浄土宗財政委員会 財政健全化へ中間報告まとまる

浄土宗財政委員会

 

財政健全化へ中間報告まとまる

福祉共済事業の廃止検討へ

 

浄土宗は27日、財政委員会(伊藤眞成委員長)を京都宗務庁で開き、財政健全化計画の一環で、浄土宗共済会の福祉共済事業を廃止する方向で検討すべきとの中間報告をまとめた。低金利下で同じような事業を行う他宗にも波及しそうだ。

同宗の共済会は、福祉共済事業と建物共済事業の2本柱で運用しているが、低金利により資産運用が低調で、福祉共済事業における給付額が会費収入を上回る状況が続いている。年会費が掛け捨ての建物共済事業が下支えしているものの赤字が続き、毎年度、一般会計から5000万円程度を繰り入れて補っている。

共済会の2017年度末の資産状況は総額53億6000万円で、加入会員への必要給付額は54億8000万円と試算され、1億2000万円の財源不足となっている。将来的にも改善される見込みが立たないため、福祉共済事業の廃止を検討すべきとした。

福祉共済事業を廃止する方法として、東日本大震災での給付実績に相当する4億7000万円程度を常に確保しながら、会員に対する還付を5年程度のペースで進めることで、収支バランスを保ちながら縮小することができるとした。その上で、建物共済事業のみで運用して資産の増強を図り、 南海トラフ地震など大規模災害の発生に備える。

また今年の3月議会で了承が得られなかった一宗賦課金の報奨金について、早期に減額を行うよう報告でまとめた。早期完納の場合は5%の報奨金を還付しているが、昨年9月に議会の財政特別委員会で報奨金の引き下げを提案。財政委が3%に引き下げる方針を示し、内局は今年度報奨金の引き下げを反映させた予算案を宗議会に提案したが理解を得られず、報奨金は据え置いたままとなっている。

財政委では、将来的に宗財政が行き詰まると考えており、報奨金を廃止することも含め、議会に提案する必要があるとした。また、当該年度の資金となる賦課金の納付期限が年度末であることも問題視。上半期中に収入がなければ、財政面で資金不足に陥ることも踏まえて、納付期限を早めることも考えるべきとの意見もあった。