真宗佛光寺派 冥加金に関する条例案を否決

真宗佛光寺派

 

冥加金に関する条例案を否決

門徒向け本尊等値上げなど問題視

 

真宗佛光寺派は3、4日、第196定期宗会(能美正洋議長)を招集し、決算審議と共に上程された冥加金の条例変更案を反対多数で否決した。消費税増税に伴い、門信徒に下附する本尊や脇掛の金額を変更し、現在の条例には規程がない門主染筆の冥加金を定める条例案だったが、内局の手法などを議員側が問題視。財政健全化を目指す中で、佐々木内局には予期せぬ〝足踏み〟になった。

佛光寺派の本尊等の冥加金は、消費税5%時点の金額で据え置かれていた。新たな条例案では、寺院用は同様に据え置き、門信徒用の本尊や脇掛のみを10%の消費税に対応する金額へ変更しようとした。

通告質問では、河合正樹議員(新潟)が「新潟ではご本尊を〝お宝さま〟と呼ぶ。聞法活動の中心となる御本尊の値上げには合点がいかない」と門信徒教化の現場における本尊の重要性を主張。「門主の染筆に関する変更」と「門信徒用本尊・脇掛等に関する変更」の条例案を分割することを提言し、「ご本尊の冥加金は継続審議にしてほしい。十分な議論が必要」と訴えた。

委員会審査では、内局が提出した資料の内容などを理由に、総務常任委員会(古谷清麿委員長)が反対多数で否決した。委員長報告への質疑では、吉岡一穂議員(九州)が金額算出の経緯や算出方法を問い、資料の整合性を疑問視した。同資料は、消費税5%で据え置いた現在の冥加金を基に税率8%で計算。税金分を差し引いた後に、税率10%で算出するなどしていた。

賛成・反対討論は上程議案に対して実施した。反対討論には河合議員が登壇し、門主の染筆と門信徒の本尊、脇掛などの冥加金を一つの議案として提唱したことに改めて疑問を提示。「議案の全てではなく、門信徒向け本尊などの冥加金変更については反対。資料内容にも再考の余地がある」と意見した。賛成討論に立った藤谷信道議員(中国)は、「資料に問題がなければ委員会でも否決されなかった。ご門主さまの御染筆の件もある。賛成してはどうか」と述べ、賛成7人、反対13人で否決された。

議案の再上程などは現段階では未定。佐々木亮一宗務総長は、「次回の定期宗会で上程するかどうか、今後の状況を見ながら考えたい」と話していた。

また、今議会では、コンピューターシステムの入れ替えなどによる決算書類の整合性についても指摘があり、委員会審査が大幅に遅れるなどした。2018年度決算は、予算額約5億2300万円に対し、歳入が約6億5800万円、歳出が約5億8100万円となった。佛光寺本廟の改修工事の回付受金の計上などで増額した。