高野山真言宗秋季宗会 高野山大学は教育学科で再申請へ

高野山真言宗秋季宗会

 

高野山大学は教育学科で再申請へ

入山料、駐車場有料化は再検討

 

高野山真言宗は12、13日、第163次秋季宗会(安藤尊仁議長)を開き、2018年度決算、19年度補正予算など13議案を可決した。

議案質問および一般質問では、教育学部の新設を含む学園運営に関する件や、安定収入確保策として先の宗会や臨時宗会で検討された山内駐車場有料化、入山料化に関する議論が行われた。

高野山学園理事長でもある添田隆昭宗務総長は宗会の冒頭、「学園維持にも必要な恒常的財源確保が懸案となる中、8月1日に山内協議会、塔頭寺院境内地・山内墓地管理委員会ならびに高野山住職会の合同会議を開催。全会一致で奥之院に入場料を課すのは反対との結論に至り、駐車場有料化を今一度検討してほしいとの意見だった」と、前回の宗会で駐車場有料化を否決した議会に報告した。その上で基金不足を指摘され、申請をいったん取り下げた高野山大学の教育学部新設の問題について言及。「大学の新態勢は、やはり教育学科でスタートするのが無難との結論に至った」と方向を示した。

その後の審議では、乾龍仁高野山大学学長、小野芳幸高野山高等学校校長、中西雄泰高野山専修学院監事も番外席で質問に応じ、学園の現況と展望が説明された。宗会に提示された資料によると、教育学科で申請した場合、基金ともいうべき「標準設置経費」は、学部設置に比べて1億7400万円の低減。千代田短期大学、暁光高等学校、高野山大学の三者で、それを上回る5億1000万円の試算となり、基準以上の教員をそろえることもできるなど、文科省への来年度再申請への見通しが示された。従来の資格取得に加えて、保育士資格と公認心理師の受験資格の一部を取得できる。

地の利が悪い高野山上から千代田短大がある大阪府河内長野市に主体を移すことで受験生の増加を図り、難波サテライトも拡充。これにより年間2億円余の赤字体質から脱却し、永続的な運営を見込んでいる。

添田宗務総長は資金面に関して、「高校に関しては存続の議論はあるが経常経費の支援は待ったなしで、差し当たっての財源として、内拝料の改定等さまざまな工夫をしつつ対応してゆかねばならない」と語った。

なお、入山料化、駐車場有料化の件は、山内協議会の協議事項に規定されているが、ともに本山部予算にも関わるため、宗会の議決を要する。8月に開催した山内住職らの「合同会議」(委員長=德富義明密嚴院住職)では、奥之院の聖域護持などの観点から、入山料化に反対意見が多かったようだ。今次宗会では、「今後の祖山の方向性にも関わる重要事項であり、有職者・宗会議員を含め、新たに人選した委員会を立ち上げ、再度検討を重ねる」ことで合意した。

2018年度決算は、総本山金剛峯寺は歳入37億2210万円。歳出は27億8900万円。

高野山真言宗は歳入 22億4440万円。歳出は19億9970万円。