六道珍皇寺 秋季寺宝展で地獄の観念を伝える

六道珍皇寺

 

来世につながるこの世の行い

秋季寺宝展で地獄の観念を伝える

 

臨済宗建仁寺派六道珍皇寺は、毎年恒例の秋季寺宝展を開催している。京都府指定文化財「参詣曼荼羅図」(桃山時代)や、「熊野観心十界図」(江戸時代初期)などを見に、関東や九州など、遠方からも多くの人が訪れている。

特別公開の展示内容は前期と後期で変わり、前期テーマは「冥界の裁き・救済の仏たち」。坂井田良宏住職は、堕地獄の観念が欠落しつつある現代を危惧し、「うそをつけば閻魔さまに怒られる、悪いことをすれば地獄に落ちるなど、道徳観を教える人や環境が今はない」とテーマの意図を説明。一休禅師の言葉「極楽は西方のみかは東にも北道さがせ南にあり」を紹介し、「極楽は己の心の中にある。現世即来世。この世の行いが来世につながると気付いてほしい」と述べた。

また、小野篁卿がこの世と冥界を行き来したとされる「冥途通いの井戸」「黄泉がえりの井戸」も特別に公開。漫画やアニメを通じて篁卿を知った人々で賑わっている。

今まで仏教や地獄などに関心はなかったが、テレビで同展示を知り、大分県から車で訪れたという田之岡広大さんは「雑誌などとは違って実際に見ると、地獄は怖いと感じた。日頃の行いを見直さないといけない」と語った。

前期の公開は21~23日、10月12~14日。後期は11月2日から始まる。