総本山身延山久遠寺 新信仰運動「共生運動」が発足

総本山身延山久遠寺

 

新信仰運動「共生運動」が発足

信仰危機に宗派を超えて活動へ

 

総本山身延山久遠寺で16日、日蓮聖人が願った「立正安国」の実現のため、「共に生き 共に栄える」をスローガンとする信仰運動「共栄運動」が発足した。

宗門から中川法政宗務総長をはじめ、日蓮門下の各宗、交流のあるITRI、妙智會教団、立正佼成会、霊友会、佛所護念会などの教団役員のほか、現職国会議員や山梨県知事、地元市町村首長など、多くの政財界の代表も参列し、新運動がスタートした。

「共栄運動」は、岩間日勇第90世法主の著書にある「共生共栄」「共に生き 共に栄える」の言葉に由来し、内野日総法主の座右の銘でもある。「世界中の人が相手のことを思いやって共に力強く生きる」「世界中の人が共に幸せを感じていつも笑顔で生きることを目指す。法華経に説かれる「皆共成仏」「開会」の世界、そして日蓮聖人が示した十界曼荼羅の世界を表している。

式典で持田貫宣総務は「世界がグローバル化していく時代、国民の統合がどの国においても重い課題になっている。日本の社会でも多文化共生は逃れようがない課題である」と現状を押さえ、「共生のために、共に主伴となって共助の願いを強くしていく。まず同信の方々と共に生きていく。それとともにあらゆる人を受け入れていく」と主旨を高らかに宣した。

この運動を始める背景には、宗教界を取り巻く現状の厳しさがある。運動の趣旨説明を行った浜島典彦共栄部長は「人口の減少は檀信徒の減少に直結し、過疎化の進行は地方寺院の存立を揺るがし、宗門の足腰を弱体化させている。僧侶の減少、地方寺院の疲弊、次世代への信仰継続の断絶は、日蓮宗、ひいては身延山久遠寺にとって大きな問題となりつつある」と指摘。「共に栄える」ために必要な9項目の基本方針をあげ、世界の人、仏教徒と連携し、宗門の寺院・檀信徒、題目系教団、日蓮門下諸宗等と共に栄えていきたいと述べた。

また、「共栄運動」は、宗門とも連動して推進していきたいと表明。これを受けて中川宗務総長は、「共栄運動は、祖山としての再発信と受け止める」と提携していくことを歓迎した。

全国本山会会長で前総務でもある井上日修本山瑞輪寺貫首は「五重塔建立はまさに運動展開のシンボルとなる」とたたえ、今後の展開に期待を込めた。

法華一乗会を代表して逢沢一郎衆議院議員は、国としても趣旨に賛同するとし、長崎幸太郎山梨県知事は「共栄運動が目指すところは、地域の発展を目指す県の方向と一緒」と、共に運動を推進する意向であると語った。山梨県の財界の重職を務める堀内光一郎信徒総代も、信仰の祖山の発展を支えるため尽力して いくと述べた。

最後に信徒総代でもある武見敬三参議院議員の発声により全員で万歳三唱し、新たな信仰運動の幕が開けた。