空海遍路文化会館の建立進む 行当岬の不動岩隣接地に

空海遍路文化会館の建立進む

行当岬の不動岩隣接地に

 

空海修行の聖地・行当岬には、土佐の荒海に臨む不動堂があるが、現在、隣接して空海遍路文化会館の建立が進められている。

古くから“波切り不動”の信仰が篤い不動堂は、四国八十八ヶ所第26番・真言宗豊山派金剛頂寺(坂井智宏住職)の飛び地境内にあり、同寺が女人禁制であった明治の初めごろまでは女人堂として賑わったとされる。

背後にそびえる40mの不動岩には空海修行の聖地と伝えられる岩屋があり、遍路らの香華が絶えない。

空海遍路文化会館は坂井住職が発願し、政財界から大師信仰に篤い四国内外の有縁者が協力し、一般社団法人として運営する。

建物は幾本もの巨大な丸柱が支える、風格のある古民家を移築する。(写真は雨天下でブルーシートに覆われている)

会館には、京都の東寺が所蔵する国宝両界曼荼羅を忠実に再現し展示。大型スクリーンでは、御誕生寺の善通寺や修行の地、不動岩、中国の青龍寺、高野山、空海が建立した金剛頂寺や、同寺で年に一度、正御供の日だけ御開帳される弘法大師尊像など、空海の軌跡が上映される。

世界ジオパークの一つでもある室戸。坂井住職は、空海の修行時代と比べると、現代の地形は度重なる地殻変動で海面が隆起し、大幅な変容を遂げているはずだと推察し、自然科学の視点を加味した「弘法大師信仰の聖地と現在、未来」を見据えながら、遍路文化を後世に伝えたいと願っている。