伏見稲荷大社
本宮祭を斎行し神恩に感謝
伏見稲荷大社は22日、稲荷大神を祀る全国の崇敬者が神恩に感謝する本宮祭を斎行した。
前日には宵宮を行い、重要文化財である外拝殿やその周辺に日本画家や工芸家などが奉納した行灯画が展示され、国内外から訪れた大勢の人で賑わった。また、一昨年から頒布しているLEDの提灯を持って、鳥居が連なる幻想的な参道を歩く人もいた。
今年も近隣の龍谷大学学生が、よさこいソーラン踊りを披露し、祭を盛り上げた。
総本山知恩院は26日、御影堂落慶の奉修小委員会を開催し、音に特化した法会「知恩院御影堂落慶梵音供養」を来年10月2日に営むことを決めた。
梵音(ぼんのん)供養は、副題を「佛教東漸」と謳い、インドから中国を経て日本に仏教が伝わったことを表現する。詳細は、実行委員会で検討する。
法会は2部構成とし、第1部では、バンズリやシタールを用いた北インドの古典音楽や、箏や胡弓を用いた中国の伝統音楽、日本の雅楽を演奏して仏教の伝道を表現。演奏中には、釈尊の降誕を現すプロジェクションマッピングを堂内に投影することを検討する。
第2部では、「壱越(いちこつ)」の音程で唱える仏説無量寿経と「平調」の観無量寿経、「双調」の阿弥陀経を段階的に重奏し、最後は全員で念仏を称える。出座は、式衆会や七聲会などに協力を要請する予定。
開会時間は、東の空に満月があがる午後6時を想定している。開場と同時に、三門桜上などで別時念仏会を営む。音に特化した法会の開催は、南忠信執事が提案した。1987年に営まれた三上人大遠忌記念印度西域音楽法要「天樂西來」に出座し、「法会は音楽なのだ」と気付かされたという。この感動と体験を次世代にも伝え、未来に活かされることを期待している。
嵯峨大本山大覚寺は8月20日、「嵯峨の送り火」と親しまれる「宵弘法」の諸行事を、本堂から大沢池一帯で開催する。
午後5時に開門。6時から本堂で「宵弘法コンサート」を行い、7時から石舞台前で献燈供養法要の後、送り火法要を営む。
高野山霊宝館は、「第40回大宝蔵展高野山の名宝―きらめく漆工の美」を10月6日まで開催している。
重文・大日如来坐像(金剛峯寺)は元伽藍西塔本尊で、高野山開創から間もない時期の作と見られる。桃山時代の弘法大師坐像(万日大師作、金剛峯寺)は5年ぶりの公開。
そのほか、国宝・澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃(金剛峯寺)など漆工の名品や、重文・愛染明王像(金剛峯寺=後期)、先般新発見され注目を浴びた「圓通寺 八万四千宝塔」も特別公開している。
真言律宗は7月4日、臨時宗議会(辻村泰範議長)を開き、2018年度の真言律宗および総本山西大寺の収支決算を承認した。また、懸案事項である入山料化への道筋や、境内整備、低迷する大茶盛の興隆策などについて意見交換した。
開会に当たり大矢実圓管長は「令和天皇が即位され、平成天皇は上皇となられた。今、改めて思うに、西大寺は大きな節目、過渡期に来ているのではないか。東大寺などに比べまだまだだが、西大寺は西大寺として先へ進んでいかねばと思う」と垂示した。
松村隆誉宗務長は宗務報告で、「特に大茶盛の低迷が著しく、宗団に突きつけられた警鐘ではないかと思う」とし、意見を求めた。
大茶盛の希望者が減少していることの対策として、椅子席対応などを行っているが、近年は個人での参拝が増える傾向にあり、現在30人単位で受けている大茶盛を、20人程度で可能とすべきかを含め検討しているという。「一つの茶碗で回しのみすることが、現代では抵抗感があるのでは」については、同行事の根幹に関わる問題でもあり難関のようだ。
(詳細は2019年7月31日号の紙面をご覧ください)
総本山智積院は8月1、2日、第63回暁天講座を講堂で午前6時半から開催する。
1日は「仏師の志」松本明慶大仏師。
2日は「かがやいて生きる」花木義明南藏院住職・智山派中央布教師会会長。
土用の丑の27日、全国各地の日蓮宗寺院で、伝統的な行事である「ほうろく灸祈祷」が行われた。京都市上京区の本昌寺では、一般の鍼灸師による「ほうろく灸とハーブ温灸」のコラボイベント を開催した。
神戸市内在住の鍼灸師資格を持つ山川享子さんが、ハーブ温灸の普及のために神社仏閣で開催場所を探していたところ、多方面とコラボした寺院活動を行っている児玉真人住職と出会った。4年前から体調を崩しやすい 土用の期間の夏と冬に温灸を開催するようになった。夏限定の「ほうろく灸祈祷」も、体調を崩しやすい時期の暑気払いとして効果が高く、二つの温灸による効果は絶大として、リピーターも含め、雨天にもかかわらず多くの人が訪れた。
ハーブ温灸は、陶器の中で炭を燃やし、香りの良いハーブを焚く。山川さんは、ハーブ温灸も、ほうろく灸と同じく古来からリラックス効果と魔除け効果が期待されていたのではないかと話す。
また、土用の丑の日にちなみ、ナスを焼いてうなぎに似せた精進料理の「うなぎもどき丼」も提供。ハーブ温灸で体を温め、「うなぎもどき丼」で腹を満たし、児玉住職の修法でほうろく灸を受ける。住職の話では使っているモグサもハーブを加えたオリジナルなもので、訪れた人たちは癒やしのひとときを楽しんだ。
真如苑(伊藤真聰苑主)では、2001年から務めていた長塚充男教務長の退任に伴い、新教務長に西川勢二氏が、教務長代理に宮沢健治氏が就任した。
▽西川教務長=1948年佐賀県生まれ。71年に東京大学を卒業、同大学院博士課程を経て79年に真如苑事務局に入局。教学、国際、広報、企画部門に従事。95年真如苑救援ボランティアSeRV設立に携わり、環境NPOベルデ代表、(公財)ユニベール財団評議員などを歴任。教務長補佐を経て現職。
▽宮沢教務長代理=1947年東京都生まれ。70年に日本大学を卒業、金融系企業に勤務後、85年に真如苑事務局入局。財務、総務、人事部門を経て、2009年から本部長、13年から教務長補佐。また2009年から(公財)伊藤国際教育交流財団事務局長も務めている。
妙心寺派社会事業協力会は22~24日、大本山妙心寺と総本山鞍馬寺で社会事業従事者研修大会を開催した。妙心寺派寺院が経営する幼稚園や保育園、老人ホームなどの従事者40人余りが参加し、妙心寺派の教えやみ心を学んだ。
小倉宗俊管長は開会の挨拶で、「子どもたちや高齢の方たちと触れあう際の菩薩心を一層深めて、一回り大きくなって施設に帰っていただきたい」と、実りある研修になることを願った。
初日の法話は、栗原正雄宗務総長が「寄り添うこころ」の題目で、どのように今と向き合い、解決をするのか、自ら言葉がけや行動することの大切さを説明。「体で語る人、後ろ姿で導く人になってほしい」と述べた。(写真)2日目は小川浩平大阪大学基礎工学研究科特任助教の特別講演後、鞍馬寺へ移動し、信樂香仁貫主の法話に耳を傾けた。最終日は、大方美香大阪総合保育大学学長による特別講演「子どもの育ちと学びをとらえた幼児教育を考える」。現場で気付きを深め、子どもの学びにつなげる大切さを語った。
受講者の山口敦子さん(花園保育園)は、「仏の心を現場に直接、活かすのは難しい。私たちの内面が豊かになって、接する心を広くすることで、今回の学びが活かされるのだと思う」と述べていた。
真宗大谷派が2016年11月に、本願寺文化興隆財団(京都市山科区、大谷暢順理事長)を相手取り、真宗本廟境内に設置された財団事務所の明け渡しと、同じく境内の御影堂門前の緑地帯に設けられた東山浄苑行きバス停の撤去などを求めて提訴していた裁判が、7月19日付で和解となった。
暢順理事長は故・大谷光暢前法主の次男で、1996年に同派を離脱。東本願寺納骨堂事業として、約3万坪の東山浄苑で約3万基の納骨仏壇を安置する堂宇を保有している。
東本願寺大玄関の事務所(約39㎡)と倉庫(約39㎡)は、同派から財団へ1913年に無期限、無償貸与されていた。しかし財団は公益法人制度改革のもと大谷派への助成を運営目的から外し、解散時の財産帰属先を同派以外にも広げるなどの規定変更を行い、大谷派が財団に対して寄付行為変更の無効を求めた訴訟は、2015年12月に宗派の訴えを最高裁が退けた。
この判決により、事実上、両者は無関係な団体となり、同派は「財団が事務所等を使用する法的権利はない」と、使用契約の解除と2週間以内の明け渡しを求め、16年5月11日付の内容証明郵便で通知。財団側からは了承する意思が示されず、同年11月21日に提訴していた。
訴状では、大玄関に設置した事務所および倉庫の明け渡しと、16年5月13日から明け渡し済みまで、1ヵ月15万円の割合による金員の支払い、宗派所有土地上(御影堂門前緑地帯)にある東山浄苑行バス停留所の標識の撤去を訴えていた。
裁判所からの和解勧告を受けて協議を重ね、財団は事務所の明け渡しとバス停の撤去を行い、大谷派は東山浄苑底地賃貸 料年額を17年7月26日以降、1229万6000円へと値下げし(現行1284万4000円)、さらに大谷派が財団から役宅(新町役宅)として賃借している4部屋について明け渡しをすることなどで一致した。双方の明け渡しは来年1月18日までが期限。