G20諸宗教フォーラム2019京都 世界の課題に宗教から提言

G20諸宗教フォーラム2019京都

 

世界の課題に宗教から提言

今回はAIを新規に取り上げ

 

大阪でG20が開催されることに併せて、G20諸宗教フォーラム2019京都(瀬川大秀会長・総本山仁和寺門跡)が11、12日に京都市内で行われた。同諸宗教フォーラムは、これまでもサミットが開かれる前に宗教者の意見を集約し、政治家に発信している。

今回も例年同様、日本の仏教者と、海外からイスラーム、キリスト教関係者らが一堂に会し、環境、経済格差や貧困など、政治では解決しえない問題について、宗教の智慧に基づいて話し合った。

仏教界と共同して環境問題に取り組む京都府と京都市とが共催して京都府議会の旧議事堂で行われた開会式には、海外からの来賓や門川大作京都市長らが臨席し、瀬川会長がフォーラムの歴史と開催趣旨を説明した。(写真)また来賓が歓迎の辞を述べた。

運営委員長を務める三宅善信金光教泉尾教会総長が進行を担い、事務局長は懸野直樹野宮神社宮司が務めるなど、神仏習合の歴史を持つ日本ならではの大らかな雰囲気の下、それぞれの宗教の英知が八つのセッションで話し合われた。

特に今回は、テーマの一つとして「AI」が初めて取り上げられた。人工知能(AI)はいずれ人間の能力を超え、支配するのではないかと危惧されている。

セッション3「AIの脅威と人間の責任」では、神職の資格を持つ才脇直樹奈良女子大学教授(工学博士)をモデレーターに、SE経験者の中村殊萌元真言宗大覚寺派教学部長、化学会社での研究職を務めた滝澤俊文むつみ会宗務長、三宅運営委員長がパネリストを務め、国を問わずAIの研究にしのぎを削る中で、それを食い止めることができるのは「宗教が持つ英知」であることを確認。

「AIを含めたサイバー空間にも『人命と人権の尊重』という概念を拡張すること」、「AIを道具にした犯罪の脅威は、利用する人間の心を扱う宗教者の課題であること」、さらにAI自身がディープラーニングを重ねて人間の命令に背き、人間がAIを制御しきれなくなるという脅威については、宗教者、政治家、企業家、技術者による分離融合型のアプローチが必要であり、「国際的な合意のもとでの管理方法(人材養成を含む)を議論すること」を提言としてまとめた。