺と、初めて7000ヵ寺を下回ったことが示された。それに伴い賦課金の基礎数となる箇数を合算した全国総箇数は5万4396箇となり、前回第13次審査に比べ22箇の戸数減少(第13次総箇数5万4418箇)となった。一方で、新たに浄土宗に帰属した寺院が4ヵ寺あり、実質的な全国総箇数は5万4396箇と57箇増となった。今回まとまった等級審査結果は9月中に全国寺院に通達される。

今回の審査では、過疎地域や積雪・寒冷地域と位置付けられる教区の総戸数を引き下げる一方で、経済活動が活発で寺院収入が安定している教区の総箇数を引き上げた。また、等級審査の物差しとなる等級適応範囲表に、各寺院から申告された寺院情報記述票の内容を厳正に適応し、これによって教区内および教区間の格差是正が進んだとしている。

一方で、25等級以上の大規模寺院であっても、多くの職員を抱え人件費負担が大きく、小規模寺院では収入を支出が上回るケースがあるなど、収入に焦点をあてた審査に疑問を持つ声が聞かれた。審査では収支のバランスを考慮したケースもあったが、ルールが明文化されていないため審査で混乱を招くことが課題とされた。

また、等級適応範囲表については、社会経済の状況を見据えて前回と内容が同じ等級適用範囲表を用いることが妥当と判断した。一方で、教区によっては等級適用範囲表の妥当性で悩むケースもあり、第15次等級審査では再検討する必要があるとした。

寺院情報記述票の提出については、元宗議会議員や元宗務庁職員といった立場でも「信念をもって提出しない」と述べたケースがあり、等級を上げるなどのペナルティーを課す必要があるのではないかという意見があった。ペナルティーの設定は地方等級審議会に権限があり、必要に応じて各教区で対応すべきとした。

真言宗大阪市住職会 「青葉まつり」を盛儀に挙行

真言宗大阪市住職会

 

「青葉まつり」を盛儀に挙行

菅善通寺法主の法話や園児の歌も

 

真言宗大阪市住職会は19日、恒例の弘法大師空海ご誕生「青葉まつり」を大阪市内で開催し、約500人が参加した。道路および入り口には花御堂を設け、参拝者らが次々と灌仏した。

加賀哲郎副会長(三津寺住職)の開会の辞に続き、高野山金剛講大阪支所地方本部による奉詠が行われた。また、観音寺支部と滝山隆心氏が奉詠舞を献じた。

福島区和光園園児、同第二和光園園児が今年も献歌を披露し、会場は大きな拍手に包まれた。

佐久間義雄会長によると、同会の青葉まつりは終戦後間もない昭和20年代に始まった。佐久間会長は「大師号は諸宗の開祖が賜わっているが、弘法大師は入定から86年後に醍醐天皇より受けられた」と述べ、「時代は変わっても、その徳を偲び教えを受け継ぎたい」と挨拶した。

菅智潤総本山善通寺管長の講演「人生後半の幸福論」を聴講。

西塙康行副会長が閉会の挨拶で、明年の参加もと呼び掛けた。

曹洞宗 SDGs(持続可能な開発目標)の推進へ

曹洞宗

 

SDGs(持続可能な開発目標)の推進へ

宗派スローガンと志を同じく

 

曹洞宗は今後、2015年9月に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を宗門を挙げて推進することが明らかとなった。

同宗は代々木公園で行われている地球環境を考えるイベント「アースデイ東京」に3年連続で「アース禅堂」を出展するなど、伝統仏教界から環境問題に取り組んでいる。昨年11月に大本山總持寺で開かれた第29回世界仏教徒会議で「東京宣言」が採択され、世界の仏教徒を挙げてSDGsの実現を支援することが全日本仏教会の釜田隆文理事長(曹洞宗前宗務総長)から表明されたことも、今回の推進の背景にある。

曹洞宗では1992年に「人権・平和・環境」のスローガンを定めて以来、さまざまな取り組みをしてきたが、貧困や差別の是正、環境問題の解消を掲げるSDGsと志が等しいと、教団として推進に力を入れていくこととなった。

今後、SDGsのピンバッジを制作し、宗務庁職員、宗議会議員らに配布し、広く取り組みをアピールしていく。

天台真盛宗 前阪内局初の宗議会

天台真盛宗

 

前阪内局初の宗議会

駐車場整備へ特別会計

 

天台真盛宗は19日、前阪内局発足後初の通常宗議会(鈴木康之議長)を招集し、総本山西教寺の駐車場拡張整備に向けた1億4750万円の特別会計の設置など、8議案を全会一致で可決した。

来年3月の使用開始を目標にする新駐車場は、乗用車100台と大型バス20台の駐車が可能となる。総本山西教寺の南東に位置する市道に挟まれた約6500㎡の休耕農地を3200万円で買収し、市道の拡幅も含めて整備する。整備に関する特別会計の原資は、営繕などに使用する特別会計「祠堂金会計」を取り崩す。

(詳細は2019年6月26日号の紙面をご覧ください)

新義真言宗定期宗議会 新選良による初顔合わせ宗会

新義真言宗定期宗議会

 

新選良による初顔合わせ宗会

23年ぶりに檀信徒戸数見直し

 

新義真言宗は18日、定期宗議会を総本山根來寺で開き、2018年度事業報告、決算承認の他、根來寺運営、檀信徒戸数見直し、副住職認証申請再考など計6件を承認した。

中村元信管長は「各方面の意見に耳を傾け、参酌して活発な論議を尽くし、宗務運営に反映させて、よりよい宗団となるよう邁進を」と垂示した。妹川敬弘宗務総長は宗務報告で、いったんは承認を受けた宗費値上げを当面延期する3月議会の方針を確認し、「今回議案上程している檀家戸数の見直しは、長年実施しておらず、早急に行い実情に即したものにしたい」と述べた。

少子高齢化などで檀家離れが進み、従来の檀家戸数が実情と合わなくなっていると予想され、戸数の見直しを23年ぶりに行う。9月ごろには新戸数が出そろうと見られている。

総本山根來寺では、大伝法堂など6棟が一挙に重文指定を受け、一方で台風被害の修復はようやく完工が見えて来た。

今後、経年劣化が進む諸堂整備事業にも着手せねばならず、懸案の本坊建設については、議会に先立つ評議員会(宗議会議員が兼任)で概要を報告。詳細は3月の宗議会に上程する予定だが、宗派寺院の協力は欠かせないようだ。

同派の2018年度決算額は6100万円。次年度繰越金1020万円。

総本山根來寺の決算額は1億1620万円。歳出は1億1530万円。

今回は、4月1日付で全10教区中5教区が交代した新選良による初宗議会であり、議会構成を行った。

新議員は次の各氏。

▽東京第1=大谷雄昭▽東京第2=岡本義祐▽東京葛飾=牛田教隆(新)▽千葉=深野明宏(新)▽群馬=柳澤慶仁▽茨城=橘紀彦▽栃木=大塚真司(新)▽福島=五十嵐敬司▽山形=青木隆静(新)▽和歌山=鳥羽賢旬(新)。

五十嵐議長を再選し、副議長に橘議員を選任した。

五十嵐議長=1948年生まれ。福島県安達郡・相応寺住職。東北大学卒。議員2期目。県庁勤務が長く、福島学院大学の非常勤講師を務めるなど、行政や学識経験も豊富。

橘副議長=1955年生まれ。茨城県結城郡・福寿院住職。大正大学卒。議員2期目。自坊では幼稚園・保育園を経営している。

都会で暮らす人々に仏事を② 高野山東京別院

都会で暮らす人々に仏事を②

 

高野山東京別院

 

郷里の菩提寺を大切にしながら

 

高野山真言宗(添田隆昭宗務総長)は昨年9月、東京別院(港区高輪)に「高野山真言宗首都圏僧侶派遣窓口」を開設した。郷里の菩提寺と連携を図りながら、すでに20件ほどの依頼に対し、別院僧侶が出仕して葬儀や法事を勤めている。

首都圏で大師信仰を継続してほしいとの願いのもと、施主、東京別院、そして菩提寺との三者の関係を大切にする。施主側の葬儀や法事の費用については、戒名は菩提寺でつけてもらい、布施は菩提寺に全額を渡す。相談窓口である東京別院に在山する主監も含めた8人の僧侶が派遣された場合の布施は、菩提寺と執行者である東京別院が折半する。

また、遠距離の菩提寺住職が葬儀や法事で東京に来る場合、1泊1000円(食事なし)で別院に宿泊も可能。

同派では僧侶派遣窓口を設けたことを教報や宗報に掲載し、宗派の支所長を通じて各寺院に周知。郷里を離れて首都圏に住まいを構えた次男や三男に対し、仏事相談がある場合は専用電話に連絡してもらうことを推奨している。さらにインターネットで「高野山僧侶出仕」と検索した場合、東京別院がヒットするように工夫している。現時点では関西や九州などの、特に実家の菩提寺からの連絡がほとんどだという。

高野山東京別院の廣瀬義仙主監は「人口が集中する首都圏で、宗派も分からずに葬儀をしてしまうことを少しでもなくすため、そしてお大師さんの教えに沿って、しっかりとあの世に旅立ってもらいたいとの思いで取り組んでいる。重要なのは菩提寺の存在で、もし東京別院に連絡があった場合、菩提寺を聞き、分かった時はそのお寺に連絡をする。しかし宗派内寺院の中には兼職している住職も多く、首都圏に赴けない場合は、菩提寺住職の了解を得た上で東京別院から僧侶を派遣し、葬儀や法事を行う。ただ、お葬式は東京で行っても、郷里に帰って墓所を求めてほしいと必ず伝えている」と説明する。

中には、「菩提寺が分からない。確か真言宗だったような気がする」といった相談者に対しても、極力、別院で菩提寺を調べ、他宗の寺院であれば、その菩提寺や宗派に連絡するよう心掛けているという。

今後、地方寺院の兼職者が増える中、さらに東京別院の僧侶派遣窓口の試みは重要性が増すことが予想される。

廣瀬主監は「経済的に厳しく、『直葬でいい』という人にも、僧侶として『それは親不孝だよ。お金がなければないなりに、 先祖に感謝しなければならない』と伝えている。お檀家を大事にし、満足のいくお寺参り、お墓参りをしてもらわなければならない。先祖のありがたさ、生かされている命の大切さを、私たちも若い人たちに教育していかなければ。今こそ宗教ががんばらなくてはならず、そのためにも法事で困っている首都圏の人々の窓口となるよう、東京別院から高野山の存在を、お大師さまの教えをアピールしていきたい」と話している。

総本山光明寺 近隣住民400人が音色に酔う

総本山光明寺

 

近隣住民400人が音色に酔う

光明寺音楽祭を開催

 

総本山光明寺は15日、第9回光明寺音楽祭を開いた。近隣住民ら約400人が参加し、大殿に響き渡る音色に聞き入った。

音楽祭は、地域に根付く寺院として近隣住民に感謝の心を示すとともに、地域と一体となって盛り上げようと行っている。

今回は、多様なジャンルのプロから愛好家まで18組が参加した。第1回から連続出演している僧侶バンド「ぎゃーてぃ」を率いる日下俊精前執事長は「西山三派の中でも総本山光明寺は町はずれにある本山だが、土地の人々になじんでもらうことが大切。また、寺院には文化を発信することも求められている」と語り、「音楽祭を契機に、本山に参ったことのない人が来られる。新しい縁が紡がれていくのも大切なこと」と今後も継続して開催されることを願った。

櫻井随峰執事長は、芸術と宗教には心清らかになるという共通点があると話し、「年々良くなっているが、今回は特にレベルが高い。参加した方は感極まって帰られたと思う。本山の清らかなイメージを持ち続けてもらいたい」と語っていた。

また、近隣住民で能管(笛)の奏者として初めて参加した野中久美子さんは「笛の名手の平敦盛を討ったことで無常を感じ、法然上人に弟子入りした蓮生法師(熊谷直実)ゆかりの光明寺で奉納することができてよかった」と話していた。

G20諸宗教フォーラム 少子高齢化問題を考える

G20諸宗教フォーラム

 

少子高齢化問題を考える

高齢者から社会を明るく

 

既報の「G20諸宗教フォーラム2019京都」では、八つのセッションが行われた。12日に開催されたセッション7のテーマは「少子高齢化問題」。釈徹宗相愛大学教授(本願寺派如来寺住職)がモデレーターを、前野直樹日本ムスリム協会理事、國富敬二WCRP日本委員会事務局長、ヒーサー・フミコ・ハインバック氏(コロンビア大学学士)がパネリストを務めた。

少子高齢化は先進国共通の課題で、わけても日本は現在65歳以上が3500万人を、80歳以上が1000万人を超え、超高齢化社会に突入している。それにより医療費の増加や、年金の不足など、多くの問題が表出している。

立正佼成会出身の國富氏は、医学の発展による長寿を喜ばず、高齢化を否定的に語る現代社会に対する問題を提起。

「高齢者が生き生きとした社会が実現して初めて、若者が未来に希望を見いだすことのできる社会が実現する」と説いた。付言して、「世界は自国ファースト、弱肉強食から、分かち合う世界へと転換しなければいけない。貧困や暴力に晒されるのは高齢者や弱者。弱者のために挑戦するのが宗教者だ」と語った。

前野氏は、ムスリムがなぜ少子高齢化と無縁なのかを話した。ムスリムは教えの中で高齢者や子どもたちの価値について触れており、宗教が持つ普遍的な教えを生活レベルで実践している社会では、日本のように社会問題として顕在化しないと指摘した。

ハインバック氏はアメリカの少子高齢化問題について語った。白人社会では少子高齢化が進行しているが、それを上回る移民が押し寄せ、経済格差が社会的な問題となっている。また途上国では逆に人口が増えて食糧難などの問題が起こっていると述べ、先進国と途上国の比較を示した。

パネリスト同士の質疑応答では参加者からも意見が出され、少子高齢化問題は国際的なレベルで移民や格差、貧困と関わりが深いことが明らかとなった。少子高齢化社会の経済的負担については、みんなで分かち合うという意識改革の重要性が挙げられた。

進行役を務めた釈氏は「身近なところでは子育て支援や高齢者の居場所づくりなど、弱者に寄り添うのは宗教者の使命。今回のセッションは、グローバルな視点や、多様な意見が出て興味深かった」と語っていた。

臨済宗妙心寺派東林院 沙羅の花を愛でるひととき

臨済宗妙心寺派東林院

 

沙羅の花を愛でるひととき

はかない花の一生を味わう

 

沙羅双樹の寺として親しまれる大本山妙心寺塔頭の東林院(西川玄房住職)は、「沙羅の花を愛でる会」を30日まで開催している。初日の15日には、「花供養」を営んだ。参拝者は梅雨の時期に一晩ではかなく散る沙羅の花を愛でつつ、沙羅双樹にまつわる法話に耳を傾け、抹茶や菓子、同会のために作られた精進料理を楽しんだ。

東林院は昨年の台風21号の被害が大きく、沙羅の木も折れて弱ってしまったが、西川住職らの懸命な復興作業によって今年も無事に花を咲かせた。西川住職は「生きることも死ぬことも重要で、時は迅速に過ぎ去っていく。お茶を楽しみながら、花を存分に愛でていただきたい」と述べた。

参加者の簑原光子さん(福岡市博多区)は、雑誌で会があることを知り訪れたと話し、「お茶を習っていて、沙羅の花は茶花にもよく使うので、一度見たいと思って娘、孫と来た。思った以上にたくさん咲いていて驚いた」と語った。