月別アーカイブ: 2019年10月

真宗大谷派浄滿寺 宗祖御遠忌と八角三重塔の落慶を厳修

真宗大谷派浄滿寺

 

宗祖御遠忌と八角三重塔の落慶を厳修

大谷暢裕門首後継者も出向

 

真宗大谷派の浄滿寺(大分県日田市)は19、20日、「宗祖親鸞聖人750回御遠忌法要」と「八角三重塔落慶法要」を厳修した。京都の本山から大谷暢裕門首後継者が出向し、大谷浩之鍵役も参修。暢裕門首後継者にとっては来年に門首交代が決定してから初めての地方寺院への出向となり、注目を集めた。

浄滿寺には1966年に建立された納骨堂があったが2011年の地震で被災し、14年に新たな八角三重の納骨塔が完成した。納骨壇は渡邉眞理住職の友人でもある日本画家の畠中光享氏がデザインした。

また記念講演には畠中氏が登壇し、渡邉住職との交流や、畠中氏の代表作となった浄滿寺本堂内陣の荘厳画、納骨塔に描いた絵画の意味についても話した。

さらに今回の法要を機縁とした帰敬式を87人が受式。稚児行列には98人の子どもと保護者が、日隈城の城下として開かれた歴史ある隅町を練り歩き、地域の人たちも含めて両日で約1000人が参拝した。

暢裕門首後継者は多くの参拝者を喜ぶとともに、「ご門徒の皆さんには今日の法要を勝縁として、自信教人信の誠を尽くし、あらゆる人々と共に同朋社会の顕現に努めていただきますよう」と挨拶した。

渡邉住職は「少子高齢化、過疎、教えが伝わらないといわれる時代にあって、聖人の『ただ念仏して弥陀にたすけまいらすべし』の教えが、現在に、そして未来へと引き継がれ、次の世代に念仏の教えが相続されることを願っている」と話している。

第42回智山談話会 院政・鎌倉期の禅と密教

第42回智山談話会

院政・鎌倉期の禅と密教

 

智山勧学会は、「鎌倉仏教―密教の視点から」を基調テーマに実施している智山談話会の第42回講座を、11月6日午後2時から「院政・鎌倉期の禅と密教」と題し港区の愛宕別院真福寺で開催する。講師は末木文美士国際日本文化研究センター名誉教授。

同会では、「末木名誉教授が、名古屋大学を中心とする大須観音・真福寺聖教の研究チームに加入して以来、写本研究のみならず、思想研究が一層深化し、従来の顕密体制論、鎌倉仏教観が大きく変容を遂げつつある。われわれ真言宗智山派にとっても、誠に興味深いトピックスを論じていただく」としている。

上毛仏教美術研究会 美術展を前橋市立図書館で開催

上毛仏教美術研究会

 

美術展を前橋市立図書館で開催

養蚕の仏「馬鳴菩薩像」の展示も

 

群馬県には上野国分寺・国分尼寺などの古代寺院から始まり、現在、約1200の寺院がある。

群馬県の仏教美術を多くの人に知ってもらいたいと上毛仏教美術研究会が令和への改元を機 に結成された。

結成記念として、会員の秘蔵する仏教美術を集めた「第1回上毛仏教美術展」を11月12~26日に前橋市立図書館で開催する。

風外慧薫生誕451年記念として、群馬県安中市出身で曹洞宗禅画の祖・風外慧薫の描いた「蘆葉達磨図」(江戸時代前期)や、養蚕の仏である「馬鳴菩薩像」(江戸時代)なども展示する。

また11月13日午後6時から、前橋市上泉町の天台宗宝禅寺で、小野瀬和男氏(元群馬県立歴史博物館学芸員)による講演会も催す。

事務局の鈴木潔州嶽林寺住職(曹洞宗)は「当会での展示には、指定文化財のような華々しいものはないが、身近にある仏教美術から何かを感じていただきたい。群馬県は養蚕が盛んで、馬に乗った菩薩である『馬鳴菩薩像』は大変珍しい。また1783(天明3)年の浅間山の大噴火の際に多くの方が亡くなり、その供養のために作られた個人所蔵の仏像も多くあり、今回の展示で公開したい」と話している。

総本山知恩院 秋のライトアップ2019

総本山知恩院

 

秋のライトアップ2019

式衆会が声明で初登場

 

総本山知恩院は11月1日、おてつぎ運動の一環で、「お坊さんに会いに行こう!知恩院 秋のライトアップ2019」を開幕する。一人でも多くの人にお念仏と縁を結んでもらうことを願いとして毎年開催している。

今回は、総本山式衆会が初めて参加し、「みんなでつくろう! 声明L ive~歌って感じる極楽浄土」と題して阿弥陀堂で声明を披露。声明の解説や参加者と共に唱えることで、法会の魅力を伝える。

宝佛殿では、法話と“木魚念仏体験”として別時念仏を行う。今回の法話のテーマは、昨年よりも踏み込んだ「他力本願」「諸行無常」「一蓮托生」「生死事大」にした。

三門下や宝佛殿で開催するイベント「おてつぎフェス2019―HAND TO HAND」は、今回は僧籍を持つ人だけで構成し、過去最大人数が出演。イベント開催数も過去最大とし、昨年を上回る規模となる。

三門下で行う「坊主・オン・ステージ」では、1日のオープニングは由良英寛氏(三河教区観音寺)が和太鼓奉納演奏。4日は浄土宗と天台宗僧侶のユニット「廻天坊主」によるブレイクダンスショー、2、16、30日は知恩院職員で結成する坊さんバンド「ぽくぽくすまいる」が演奏する。17日は雅楽会が演奏後に境内を奏楽しながら行道し、12月1日は松鶴家ぽんの芸名で活動する僧侶がコメディーマジックで登場する。

宝佛殿では「変わりダネ法話」と題して、演奏や紙芝居を交えた法話を行う。1日と17日は寺尾昌治氏(大阪教区西光寺)が三味線で登場、2日と30日は山添真寛氏(滋賀教区浄観寺)が紙芝居、3、4日は大門哲爾氏(福井教区善導寺)がギター、16日と12月1日には川野真広氏(奈良教区善福寺)が二胡の演奏を交えて法を伝える。

北海道八十八ヶ所霊場会 大照寺で第13周年結集大会

北海道八十八ヶ所霊場会

 

大照寺で第13周年結集大会

災害の復興と被災者の冥福祈り

 

道内の真言宗寺院で結成する北海道八十八ヶ所霊場会(門屋憲明会長)は25日、第13周年記念結集を、札幌市厚別区の智山派成田山大照寺(藤井照人住職)で開催し、令和の始まりにあたり、国家安穏を祈念した。

「涅槃の道場」である大照寺は結願の88番であり、併せて法楽堂に87番の本尊を奉安している。不動明王を本尊とし、1973年に開教、78年に交通の要衝である現在地に移転し、交通安全や厄除けの信仰を集めている。

今年も各地で台風や洪水による被害が多発し、多くの犠牲者が出ている。全札所寺院が集まり、共にその冥福を祈り、災厄の無い安寧が人々に訪れるよう熱祷を捧げた。

本堂には大照寺詠歌講による大和流ご詠歌が流れ、豊山派僧侶による太鼓の奉納を合図に導師、 職衆が入堂し、法要が始まった。

式典では、真言宗智山派の布施浄慧管長や芙蓉良英宗務総長、橋本照稔大本山成田山新勝寺貫首からの祝電が披露された。また、藤井住職が若い日に奉職し修行した札幌市の成田山札幌別院新栄寺からも参加があった。

導師の門屋会長は「このたび藤井住職に会所をお願いしたところ、88番では1周年記念法要を実施したので、今回は87番での結集ということでと、快く引き受けてくださった。豊山太鼓、大和流ご詠歌の奉納をいただき感謝している。皆さまの所願成就、八十八ヶ所の繁栄を祈念する」と挨拶した。

脇導師を勤めた藤井住職は、「1周年は、伊藤晃全初代会長のもと、当寺で法要を営んだ。あれから13回という歳月を重ね、再び当寺で結集大会ができることは無上の喜び」と述べた。

同じく脇導師の郡司法照85番・観霊院住職が、涅槃道場を代表して謝辞を述べた。

次年度の14周年記念結集は、「菩提の道場」である伊達市の56番・高野山真言宗不動寺で実施する。平田賢弘住職が「伊達市は昨年震災のあった胆振地区にあり、今、檀家さんらも復興に取り組んでいる。登別など道南の観光地にも近く、観光で来てくださることが復興支援にもつながるので、ぜひお越しいただきたい」と挨拶した。

真宗教団連合 結成50周年大会概要決まる

真宗教団連合

 

結成50周年大会概要決まる

鼎談などで共同宣言の意義確認を

 

 

真宗教団連合(石上智康理事長)が来年4月30日に開く「結成50周年中央記念大会」の概要が、このほど明らかになった。

記念式典は真宗大谷派御影堂で営む。真宗十派の関係者らが集い、共通勤行の和訳正信偈を勤め、歴代理事長や役職経験者らの表彰を行う。

式典後は、同派視聴覚ホールで太田浩史大谷派大福寺住職の「真宗教団連合結成の願いとこれからの歩みについて」、小泉英明日立製作所役員待遇フェローの「共同宣言が伝えたいこと~脳科学から『共に生きる』を考える」(案)の記念講演を開く。

講演に引き続き、小泉氏と、50周年の共同宣言を手掛けた丘山願海本願寺派総合研究所長、鶴見晃大谷派教学研究所員が鼎談する。京都市内で開く祝賀会では、「映像で振り返る50年のあゆみ」を上映する。

真宗教団連合は2018年4月に結成50周年の共同宣言を発表。「いのちあるすべての存在が互いに響き合う世界、誰一人取り残されることなく、共に生きることのできる世界を目指す」「世界に開かれた真宗教団として共同する」の2点をベースに、自分優先の現代社会で、「煩悩成就のわれら」が共感し共生することを訴えた。大会では共同宣言の意義を味わい、「共に生きる」ことを再確認する。

また、真宗教団連合は 11月10日、「ごえんさんエキスポin築地本願寺」を開く。「お坊さんテント聞々庵」「カリー寺」「Toy×ボーズ」「大谷派仏青同盟」など、東西の僧侶ら31団体が境内にブースを出展。テクノ法要やサイバー南無南無などの「お坊さんDJブース」も開設する。当日は歌手・AIさんが20周年記念プレミアムライブを築地本願寺で開いており、若い世代へのアピールを目指すという。

曹洞宗 道元禅師得度霊跡を復興

曹洞宗

 

道元禅師得度霊跡を復興

比叡山横川で開眼法要

 

曹洞宗の道元禅師遺跡顕彰会(会長=村山雅雄近畿管区長)は25日、昨年の台風22号で倒壊した比叡山・横川の道元禅師得度霊跡を再興し、村山会長の導師で開眼法要を営んだ。雨の中、近畿管区の役職者ら約40人が参拝。比叡山延暦寺管理部長の小森文道副執行も訪れ〝得度の地〟の再興を喜んだ。

道元禅師は横川の千光坊で仏道を学び、解脱谷寂場坊で得度した。同所は福井県霊山院の小川見竜住職が1892年に自然石を用いた「承陽大師之塔」を建立したのがおこり。現在の霊跡は1983年に近畿管区の寺院が中心となって落成した。

昨年の台風では、光背をはじめ霊跡全体が倒壊。同会を中心に浄財を募り、復興を成し遂げた。村山会長は「あいにくの雨でも皆の力を合わせて法要を営むことができた。近畿管区長を務めた機会に、修復を手掛けられたことはありがたい」と語っていた。

浄土宗宗議会議員選挙 7教区20議員のうち新人が11議員

浄土宗宗議会議員選挙

 

7教区20議員のうち新人が11議員

ベテラン議員らが落選の波乱

 

浄土宗は26日、選挙戦になっていた7教区で投開票を行い、47教区全ての宗議会議員が出そろった。

大半の教区で接戦となり、ベテラン議員が軒並み落選するなど、波乱の選挙となった。

開票結果は次の通り。敬称略。( )内の数字は今回当選分を含む任期回数。

【宮城】(定員1)=東海林良昌(雲上寺・新)62票、太布基雄(大念寺)22票

【東京】(定員6)=加藤昌康(森巖寺・4)186票、鈴木定光(心行寺・4)116票、新谷仁海(功徳林寺・4)112票、水野佳昭(回向院・新)108票、藤本泰史(天徳寺・2)101票、稲岡春瑛(林宗院・2)87票、問川良元(太宗寺)85票

【岐阜】(定員1)=松野秀成(圓通寺・新)42票、淺野義光(本誓寺)27票

【滋賀】(定員4)=鶴野重雄(浄栄寺・4)124票、静永秀明(金龍院・新)100票、中川法隆(浄土寺・新)81票、前田晃秀(若王寺・新)75票、小川良道(東光寺)52票

【京都】(定員5)=池上良賢(光照寺・新)105票、兼岩和広(轉法輪寺・新)86票、土方了哉(大頂寺・5)82票、堀芳照(西向寺・新)69票、石津幸次(西福寺・新)66票、武田和清(因性寺)54票

【兵庫】(定員2)=土佐公行(阿彌陀寺・新)82票、小栗賢亮(光明寺・6)81票、貴田賢次(西蓮寺)78票

【長崎】(定員1)=深町光洋(地福院・新)57票、安藤光宣(崇台寺)55票

「禅といま」が開講20周年 前野慶応大学大学院教授が講演

「禅といま」が開講20周年

前野慶応大学大学院教授が講演

 

 

曹洞宗寺院有志が中心に活動する「禅といま」推進委員会(櫻井孝順会長)は、「禅をとおして、今をどう生きるか」をテーマに講座「禅といま」を9、10日に東京グランドホテルで開催した。開講20周年の今回は、前野隆司慶応義塾大学大学院教授「脳と心と無意識」などの講座が行われた。

前野教授はロボット研究をした後、現在は心や幸せの研究を行っている。2000年初め、前野教授は「私たち人の心は、意識できない部分の影響を受けているのでは ないか。本当は心というものはないのではないか」との思いに至る。そして「心がないとすれば、何かに捉われなくてもすむと思うと、安心して楽になった」と話し、その自分の感覚を伝えるために幸せの研究を始めた。

脳には1000億個のニューロンという素子があり、電圧のオン・オフ・スイッチのようにして我々の心をつくっているといわれている。アメリカの生理学者ベンジャミン・リベットが1983年に行った「指を動かそうとする実験」では、「筋肉への指令が発せられる瞬間」に対して「動かそうと意図する瞬間」の方が0・35秒も早い結果が出ている。

前野教授は「従来、心の中での意識が一番偉く、全てをコントロールしていると考えられていた。しかし実際は脳の中にいる小びとのようなニューラルネットワークが、自分の知らないところで知覚や感情や情動や意志を動かし、それを監視しているのが意識の正体ではないか」と受動意識仮説を提唱した。

この受動意識仮説を発表した後、いろんな人から「お釈迦さまの考えと似ているのではないか」と指摘されたという。つまり、“私はない”という無我は、「現象的意識は幻想」。“私ではない”という非我は「機能的意識は無意識の小びとの結果に追従しているということ」に相当すると。

前野教授は「本当は心というものはないのだ、幻想なんだと思うと楽になり、死ぬのも怖くなくなり、幸せになった。その私の境地は、坐禅の境地と近いのではないかと思ったりしている。ありのまま、自然のままに生き、皆さんのご縁のおかげで生きていると思うと幸せになれる」と話した。

真宗大谷派 『女性史に学ぶ学習資料集』を発刊

真宗大谷派

 

『女性史に学ぶ学習資料集』を発刊

明治以降の女性の宗門参画への歩み

 

真宗大谷派の解放運動推進本部女性室は『女性史に学ぶ学習資料集』を発刊した。96年に、当時としては初めて仏教教団に、性差別問題を専門に取り組む部署「女性室」を設置し、宗門内外の注目を集めた。20年以上にわたる女性室の活動の中で蓄積してきた資料をもとに、明治以降の大谷派の女性に関わる歴史を、全4章の構成で考察している。

第1章「大谷派の制度機構における女性の地位とその変遷」では、坊守制度の変遷や、女性の宗政参画への歩みについて触れている。

第2章「教化の対象としての女性」では、組織や団体を通じて女性たちがどのような教化を受けてきたのかに着目。1890年に発足した大谷派婦人法話会に始まり、兵士の慰問や遺族救護の目的で設立された愛国婦人会(1901年設立)、大谷派婦人聯盟(1932年結成)などの歴史も紹介。

第3章「真宗教学・教化のなかの女性観」では、大谷派における女性教化の言説に焦点をあて、明治期から戦前、戦中、戦後、そして現代へと、通史的に概観しながら、近代以降の大谷派に おける女性教化の特徴について考察した。

第4章「女性室開設の願い」では、女性による宗門活動の活性化と、積極的な女性参画の推進が願われた女性室の取り組みや、これからの課題についても言及している。

本書では多数の記録資料も掲載している。大谷派では1879(明治12)年に一人の女性が得度を志し、さらに小学校の入学を希望したものの認められなかった際の資料も収録。また、戦時中の1941(昭和16)年には宗制改正により、女性に得度と住職代務者への就任を認めたが、コラム欄では得度の条件だった当時の検定試験問題も抄録した。

さらに中国を慰問する裏方の写真や、44年の臨時女子教師検定合格者の得度の集合記念写真も掲載。過去の名だたる教学者の女性観を垣間見ることもでき、興味深い一冊となっている。

巻末には近現代女性史略年表を記載。B5判236ページ、定価1200円。