月別アーカイブ: 2019年7月

総本山金峯山寺 70年ぶりに仁王像修復へ

総本山金峯山寺

 

70年ぶりに仁王像修復へ

五條管領導師に発遣法要営む

 

吉野山の総本山金峯山寺は、国宝仁王門の修復を行う。これに伴い、大峯山に入る修行者を迎え、修験の聖地と日本の心を守り伝えてきた仁王像も、70年ぶりに修復することとなり、五條良知管領の導師により仁王像修復発遣法要を11日に営んだ。

5mを超える金剛力士立像2躯の保存修理事業に伴う奈良国立博物館への移動搬出作業は、30日に最終工程を迎える。

第39回「平和を願うつどい」を開催 8月1日に台東区の坂東報恩寺で

第39回「平和を願うつどい」を開催

8月1日に台東区の坂東報恩寺で

 

関東甲信地区の真宗大谷派寺院有志約80ヵ寺が協力する「真宗大谷派・戦争犠牲者追悼法要実行委員会」は、坂東報恩寺(台東区東上野)を会所に、8月1日、第39回「平和を願うつどい」を開催。午後2時半から追悼法要を勤め、草野顕之大谷大学名誉教授が「真宗教団と抗争の歴史」と題して法話する。

事務局の佐々木誠正氏(正應寺住職)は「第1回の追悼法要で、故・和田稠先生は『真宗門徒は如何なる国土を願うのか』と問題提起され、支配のない、自由で平等な国、すなわち浄土を願って生きよと示してくださった。安全保障、憲法問題が重大な問題となっている今、多くの方と共に考えていきたい」と話している。

臨済宗妙心寺派 僧侶育成審議会で知客職制度を

臨済宗妙心寺派

 

僧侶育成審議会で知客職制度を

未来につながる本派僧侶の為に

 

臨済宗妙心寺派は18日、僧侶育成審議会(中西東峰委員長)を開き、来年度から設置する「宗学基礎学習会」の内容や、新たに提案されている教区での「知客職取得前研修会」(仮称)について議論した。

中西委員長より、「これからの妙心寺を背負う僧侶の育成に関する大変重要な審議。忌憚ない意見をお願いしたい」との挨拶を受けて始まった審議では、当局から「宗学基礎学習会」を2020年5月12~14日、10月17~19日に開講すると報告された。妙心寺派の僧侶にふさわしい宗学知識の獲得を目的に、雛僧教育の一環として行うとし、対象や資格、内容を提案した。対象は18歳以上、知客職以上の法階を有するものとし、前堂職法階取得研修会以前の受講の義務化を検討している。授業は全14コマで、うち2コマは試験。仏教概論や禅の教え、人権、法式実習など幅広く学べる内容を予定している。テキストは『臨済宗ハンドブック』と『人権推進~さまざまな差別』で、テキストの執筆に関わった講師を講座担当の候補者としている。また、法式の事前学習ができるよう、「法式入門DVD」の作成準備を進めており、年内の完成を目指している。

意見では細川晋輔委員(東京・龍雲寺)が、「僧堂を出てからも学びたい人は多くいる。広く声かけをしてはどうか」と提案。「前堂職までという上限はなく、勉強がしたい人は受けることができるよう考えている」と答え、前堂職取得を目指している僧侶を優先して受講者を募集する方向で考えていくとした。

また新たに提案されている「知客職取得前研修会」(仮称)については、本山の中学生以下の学徒研修会を廃止し、中学生までの学徒を対象とした知入前または知客職前の研修会を教区で開催することを義務付けるよう想定。委員からは「義務化は時代に反している。お寺以外の子どもたちも参加できる形にしては」「幼いころに本山へ行く経験が大切」「これまで行事を行っていなかった教区は大変では」などの意見が出された。栗原正雄宗務総長は「本山での研修会開催も厳しくなってきている」と述べ、今回の意見を踏まえて改めて検討するとした。

浄土真宗本願寺派 〝貧困の克服〟継続して推進

浄土真宗本願寺派

 

〝貧困の克服〟継続して推進

教区重プロリーダー配置へ

 

浄土真宗本願寺派は23日、全宗門的に〝貧困の克服〟を手掛けている「御同朋の社会をめざす運動」(実践運動)を推進する「重点プロジェクトリーダー」を全教区へ置くことを明らかにした。任期は運動推進期間1期で、今期は10月1日に就任し、期間が終わる今年度中まで務める。推進期間が4年間となる来期以降は、組リーダーの配置も予定する。

各教区委員らが集まる実践運動中央委員会(麻布明徳委員長)の席上で、事務局が方針を示した。教区重プロリーダーには、教区委員や教務所職員が就任し、教区委員会の推進計画に基づき実行を担当。教区内の組や寺院、教化団体の研修会講師なども行う。教区委員が就任する際は、サポート役となる教務所職員の「サブリーダー」を置くこともできる。

実践運動は次年度から、3年間だった重点プロジェクト推進期間を組長などの任期に合わせ4年間に変更するが、移行期間となった今期2年間で、宗門全体の課題として取り組んだ〝貧困の克服〟を宗派は次期以降も継続したい方針だ。

(詳細は2019年7月27日号の紙面をご覧ください)

成田山大阪別院明王院 盆行事を前に本堂の大煤払い

成田山大阪別院明王院

 

盆行事を前に本堂の大煤払い

本尊不動明王と両脇侍の御身拭い

 

成田山大阪別院明王院(橋本照稔住職)は16日、大煤払いと御身ぬぐいを行った。

目にも鮮やかな青竹のほうきを手にした僧侶が天井や壁面のすすを払うと、数人の僧侶が本尊不動明王ならびに両脇侍の身を丁寧にぬぐい清めた。

お盆を前にした恒例行事で、漆山照隆企画部長によると、青竹のほうきを用いるのが同山のならいだという。正月前と盆前の年に二度行う大がかりなもので、僧侶や職員が総出で行っている。

真言宗醍醐派臨時宗会 岩鶴議長、大原副議長を選出

真言宗醍醐派臨時宗会

 

岩鶴議長、大原副議長を選出

宗派と本山の連携を図り

 

真言宗醍醐派は10日、新選良による臨時宗会を開き、岩鶴密雄議長、大原弘敬副議長を選出するなど、議会構成を諮った。正副議長は共に議員歴3期目。

仲田順和管長は、「優しい言葉、優しい心を持った教師の育成、資質の向上を図り、宗団の公益性を発揮し、より良き宗団のあり方を検討いただきたい」と告諭。これを受けて岩鶴議長は、「管長のお心を受けて教師の資質向上を図り、宗団の発展の一助になるよう4年間務めたい」と宗団と本山が一体となって前進させていく決意を述べた。

また大原副議長は「宗教界を取り巻く環境は年々悪化するが、建設的に議論を進めたい」と語った。

壁瀬宥雅宗務総長は近年の硬直化する宗派財政を取り上げ、「財政的な問題は避けて通れない課題」とし、宗費を上げる意向を示した。また法流を大切にし、2024年に迎える弘法大師生誕1250年に向かって準備を進めたいと議会に要請した。

議会構成は次の通り。▽常置委員=岩鶴密雄(長)、大原弘敬、森村政昭、大道厳猛、荻原隆朝▽予算委員=岩城秀親(長)、髙志慈海、寶川良隆、叶義啓、大道厳猛▽決算委員=西坂栄峰(長)、森村政昭、奥田知正▽請願委員=荻原隆朝(長)、髙志慈海、和気正真▽署名議員=叶義啓、奥田知正▽院内幹事=寶川良隆、和気正真。(敬称略)

 岩鶴議長=三重県津市大宝院住職。1953年生まれ。前副議長。地元でラジオコメンテーターなどとして活躍している。

大原副議長=福岡県北九州市不動院住職。1959年生まれ。

大本山建仁寺 緑陰講座で小堀管長が提唱

大本山建仁寺

 

緑陰講座で小堀管長が提唱

全てのものをなくして悟りと出会う

 

大本山建仁寺は12~14日、緑陰講座を開き、最終日には小堀泰巖建仁寺派管長が「碧巌録第九十九則 粛宗十身調御」を提唱した。「全てのものをなくして初めて本当のことが出てくる。仏法にとらわれてはいけない。悟りの世界を忘れ、さらに上を行け。それが本当の悟りである」と説いた。最終日は期間中で最も多い約230人が参加し、講座後、粥座がふるまわれた。

真宗大谷派 『愚禿鈔』に新見解

真宗大谷派

 

『愚禿鈔』に新見解

安居本講で田代氏が発表

 

真宗大谷派の安居が17~31日、真宗本廟・大谷大学で開講されている。本講の講者である仁愛大学学長の田代俊孝行順寺住職は、4年先に迫った立教開宗800年慶讃法要を前に、一般に仏教全体の中での大谷派の立ち位置を示す教相判釈の意味を問うためとして、親鸞聖人の著作『愚禿鈔』を講じる。大谷派の安居で『愚禿鈔』が講じられるのは、1927(昭和2)年の村上専精氏、78(同53)年の藤原幸章氏以来。

今回の講本として出版された『“愚禿鈔”講讃―教相判釈と真宗開顕』(東本願寺出版)の中で、田代氏は新しい見解を発表した。

『愚禿鈔』は、親鸞聖人の著述の中では『教行信証』のように項立てをせず、“メモ書き”のように内容が書き綴られており、真宗教団の各派で必ず修学するが、難解であるため解説本が少ない。最も古い『顕智書写本』(専修寺蔵)などの上巻末の奥書に「建長七歳乙卯八月廿七日書之」とあることから建長7(1255)年に書かれたとされ、本願寺派では今もその説をとる。

大谷派では村上氏が、内容的に吉水での法然門下時代の手控えの書であり、「述」や「集」でなく「書之」となっており、建長7年は清書の日付であるとの説を唱え、以後、その理解が支配的だった。村上説の根拠の中心は、『愚禿鈔』の内容が、法然と同じく要弘相対門、つまり十九願自力門と十八願他力門の二門構成であるとの理解による。

これに対し田代氏は、親鸞が『教行信証』の「後序」で、流罪にあたって「竊(ひそか)に以みれば、聖道の諸教は行証久しく廃(すた)れ、浄土の真宗は証道いま盛なり、しかるに諸寺の釈門、教に昏(くら)くして真仮の門戸を知らず、洛都の需林、行に迷うて邪正の道路を弁(わきま)うることなし」と述べていることから、内容的に「真仮の門戸を知らない」諸寺の釈門、「邪正の道路を弁えない」洛都の需林に応えたものであるとする。

従って、上巻は「教相の真仮」、下巻は「三心の真仮」が述べられ、仮(方便)から真(真実)へ、「仮宗」から「(浄土)真宗」への転入が述べられているとした。しかも「浄土の真門」、つまり二十願自力の信の念仏が立てられ、要真弘三門構成になっていると指摘。また、善導の『観経疏』の読み変えによって、自利真実、利他真実を立て、自利真実から利他真実に帰する他力の信を得るプロセスだとし、この理解が「他力の菩提心」や「信心仏性」の思想構築の根拠になっているとする。

さらに、親鸞は「信巻」冒頭に、「至心に回向せしめたまへる」という読み変えをして「他力回向」の根拠としているが、本書の三心釈理解でも回向発願心釈で「回向せしめたまへり」と読み変えをし、自力の回向から他力回向への展開を述べていると記している。また、同じく回向発願心釈で、言葉こそ出していないが往相・還相の二回向の考え方を提示している。『愚禿鈔』には法然の『選択集』には見あたらないことが書き記されており、『愚禿鈔』は吉水時代ではなく、流罪中および関東での思索の書ではないかという見解を示した。

だからこそ、資料も十分でなく、箇条書き、メモ書きのような記述で、『教行信証』を書き記す前段階の内容そのものであり、その成立のプロセスと見ることができるとの解釈を打ち出した。

ただ、『般舟讃』や『楽邦文類』など帰洛後でないとみることができない資料が入っているので、その時点で加筆したと考えられるという。

田代氏は2年がかりでこの講本を書いたが、大学院生時代に恩師・藤原氏が『愚禿鈔』について講じたときから、その内容に深い関心を抱き、自身の本講出講に際し、『愚禿鈔』を選んだ。

なお安居のもう一つのテーマは浄土真宗としての立教開宗の意義を確認することである。「教相判釈」によって、はっきりとそれが打ち出されているので、それを参加者と学び合いたいと述べている。

真宗大谷派 歴史ある安居が開講し

真宗大谷派

 

歴史ある安居が開講し

立教開宗の意義を確認

 

真宗大谷派において300年以上の歴史を有する恒例の安居が17日に開講した。(写真)

大谷暢顯門首と鍵役、内局、都講、有学階者らが参列した真宗本廟での開講式で、本講の田代俊孝氏(嗣講)は『愚禿鈔』を講本に取り上げることの意味を、「慶讃法要を迎えるにあたり、改めてなぜ親鸞聖人が本願念仏の教えを『浄土宗』ではなく、『浄土真宗』と名付けられたのか。また、そのことがいかなる意味を持つのかを『愚禿鈔』からたずねてみたい」と述べた。

次講の宮下晴輝氏(擬講)は、「『摂大乗論』は境行果という組織をもって論じられ、全十章の最後の二つの章が果に相当する。安居で考究するのは『彼果智分』と名付けられる第十章で、仏教思想史から見て『大乗荘厳経論』に次いで、この箇所が最初のもっともまとまった仏身仏土の論説であり、先学による研究成果を紹介しながら考究していきたい」と話した。

31日までの2週間、大谷大学や同朋大学の大学院生20人を含む61人が集い、大谷大学大学院修士課程2年の大谷裕鍵役も他の大学院生と共に聴衆として参加している。

大本山成田山新勝寺 江戸時代から続く成田山祇園会を開催

大本山成田山新勝寺

 

江戸時代から続く成田山祇園会を開催

大本堂前に神輿や山車が集結

 

 

真言宗智山派大本山成田山新勝寺(橋本照稔貫首)は5~9日、令和初の「成田山祇園会」を厳修し、5~7日には華麗な神輿と山車が総集結した。

成田山奥之院光明堂に祭祀する秘仏本尊・大日如来に万民豊楽、信徒安全、心願成就、町内安全を祈願する祭礼で、江戸時代から約300年続いている。10台の山車が巡行する華麗で壮大なもので、各町内一帯は連日賑わった。

期間中、大日如来を特別開帳し、古来より、どんな病いも治癒したと伝えられる「天国宝剣頂戴」で無病息災祈願が行われた。

今年は天候に恵まれなかったが、無病息災を願う多くの信徒が参拝した。