ITで災害に備え 阪大院「災救マップ」リニューアル

 稲場圭信大阪大学大学院教授(宗教社会学)らの研究グループは、寺社などの宗教施設を含む避難所約30万カ所の情報を公開するインターネットサービス「未来共生災害救援マップ(災救マップ)」をリニューアルした。被災状況の共有が可能になったほか、独立電源通信機「たすかんねん」との組み合わせで高い防災効果を発揮する。ITを活用した災害への備えが進む。

災救マップのリニューアルについて発表する大阪大学大学院の稲場圭信教授


 災救マップは、2014年にスマートフォン用の無料アプリとして始まったが、頻繁なメンテナンスが必要であったことから、今回のリニューアルによってウェブブラウザでのサービスとした。

 スマートフォンやタブレット端末などから被災状況を投稿できる機能を充実させた。「避難所として利用可能か」「傷病者、要介護者は何人か」「水道などのインフラは稼働しているか」といった情報をリアルタイムに共有できる。津波発生時に備えて現在地の標高も表示できる。

 稲場教授は「情報の精度を高めるため、利用者からの情報提供を受け付けている。たくさんの人に利用してほしい」と話す。

 独立電源通信機「たすかんねん」は、東日本大震災の際に広範囲で通信手段が失われたことを教訓に、一般企業などと共同で2017年から開発。太陽光と風力で発電し、非常用電源として携帯電話約200台を充電できる。Wi-Fi 機能を搭載し、非常時には災救マップと連動して安否情報を収集する。

独立電源通信機「たすかんねん」


 LED照明や防犯カメラも備え、平常時の防犯などにも役立つ。稲場教授は「お寺にもぜひ取り入れてほしい」と話していた。

(文化時報2020年3月28日号から再構成)
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