浄土真宗本願寺派 宗門高生が「取り残さない社会」提案

浄土真宗本願寺派

 

「仏教×SDGs」の実践を

宗門高生が「取り残さない社会」提案

 

「ジェンダーフリーのトイレ設置を」「空き店舗で出張寺カフェは?」。本願寺派宗門関係学校に通う高校生たちが23日、SDGsの精神である「誰一人取り残すことのない社会」の実現に向け、学校の垣根を越えた「アクションプラン」を発表した。

約70校が集う龍谷総合学園(理事長・入澤崇龍谷大学学長)が21日から3日間、龍谷大学などで開いた「仏教×SDGs夏期交流学習」の取り組み。加盟21校の代表42人が、持ち寄ったそれぞれの計画について、総合学園の大学生10人を交えて話し合い、SDGsの17の目標を確認しながら〝協働〟できるプランなどを構築した。

北陸高校(福井)と金沢龍谷高校(石川)のグループは、教育を受けられない世界中の子どもたちの現状を学びSNS等で発信する「SDGs部」を両校に設置し、隣県同士で交流しながら活動することを提案。岐阜聖徳学園高校(岐阜)と崇徳高校(広島)は、総合学園加盟校に「避難所運営委員会」を設け、地域の寺院を避難所として活用しながら寺子屋や子ども食堂の拠点とする「寺フォーマー」を考案した。

また、千代田高等学院(東京)は、SDGsの〝国際目標〟という固いイメージを払拭するため、学生団体で身近に取り組み、活動動画をSNSで発信する計画を示し、全国の8校が賛同した。

生徒らは各校にプランを持ち帰り、年度末に活動した内容を発表する。会場で各グループの発表を聞いた日谷照應金沢龍谷高校理事長は、「ここからがスタート。それぞれの学校に持ち帰って、どう活動するかが大切」と感想を話していた。

「仏教×SDGs夏期交流学習」は今年が初年度。高校生の課題探究力を向上させようと、昨年まで10年間グループ討議や発表を行った「龍谷アドバンストプロジェクト」(RAP)のノウハウを継承し、龍谷大学が今年から本格始動させた「仏教×SDGs」の概念を加えてリニューアルした。

龍谷大学の「仏教×SDGs」は、持続可能な社会の実現に向けて学生の意識を向上させ、ソーシャルビジネスの世界で活躍できる学生を社会へ輩出する狙いがある。

RAPの準備期間から10年以上携わってきた入澤崇龍谷総合学園理事長は、「RAPを発展させようと、『仏教×SDGs』の概念を加えた。生徒たちの社会貢献への意欲は高い。総合学園の基礎となる仏教と結びつけ、SDGsの目標年度である2030年以後は、龍谷総合学園がSDGsの概念をリードできる存在となることを目指したい」と話す。

またRAPでは、大学生以後を見据え、それぞれの学校単位で課題探究力の向上を目指したが、今回の夏期交流学習では、学校の垣根を越え、共通の課題に取り組むことを念頭に置いた。入澤理事長は「龍谷総合学園は単体では日本最大級のグループだが、利点を生かし切れていないと感じる。学校同士が〝コラボ〟することで社会の注目を集めることも可能となる。また、生徒らが社会に目を向け、進学した後に各大学等でリーダーとなってほしい。偏差値教育に傾きがちな学校教育の現場を変えるきっかけとなれば」と事業の意義を語っていた。