真宗興正派定期宗会 御影堂修復 初動でつまずき

真宗興正派定期宗会

 

御影堂修復 初動でつまずき

2基金設置条例が継続審議に

 

真宗興正派は第143回定期宗会(山西俊憲議長)を25~27日に招集し、内局が提出した御影堂修復の原資となる基金設置の2条例案を継続審議とした。事業や返済計画が細部まで明示されなかったことを宗会が問題視したためで、内局は関連する会計予算の4議案も取り下げた。御影堂修復に向け、初動でつまずく形となった。興正派一般会計予算は2億6000万円。2019年度の興正寺一般会計予算は9000万円。

継続審議となったのは「深草基金条例」「浄華堂基金条例」を制定する2議案。「深草基金条例」は、不動産を手放した収益を基にした深草特別会計を閉鎖し、全額の1億1850万円を基金とし、本山整備や興正派寺院への貸付に用いる。「浄華堂基金条例」は、納骨堂に関する浄華堂特別会計から3億円を支出。浄華堂整備と本山整備に用いる。

三井雅弘宗務総長は、本山整備事業事務局の3委員会の報告をもとに、両基金を原資として御影堂修復、興正会館取り壊し、研修会館のリノベーションを行う第1次本山整備計画を提示。親鸞聖人御誕生850年を迎える2023年に、立教開宗800年、華園沙弥香嗣法就任式、御影堂修復落慶法要を営みたい方針を明らかにした。なお、ホテル案などが浮上していた興正会館の跡地活用については、第2次計画で検討する。

ただ、内局が提示した基金の設置案に対し、後藤法信議員(北海道)らが、各事業の計画の明細が提示されていないことや、基金への返済計画が示されなかった点を問題視。園正純議員(特設中央・滋賀)が継続審議を提案し、10月の定期宗会で改めて上程されることが決まった。

大阪北部地震などの影響で内陣の柱が曲がった状態の御影堂は、建築研究協会の調査を終了。修復には、内陣柱の欠損部分に鋼材や木材を組み込んで補強する案を採用するという。工期は2年を見込む。また、阿弥陀堂の安全も確認し、法要時に50人程度の団参を受け入れることを発表。三井宗務総長は「御影堂を受け継ぎ、後世に伝えていくことが宗派の大きな課題」と述べ、阿弥陀堂や鐘楼、山門、経蔵と合わせ、登録有形文化財の登録を進めていることも明らかにした。

また、昨年12月の楠本善照財務参務の退任に伴い、3月から代務者を務めていた楠哲慧参務の就任を決めた。楠参務は東讃教区西徳寺住職。56歳。中央仏教学院本科卒。宗会議員2期。親鸞聖人750回大遠忌では、式務部・接待部部長を務めた。楠参務は「宗門は“火中の栗”以上の状態。宗内の皆さんに動いているという実感を持っていただけるよう、スピード感を持って努めたい」と抱負を語っている。