六道珍皇寺 建仁寺起居の禅画僧の南画

六道珍皇寺

 

建仁寺起居の禅画僧の南画

没後100年の節目に修復

 

臨済宗建仁寺派の六道珍皇寺(坂井田良宏住職)は、改元奉祝新元号を記念した「春の特別寺宝展」を4月27日から開催している。

特筆すべきは、明治、大正と建仁寺を拠点に活躍した南画の巨匠・藤村曽山画伯の遺作画が初公開されること。

藤村画伯は長野県南木曽町の出身で、大本山建仁寺塔頭の正伝永源寺の一室で起居して制作に勤しんだ。建仁寺4代管長の竹田黙雷師に参禅した。また住職の祖父に当たる仰山師が藤村画伯が中国にデッサン旅行をしたと伝え聞いたとの記録が残る。

今回、公開する襖画は六曲一双、中国寺院の山水図屏風。収蔵庫に保管されているのが十数年前に見つかり、藤村画伯の作品であることが確認されていた。

昨年、経年劣化による汚れ、染み、灰汁等の除去修復を専門の表具師に依頼。「傷みが激しく、駄目かもしれない」といわれたが、美しく仕上がった。

今回の公開に際し、画伯の作品を保管している他の塔頭寺院に呼び掛けたところ、「達磨絵図」2幅が出陳されることになり、遺作展として行うことになった。

作品だけでなく、画伯の人となりが、塔頭寺院の記録に残っている。無欲活淡で、展覧会への出品などを好まなかったために、画壇に名前は残っていないが、坂井田住職は「今は平和のため仏の力がますます必要。親しみやすい画などを通じて、多くの方に仏に触れる機会を得ていただきたい」と話し、仏教寺院ならではの特別展となっている。さらに「将来、塔頭寺院同士で宝物を貸し借りして藤村画伯展を行うきっかけにもなった」と、今後の展開についても話した。

期間は5月6日まで。併せて、世界中の人々にとって「令和」の世が、戦争や天変地異、災禍のない平和で安寧な時代となることを願って、本尊である「薬師如来坐像」(重文)を特別開帳する。