浄土宗 災害復興支援対策の統合検討

浄土宗

 

災害復興支援対策の統合検討

建物共済事業に一本化

 

浄土宗は17日、災害対策委員会を京都宗務庁で開催し、損壊した堂宇の改築資金を融資する建物共済事業と、災害復興の資金に充てる復興貸付金を、将来的に一本化する方向で検討を開始した。

火災で堂宇を焼失した場合は建物共済で対応し、地震や台風で被災した場合は、災害復興支援制度が適用されてきた。いずれも同等の運用が行われているにもかかわらず、査定基準に差異が生じている。このため建物共済に災害復興支援を組み入れることが妥当と判断した。査定方法など検討すべき課題が多く、今後の委員会で協議を重ねる。

復興貸付金の返済期間延長についても検討した。現行制度では貸付期間を最大10年と定めているが、小規模寺院は10年間で返済する目途が立たず、融資できない場合がある。一方で、融資期間を延長すると、住職が高齢の場合は逝去などで回収できなくなる可能性もある。

法人への貸し付けであり、後継者が引き継ぐことも検討されたが、後継者が住職に就任することを証明する手段がないため、導入にはリスクがあると判断した。一方で、兼職して護持している住職個人の収入も査定の対象とすることで貸し付ける対象を広げることも可能と考え、審査を厳格化することで対応できると考えた。

また、被災地復興支援として支給する本尊護持料を、被災見舞金と一本化することも検討した。本尊護持料は、東日本大震災で被災した寺院の本尊を護持する寺族の生活支援として創設されたが、現状は被災した本尊や荘厳を修復する資金を提供する制度として運用されている。被災寺院に対する見舞金と似た制度であるため一本化する方向にした。

見舞金については、支給の可否を災害対策委員会で検討した上で執行するが、支給までに期間を要することが課題。また、見舞金を手渡した時に被災状況を調査する方法の導入や、支給額は賦課金 の支払い額に応じて決めるべきとの意見もあり、今後調整する。

被災寺院に対する賦課金の減免については、財務規程で定める減免規程と、災害規程の減免規程とを整合させる必要がある。そのため、災害査定の指数を変更し、庫裡の被災に対する指数を上げる一方で、指数合計が基準値を満たさない場合は減免しないことにした。ただし、被災寺院が災害対策特別賦課金を納付することは適切でないため、指数が基準値を下回っても特別賦課金は減免することが必要とした。