総本山仁和寺 観音堂修復落慶法要を盛大に

総本山仁和寺

 

観音堂修復落慶法要を盛大に

370年を経て障壁画公開

 

総本山仁和寺が6年をかけて実施してきた観音堂(重文)の修復事業が円成。一週間にわたる落慶法要が15日、真言宗各派総大本山の山主や重職らを招き盛儀に開白した。

観音堂は弘法大師の夢告によって仁和寺創建後に建立されたが、応仁の乱で焼失し、江戸幕府の寄進により1640年ごろに再建された。法流の相承など重要厳儀に使用されてきたが、建立以来約370年間、一度も大修理が行われず、経年劣化や安全面の危惧から、国庫補助と、全国寺院や有縁者に勧募を呼び掛け、2012年12月から半解体工事に着手。全国寺院への披露となる落慶法要には、共に喜びを分かち合おうと、期間中を通 して全国の宗務支所から団参が登嶺した。

開白法要には、真言宗長者の田代弘興総本山長谷寺化主をはじめ、真言各山の管長らが随喜参列する中、瀬川大秀門跡を導師に、本尊の千手観音菩薩立像ならびに33体の仏像前で法要を勤めた。

観音堂の修復は、瀬川門跡が8年間の宗務総長時代にその道筋を付けた。瀬川門跡は当時を振り返り、「歴代門跡、役職者の悲願だった修復にようやく着手できた。工事が始まると予想以上に傷みが進んでいて工期が延びるという事態となったが、全国寺院の協力で乗り切ることができた」とし、「観音堂が修行のために建立されたという原点を大切にし、人材の育成に資することができれば、これに勝る幸せはない」と話している。

修復完成を記念し、「幻の観音堂障壁画」を春季(5月15~7月15日)と秋季(9月7~11月24日)に初公開する。

立像の周りや内陣後方の障壁画には、33の姿に変化して人々を助けるという観音菩薩が取り囲むように描かれ、長い年月を経て“幻”の障壁画を見ることができる。

吉田正裕執行長は「法要や修行の場であり、これまで公開されてこなかったので、370年という時の隔たりを感じさせない鮮かな色彩が残っている。観音信仰を知ってもらう機縁になれば」と話した。